「モストロ」「はっ」「確かに今の生神は私と戦うのに十分な力を持っている」 呟くように魔神は言う。「直接力をぶつけ合うしかあるまいな」「はっ」「その時……私と生神が見えた時。それが私の楽しみ、私の望む時なのだ」「申し訳ありません……意味が良く……」「モストロ」魔神は細い腕をゆっくりと持ち上げ、モストロを指した。「今からお前を魔人と呼ぼう」 モストロが目を見開く。「不満か?」「い……いえ……不満など!」「お前は良く尽くしてくれた。ならば、生神と戦う任務を受けてくれるな」 モストロは即座にその意味を理解した。 魔神はモストロに死ねと言っている。 魔神の命令はそういうもの。己の命と引き換えに……いや己の命を使って任務を果たせと言うのだ。 例え魔人であろうと、神ではない。生神に勝てる唯一の存在は魔神だ。 その前哨戦……いくらかでも生神を消耗させること。それが魔神が下した命なのだ。 モストロは魔神の目の前で跪いた。 その身体が小さく震えている。「モストロ?」「そのような……そのような任務をお与えくださるなど……」 モストロは顔をあげる。 歓喜の笑みが満ち満ちていた。「このモストロ、喜んで引き受けましょう! 魔神様の目の前で生神と戦い、場合によっては生神もろともに消し飛んで見せましょうとも! ええ、ええ、魔神様の御命令で死ぬなどと言う名誉を、他の誰に任せるものですか!」 魔神はゆっくりと頷くと、細い腕をもう一度モストロに向けて伸ばす。 青白い光がその手に宿り、手が指す方に移動し、モストロの中に吸い込まれた。「おお……破滅の力……何と素晴らしい……」「せいぜい派手にやることだ……。モーメントが滅べば、どの道この世界も等しく滅びる。残るものなど気にする必要はない」「魔神様の……お望みのままに」 魔人モストロは立ち上がり、魔神の間から出て行こうとする。「モストロ」「は!」 呼び止められ、モストロはすぐに魔神に向き直った。「お前の忠心……役立ったぞ」「勿体ないお言葉」「だが、我らの真の評価は滅ぶべく時にある……」「どうぞこのモストロをご覧ください、魔神様」 モストロはマントを翻し、魔神に最敬礼をした。「例え無駄死にとなろうとも、魔神様の退屈を満たせる欠片にでもなれれば
Read more