All Chapters of 生神様になったらめっちゃ思い通りになるんですけど: Chapter 31 - Chapter 40

107 Chapters

第31話・無窮山脈

 遠くに、半端なく高い山の影が見えてきた。 左手側から照らす夕日が山の稜線を描いている。それが半端なく高く広いのだ。地平線、ではなく山脈線と言えるような感じで。 無窮、即ち果てのない山脈と言われれるだけのことはある。 その中でひと際高い峰が、ドワーフの住む山、『天の屋根』だろう。「滅びかけた世界では金属も採れなくなるの?」「世界に力がなくなると言うことですから」 シャーナさんが目を細めて無窮山脈を見ながら言った。「植物も金属も、世界の力から生み出されていると言います。世界から力が失われたから、植物も枯れ、鉱物も枯渇すると言います」「つまり、あの山の鉱石もなくなったってわけ?」「少なくともこちら側に流れてこないくらいには減ったのだろう。そもそも鉱山は鉱石を加工するために木々を切り、使う。だから、あの山脈はほとんど木が残っていない。食べる物に困って山を下りた可能性もあったが」 導きの水晶は真っ直ぐ北……山脈を指している。「ドワーフはいまだに山脈に住まっているということだな」 チラリとパンと干し肉を見る。まだまだ【神威・増加】で増やせるけど、パンと干し肉だけを増やして人間が生きていけると思えない。畑を耕したり獣を狩ったりするには金属とその加工が必要となる。つまり、無窮山脈を【再生】しなければならないけど、今の信仰心じゃ山全体を【再生】するにはかなりの時間がかかる。 とにかく、ドワーフに会って、その中の誰かに神子になってもらわないと、鉱物の【再生】も農耕具の【再生】も出来ない。 夜になる前につきたいな。 俺は雲を急がせた。 視界いっぱいが山肌になって、陽も沈んで辺りは暗くなった。「そう言えば炎とか光とかって【属性】はなかったな」 水晶の指す光だけが光源。 山に近付くにつれて光が上に向かって行くので、山肌に沿って上昇していく。 やがて、雲が静かに止まった。「どう、なさったのです?」「行動限界だな」 M端末に書いてあった。雲が一日に踏破できる距離には限度があるって。 でも、だからって困りはしない。「とりあえず、ここらで食事して寝るか」「寝る場所は?」「この雲」「……寝心地は良さそうだが、安全なのか?」「雲には結界があって、休息にも役立つって書いてあったから」 雲が広がって、三人と一匹がどれだけ転がり回っても安全な広さ
last updateLast Updated : 2025-12-14
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第32話・ドワーフ

「ぅなっ、ぅなー」 頬を舐められるざらざらした感触。「んー……」「ぅな、ぅな!」 あれ? 目覚ましの音違いすぎる……。 無意識で頭上を叩こうとして、モフっとした感触で目が覚めた。 見えたのは岩肌で。 そう言えば俺は死んでモーメントって世界で生神様とやらになって……今はドワーフを探しに来たんだっけか?「ぅな!」 半身を起こした俺に、灰色虎……コトラはあっち、あっちと示した。「え? あっち?」 岩肌の下の方を見る。 小柄な人たちが、こっちを見上げて何か言っている。 そう言えば、自在雲の結界は乗っている人間は隠すけど、雲の姿自体は消せなかったんだった。「シャーナ、レーヴェ、起きて」「なぅ、なぅ」 レーヴェさんは跳ね起きる。騎士だけあって反応が早い。「シャーナ……シャーナ!」「ぅなっ!」「ん……んん……」 微かに声を漏らして、ゆっくりと瞼を開く。「遅い」 またもやレーヴェ。……ケンカを売るなよ……。「も、申し訳ありませんっ」 布の切れ端で顔をこすって、シャーナは身繕いして下を見下ろした。「騒動になっているようですね」「いくら天の屋根とは言え、この高度でこんな所に留まり続ける雲はない。しかも色が色だしな」 金色を帯びた虹色。そんな雲が一晩同じ場所に留まっていれば、そりゃあ騒動にもなるか。「レーヴェ」「はい」「しばらくここにいて黙っててくれる?」「分かっています。私が入れば揉め事になる」「じゃあ、雲を切り離すよ」「き、切り離す?」「うん。どうやら雲は一時的になら切り離して別行動ができるらしい。俺が一人で交渉しに行くから、二人はここで待ってて」「コトラは?」「連れてく」「岩山で灰色虎はドワーフの方々に警戒されるのでは?」「恩を知る生き物、ってレーヴェは言ってたろ?」「確かに。ドワーフは灰色虎への捧げ物を忘れないと聞く」「じゃあ、行ってくるね」 俺は雲を切り離すと、ゆっくりと下降した。 十数人の、痩せた小さな人たちが、降りてくる雲を見て驚き、その上に俺が乗っているのに気付き、小さな人たちは警戒の態勢を取った。「ケンカしに来たわけじゃないんです」 俺は両手を上げて敵意がないことを示すけど、あっちはボロボロの両刃斧を抱えて大警戒。「天の屋根に住まう方々はこれで全員ですか?」「……何者だ」「遠
last updateLast Updated : 2025-12-15
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第33話・生神の力

「と、とりあえず、こちらへ」 ドワーフたちが足場を開けてくれたので、先にコトラが降り、俺も降りる。「とりあえず……食べ物はいりますか?」「食べ物?!」 ドワーフたちの目の色が変わった。「確かに、この男は痩せていない」「食べ物があるのか?」「パンと干し肉でよければ。全員ここに連れてきてください」 何人かの体力が残っているドワーフたちが、足場の壁にあるパイプを斧で叩いた。  わぁぁあ~ん。 音が伝わる。「一体何を?」「全員集合の合図だ」 なるほど、岩山中に配管が通っていて、それを鳴らして集合とかの合図を出すわけか。 よろよろと歩いてくるドワーフ、大体二十人程度。 俺はパンと干し肉を一つずつ取り出す。「それじゃ足りんぞ?」「大丈夫です」 M端末で、【神威・増加】を発動させる。 ずだだだだだだっと柔らかいパンと、干したて肉が山積みになった。「う……おおおおおっ?!」 ドワーフさんたち、絶句。「こんなもんでいいですか?」『おおおおおおおおお!』 一気にテンションが上がり、ドワーフがパンと干し肉の山に襲い掛かった。 いやあ壮観。コトラの食事を見た時よりも壮観ってセリフが似合う。「ありがとう生神! おかげで助かった!」「儂らにできることならなんでもする! ……もっとも、鉱石も掘りつくして、何もできないが……」「この中に、エルフと仲良くやれる……って言うか、ケンカはあんまりしないって自信のある方はいらっしゃいますか?」「エルフ?」「山か、川か、森か」「森です」「そりゃ難しいなあ」「生神様の仰せなら……と言いたいところなんだが、森エルフと儂らは」「でも、森エルフは農業や林業で鋼を使ってる……。この世界の鋼を生み出しているドワーフなら、鋼が何処へ運ばれたか知っているはずですよね」「う……ううむ……」「まずは教えてくれ」 ドワーフの外見はよくわからないけど、多分声からして若いんじゃないかって声がドワーフの中から上がった。「何故おれたちと森エルフが仲良くしなければならないか。それは、おれたちが森エルフと諍いを起こさなければ、何かいいことがあるからなのか?」「そう言ってくれると話は早い」 俺は身を乗り出した。「生神は、信仰心と、【属性】で神の力を使う。今俺の神子は人間と森エルフと灰色虎。属性は水と大地と聖と植
last updateLast Updated : 2025-12-15
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第34話・属性:鉱石

「【属性】があるかどうかの確認はできるのか?」「これで調べられる」「まさか、それは神具?!」 そういやランクSSSの神具って書いてあったっけか。「これで【観察】すれば、誰がどんな【属性】を持っているのか、どれだけ信仰心を持っているのかが分かるんです」「鉱山を戻せるというなら……」「食い物を増やしたこいつは間違いなく生神だ」「しかし、森エルフだぞ?」「森エルフとて儂らの鋼が必要なはずだ。儂らが燃料や鉱脈を必要としているように」「おれを調べてくれ」 最初に声を上げたドワーフが俺の前にやってきた。「あんたはおれたちを助けてくれたんだ。それどころか、鉱脈を戻せるかもしれないって言う。それなら森エルフくらいガマンできる。おれたちドワーフは忍耐の一族だ。そして灰色虎と同じく恩義は忘れない」「そ、そうだな」「感謝すべきだ」「じゃあ、……君、【観察】していいですか?」「おう!」 胸を張るドワーフに、M端末を向け【観察】する。【神子候補:ヤガリ・デイ 信仰心3000 属性:大地/岩/鉱石】「お。ぴたり」「どうだ? おれはお前の神子とやらになれるのか?」「うんヤガリくん。属性に【鉱石】がある」 M端末を見て頷く。「おれは名乗っていないのに、分かるのか?」「うん、【観察】で名前と信仰心と属性が分かる。これなら、……まだ十キロ圏内だけど、鉱脈の【再生】もできるかも知れない」「本当か!」「とりあえず、……神子になってくれます?」「無論だ」 ドワーフは胸を張った。「おれが神子とやらになって山脈が少しでも蘇るなら、森エルフともガマンできるし世界の何処へでもついて行く」【ヤガリ・デイを神子にしますか?】「大丈夫?」「もちろん!」「Y!」 光が俺から溢れ出てヤガリくんに吸い込まれる。【神威・神子認定成功】「……これで、おれはお前の神子とやらになったのか?」「うん、ちょっと確認してみる」【遠矢真悟:生神レベル28/信仰心レベル11200 神威:再生10/神子認定4/観察6/浄化6/転移1/増加4/創造2 属性:水5/大地3/聖6/植物4/獣4/岩3/鉱石3 固有スキル:家事全般/忍耐 固有神具:自在雲/導きの球】 【属性・鉱石】があれば、鉱脈【再生】も不可能じゃないだろう。 あとは……ここに聖地があれば完璧なんだが
last updateLast Updated : 2025-12-15
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第35話・聖地

「鉱脈を再生できるのか?」「してみよう」 俺はM端末を操作した。【周辺半径20kmの空間を再生します。よろしいですか?】「Y!」 タップすると同時に、光が四方八方に飛び散った。 信仰心が増えたことで、【再生】範囲が広まったんだな。めでたい。 とか思っている間にも、光は岩に吸い込まれて消える。「これで、【再生】できたはずだけど」「お、おい! あれを見ろ!」 ドワーフの一人が太く短い指を、坑道に向けて指した。「あそこで光っているのは、もう枯れた銀脈じゃないか?!」「ち、ちょっと待て。鋼鉱脈のほうにも……」「金脈も見える!」「鉱脈再生できたみたいだな」「すごい……!」 ヤガリくんは呆然としていたが、振り向き、膝をついた。「ありがとう、神よ。全ての鉱物が採れる無窮山脈から土くれしか採れなくなって久しい。それを再生することができるとは思わなかった。君はまさしく生神だ」「半径20キロだから、まだ山全体を再生させるまでは全然行かなかったけど」「いや、十分だ」 ヤガリくんは首を振る。「掘る人員も、加工する人員も少ない。神が再生してくれた鉱脈を掘りつくすにはしばらく時間がかかるだろう」「そうかあ」「でも、おかげでおれたちは生き甲斐を取り戻せた。ありがとう」 もう一度膝をついたまま、ヤガリくんは深々と頭を下げた。「ここに、聖地って言う場所はある?」「聖地?」 ヤガリくんは難しい顔をした。「この山そのものがおれたちドワーフの聖地と言っていい」「何処か、祈りを捧げるような、シンボルっぽい場所がいいんだけど」「そんな場所がいるのか?」「【神威】で、俺と神子は聖地と認定された場所から場所へ転移することができるんだよ」「なるほど、必要な時に必要な場所へ時間をかけずに移動ができるわけか」「うん。今のところ原初の神殿と森エルフの泉だけなんだけど」「森エルフが大挙してこの神聖なる無窮山脈に押し掛けると言うのか!」 話を聞いていたドワーフの一人が、憤慨したように声を上げる。「違う違う。転移できるのは俺と神子だけだから、転移できる森エルフは今のところ一人しかいない。だけど、持ち物を運ぶこともできるから、鋼と食料のやり取りなんかができる」「そ……れは……」「確かに……」 大地の一族とか言ってるけど、岩や土を食べて生きていけるわけ
last updateLast Updated : 2025-12-16
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第36話・みんなで作ろう

「この山脈を戻してくれた神を崇める聖地が邪魔にならない場所にひっそり創られたら、罰が当たる」「いや当てないけど」「鉱山長」 ヤガリくんは一番年寄りのドワーフに言った。「この場所……生神が最初に降り立ち神威を見せた場所に創るのが相応しいと思うが」「うむ、同意しよう」 鉱山長が頷く。「どのような聖地を創るのだ?」「俺の思った通りになるみたいだけど……希望とかアイディアとかがあったら出してくれれば」「よし、紙を持ってこい!」「全員で考えるぞ!」「森エルフの泉なんぞ屁でもない聖地を作ってやるわ!」「えい、えい、おう!」「うん、ちょっと考えてて。ヤガリくんはついてきて。他の神子と顔合わせするから」「ああ。……森エルフもいるんだろう」「ちょっと君と合わないかもしれないけど、ケンカはできるだけ避けてね。穏健に」「ああ。おれたちを救ってくれた神の頼みだ、耐えろと言われれば耐える」「我慢しすぎて爆発しないように頼むよ」「大丈夫だ」 自在雲半分に乗せて、上空に移動する。「シンゴ様!」 シャーナが声を上げる。 その後ろでレーヴェが露骨に顔をしかめている。「レーヴェ、黙ってても顔で言っている」「……申し訳ない」「手前が第一の神子シャーナ・リザー」「初めまして。歓迎いたします」「森エルフがレーヴェ・オリア」「……よろしく」「あと灰色虎のコトラ」「ぅな!」「彼は神子になったヤガリ・デイくん」 ヤガリくんは頭を下げた。「神に鉱脈を再生してもらった恩義がある。どんなことでも言ってくれ。おれができることなら何でもする」「で、シンゴ様。今下では何を?」「ドワーフの皆さんが自分の聖地をデザインするんだって盛り上がってる」「聖地がないのですか?」「ドワーフにとっては、全ての鉱石を内包する無窮山脈そのものが聖地だ」 ヤガリくんはぶっきらぼうに言った。「だから、今は鉱脈を再生してくれた神に祈る聖地を作るのだと頑張っている」「なるほど、生神様そのものをお祀りする聖地か」 レーヴェが感心したように言った。「ドワーフにしては洒落たことを考えるじゃないか」「レーヴェ」「……失礼」「いや、気にしていない」 ヤガリくんは首を振った。「森エルフはそう言う感じだと分かっているから、今更気にしない」「生神様ー!」 がなり声が聞こ
last updateLast Updated : 2025-12-16
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第37話・聖地完成

「これでどうだ!」 紙があちこちにとっ散らかって、その中で一番白い紙をドワーフたちは俺に押し付けてきた。「へえ」 鉱山の広間に収まるように、小さな透明の鉱石が奉られている。その現物となる物は、紙と一緒に添えられていた。「これは?」「生神様が再生してくれた鉱山から最初に採った水晶の結晶だ」 ドワーフの一人が胸を張る。「このことを永遠に忘れない。生神様を忘れないというドワーフの約束だ」 何だか胸が熱くなってくる。「よし……じゃあ……行くよ……」 【神威・創造】……Y! バシッと岩壁に光が当たり、そこから掘り出されたような、結晶の御神体を奉る聖地が出来た。「おおおおお!」 ドワーフがどよめく。「儂らの思った通りの出来だ!」「やはり神の力はすごい!」「これなら森エルフにも負けはしない!」 わあわあ盛り上がっている。「じゃあ、鉱脈を【再生】しながら森エルフの大樹海に戻るとするか」「山を再生しながら?」「うん、急ぎの用事もないから、再生しながら戻って、それから森エルフの農具を直して食糧を確保して、こっちに流せるようにするんだ」「森エルフからか?」「だって、皆さんは畑仕事できないでしょう?」「う」 岩山だから耕せる場所ないしな。 ヤガリがもう一度雲に乗り直す。「ヤガリくんは神子だから聖地の行き来ができる。森エルフの一人だけしかここに行き来できないから、森エルフが大挙して押し寄せるってことはないから安心して」「う……む」「要は、儂らは、森エルフから食料を得るのと引き換えに鋼などを加工して渡せばよいのだな?」 頷いて、俺も雲に乗る。「いいのか?」 ヤガリくんが小声で聞いてきた。「聖地を使えばすぐにでも森エルフの所に戻れるんだろう?」「だけど、途中途中で再生を使わなきゃいけないから」 行きはドワーフの所に向かって急いでいたから【再生】できなかったし。 だからこそ、無窮山脈から大森林に至る道を【再生】しつつ戻ろうかと考えたわけ。 もう一度パンと干し肉を増やせるだけ増やすと、俺とヤガリくんは手を振って上空の雲と合流した。
last updateLast Updated : 2025-12-16
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第38話・戦い

 鉱山無窮山脈を出た所で、俺は【再生】をかける。 途端に荒れ果てた地面は鮮やかな緑を生み出した。「本当に、すごいな」 ヤガリくんは感心していた。「神の力は、使いたい放題なのか?」「え?」「パンを何度も増やしたように、一日何処までしかできないとか、そう言うルールがあるのでは?」「あー、確かに」 それは調べてなかった。 広がった森の中、雲を低速で移動させながら、俺はM端末で調べる。 それによると、【神威】は一回に一度しか使えない。ただ、連続で使ったり別の【神威】と組みあわせて使うのは問題ないらしい。つまり、一度の【増加】で規定以上パンを増やす数を倍にすることはできないけど、直後に【増加】してパンを増やすのは全然問題ないらしい。 う~ん、神の力。 その説明を聞いたヤガリくんも、しばらく口をぽかんと開けていた。「神の力に限度はないのか」「いや、力は信仰心だから、神子が俺のことを信じてくれれば、もっと強い力が使えるし、神子が俺を見限れば俺の力はなくなる」 その時、M端末に文字が浮かんだ。【チュートリアル2・敵対勢力との戦い】「敵対勢力?」 滅びかけた世界に敵対する勢力なんてあるのか? 俺は森エルフの泉に向かって真っすぐ雲を走らせながら、チュートリアルを見る。【ワールド・モーメントには、生神と敵対し、この世界を滅ぼそうとする勢力が幾つか存在します。これまでの生神の行動によって、生神の降臨を知った勢力は、生神を抹殺しようとするでしょう】「は?」 どうしたどうした、と神子たちが集まって来るけど、まだチュートリアルは続いているので俺は画面を滑らせながら説明を見続ける。【そのうちの一つが接近しているようです。敵対勢力はワールド・モーメントに属する存在ですが、世界を滅ぼそうとする存在でもあります。生神が世界を再生しようとする限り、戦いは避けられません】 どうすれば……。 画面をスライドさせると、次の文章が出ていた。【生神の戦い方には、直接戦闘・援護戦闘があります。生神自らが武器を持って戦う直接戦闘と、戦闘が得意な神子に任せて援護する援護戦闘です。直接戦闘は生神が、援護戦闘では神子が負傷あるいは死亡する可能性があります】「マジか」「何の話だ?」「いや、もうちょっと待って、全部出たら説明するから」 画面にはチュートリアルが浮かび続
last updateLast Updated : 2025-12-17
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第39話・生神の戦闘

「神を殺そうとする?」「このまま世界が滅んでしまえばいいと言うのか。理解できない」「理解できずとも、敵は攻めてきます。どう対応するか……」「この剣を【再生】してもらえれば私は戦える」「おれの斧も【再生】してもらえば十分戦える」 リーヴェもヤガリくんも錆びた得物を掲げ、戦闘準備態勢に入っていた。「いや、ここは……」 俺は少し悩んでから、言った。「俺が戦おうと思う」「危険です!」「死ぬ気か?」「ぅな!」「死ぬ気はないよ。ただ、今、神子を失うのは痛い」「痛い?」「少なくとも森エルフの大樹海とドワーフの無窮山脈を立て直そうって時に、【属性・植物/獣/大地/鉱石】を失うわけにはいかない。それに、敵が神に通用する武器を持っているとも限らない。神殺しの武器さえなければ俺は傷付かないって言うんだから、それなら俺が対抗したほうがいい」 俺は雲を止めて、【直接戦闘】を選択した。 M端末に新たなステータス。【遠矢真悟:生神レベル28/信仰心レベル11200/戦闘レベル1 神威:再生10/神子認定4/観察6/浄化6/転移1/増加4/創造2/直接戦闘3/援護戦闘1 属性:水5/大地3/聖6/植物4/獣4/岩3/鉱石3 直接戦闘神威:[攻撃]水流《ウォーター・フロウ》・水/[防御]木壁《プラント・ウォール》・植物 固有スキル:家事全般/忍耐 固有神具:自在雲/導きの球】 戦闘神威、これか。なるほど、持っている【属性】で決まるわけだな?【神威名を唱えることで、神威は発動します。声が大きければ大きい程威力は上がります】 なんだそれ恥ずい。技の名前叫べってか。 しかしそうしないと戦えないって言うのなら……。 引き留めようとする神子たちを雲に乗せておいて、俺は大地に降り立った。 敵意が近付いてくるのが分かる。 戦ったことなんて、ない。 親なしと言うことでいじめられたことならあるけど、あいにく俺は大人しくいじめられている子供じゃなかった。きっちり報復するタイプだった。おじさんもそういう時は加勢してくれる人だったので、いじめっ子とその親に頭を下げさせるまで報復はやめない人間で、……それでも、命懸けの戦闘ってのはしたことがない。 さて、この水流と木壁でどう戦うか。 荒れ果てた大地の向こうから足音と人影。 俺は身構えてそいつらが来る
last updateLast Updated : 2025-12-17
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第40話・レベルアップ

「なっ?!」「おお。すげえ」 自分がやったこととはいえ、まあ……。「植物だと?! あの忌まわしい生命を出すとは……」「こいつ、もしや」「生神か?!」「当たりー、からの……」 俺は腹の底から大声を上げた。「水流!」 ずががががっ! 地面を割って出てきたのは、水。 うねるように水流は豚面を薙ぎ払う。「ぴぎゃあああ!」 悲鳴を上げて、豚面はしゅん、と姿を消した。【ノーマル・オークを三体倒しました。レベルアップしました】 チュートリアル再び発動。 あの豚面はノーマル・オークって言ったのか。【遠矢真悟:生神レベル30/信仰心レベル12000/戦闘レベル3 神威:再生10/神子認定4/観察6/浄化6/転移1/増加4/創造2/直接戦闘5/援護戦闘1 属性:水5/大地3/聖6/植物4/獣4/岩3/鉱石3 直接戦闘神威:[攻撃]水流《ウォーター・フロウ》・水/[防御]木壁《プラント・ウォール》・植物 固有スキル:家事全般/忍耐 固有神具:自在雲/導きの球】 わーいレベルアップ。「無事ですか?!」「無事だよ」 と、チュートリアルが続いていた。【戦闘神威は攻撃と防御に分かれます。生神が想像した神威に名前を付け、その名前を声に出してください。それが今後使える【神威名】となり、同じ効果の神威をいつでも使えるようになります。水流《ウォーター・フロウ》と木壁《プラント・ウォール》の名前変更も可です】 え、オリジナル神威は名前つけなきゃなんないの? コトラで分かるように、俺のネーミングセンスは、はっきり言って、ない。「あの」「ん? シャーナ?」「何かわかりませんが、とりあえず移動しながら考えません? あのような魔物が出てきたのですし」「魔物?」「恐らくは敵対勢力。私たちを殺そうとする生き物を魔物と言います」「……世界を滅ぼしたい勢力か」
last updateLast Updated : 2025-12-17
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