บททั้งหมดของ 久我探偵事務所の灯りの下で: บทที่ 71 - บทที่ 80

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探偵の備忘録②

 役所へ寄ってから事務所へ戻り、久我は一人で留守番をしていた事務員へ声をかけた。「急で悪いんだが、明日から三日ほど休む」 神崎寿直は手を止めて顔を向ける。「何かあったんですか?」「今朝の手紙のことだ。知人が孤独死したそうでな。明日火葬されるから、立ち会いたいんだ」「それは、なんというか」 神崎が適切な言葉を選べないでいるのにかまわず、久我は続けた。「遺言書によると、相続人は僕になっていた。彼の部屋の片付けもしたいし、墓も見つけないとならない」「それ、三日で全部できますか?」「分からない。可能なら、一ヶ月ほど休みたいところだな」「そうですよね。そちらの件が片付くまで、おれたちで仕事を回します」「ありがとう、神崎。他のみんなにも伝えておいてくれ」「言われなくてもちゃんと知らせますよ」 と、神崎は少し生意気に言ってから、再びキーボードをたたき始めた。 今日中にできることを済ませて帰宅すると、どっと疲れが出てきたようだ。 重たい体でかろうじて食事をし、浴槽を掃除した。 湯がたまるまでの間に、久我はかばんからノートを出して開いてみた。 春野らしい几帳面な文字で、文章がつづられていた。「昭和40年(1965年)10月15日、群馬県安中市の◯✕病院にて生まれる」 どうやら彼の人生の記録らしい。 時々、古い写真が貼り付けられていて、久我はつい夢中になって読みふけってしまった。「小学2年、おさななじみのユキちゃんを泣かせて母にしかられる。今となってはかわいい思い出だ」「小学6年、従兄のたっちゃんが家で下宿を始める。 夏には花火大会へ連れて行ってもらった。あの日の花火はとても綺麗で、今でもたまに思い出す」 久我の涙腺がゆるみ、あわててティッシュペーパーでぬぐった。「中学3年、通学路にある柳の下で、クラスメイトの佳子ちゃんから告白される。 恥ずかしくて思わず断ってしまったけれど、本当は彼女が好きだった。もったいないことしたなあ」 浴室から異
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探偵の備忘録③

 久我探偵事務所のホームページには「探偵の備忘録」と、名付けられたページが存在する。 所長の久我が不定期に更新するコラムで、法的な豆知識や探偵業のリアル、時には出先で見つけた景色などを紹介していた。 半年ぶりに久我はコラムを書き、投稿した。『先日、年上の友人が孤独死しました』という一文から始まる文章は、仲間たちの協力を得てじわじわと閲覧者を増やしていった。『妻に先立たれ、子どものいなかった彼は、法的効力のある遺言書を残し、私を相続人に指定しました。 おかげで彼の火葬に立ち会うことができ、骨壺の引き取りもできました。 数日前に彼の奥さんが眠る霊園を訪れ、無事に奥さんと同じ墓へ納骨できて、今はほっとしています。 あとは彼の住んでいた部屋の片付けをするだけです』 窓を全開にし、久我は指示を出した。「本は全部ダンボールに詰めてくれ。とりあえずレンタル倉庫で保管して、あとで僕が選別する」「家電は粗大ゴミですか?」 と、最年少の若手調査員・相楽浩介が聞き、久我は即答する。「いや、リサイクルショップに売る。午後に鯉川さんが来てくれるから、そっちの軽トラに積んでくれ」「事務所総出って感じっすね。ワンルームなのに」 けらけらと明るく笑ったのは、事務所を始めてからずっと共にいる相棒・間遠桜だ。「部屋が狭いからってバカにするな。僕たちは今、一人の人間の人生を解体しようとしているんだぞ」 そう言いながら押し入れを開き、久我は持ってきたダンボールへ本を詰め始めた。 間遠は相楽と顔を見合わせてから言った。「そうっすよね。すみませんでした」 ついこの前まで人の住んでいた部屋だ。解体する、という言葉には久我の感傷も含まれていた。「気にしなくていいから、早く始めてくれ。今日中に終わらせたいんだ」「そうでしたね! えっと、服はゴミでいいですよね?」 相楽が確認し、久我は手を止めずに返した。「綺麗なものは売るから捨てないでくれ」 間遠が台所周りを見ながら言う。「
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幸福な帰路①

「しまっておいてくれ」 と、所長の久我健人から書類を受けとった。「分かりました」 いつものように神崎寿直は机の上へ置くが、依頼人の名前を見て目を丸くした。 署名捺印がされた契約書だった。 今回の依頼人は朝比奈優弦。年齢は35歳で、自分が代表を務める会社の風評被害を調査してほしいらしい。 しかし、まさか彼ではないだろうと思いながら、神崎は必要な情報だけを抜き出して、データベースに登録していく。 作業を終えると席を立ち、金庫へ向かった。 鍵を使って金庫を開け、契約書類をまとめたファイルを取り出す。そこへ朝比奈の書類もしまい、金庫を閉じた。 依頼人とやりとりをするのは主に所長であり、報告の際、実際に調査を担当した者が顔を出すこともある。 しかし応接スペースはパーテーションで仕切られており、奥で事務仕事をしている神崎が依頼人と顔を合わせることは稀だ。 また、客へ出すお茶は飲み切りサイズのペットボトルにしていた。 応接スペース内の冷蔵庫にしまってあり、久我が接客の始めにペットボトルを出すのが恒例だ。 そうした事情から、今回もどうせ顔を合わせることはないだろうと考えながら、神崎は席へ戻った。 調査はまず鯉川宗吾が担当した。 ネット上の口コミを徹底的に調べあげ、最初の風評被害が書きこまれた時期を正確に特定した。 その書きこみがいかにして広まっていったかの経路についても、大まかながら把握することができた。 さらに、口コミを書きこんだユーザーに関しても情報を集めた結果、どうやら半年ほど前に、朝比奈の会社との間で何らかのトラブルがあったらしいことが分かってきた。 次に間遠桜が現場での聞き込みを担当した。朝比奈の会社へ向かい、まずは社員たちに接触を試みたが、口は重かった。 そこで視点を変え、取引のある業者や、長年の付き合いのある客など、外部の関係者にも地道に話を聞いて回った。 粘り強い聞き込みの結果、ようやく風評被害を流したと思しき容疑者が
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幸福な帰路②

 相楽の疑問に神崎は答えられなかった。 部屋の中は静かで、電源の入っていないテレビだけが、二人の姿をぼんやりと写していた。 すると相楽がはっとして言う。「あっ、すみません! 答えたくなければ言わなくていいですっ」 理性を取り戻したようだが、相楽が気になってしまう気持ちも分からないではない。 神崎は「ちょっと待って、考えるから」と、伝えて過去の記憶を引っ張り出す。 しかし、朝比奈と付き合うことになったきっかけはもう覚えていなかった。「おれが高校生の頃、体を売ってたのは知ってるよね? あの頃、ほとんど家に帰らないで、深夜に街をうろうろしてたんだ」 過去の話をするのは苦しい。しかし、神崎はきちんと話すしかないと思った。「朝比奈さんと出会ったのも、深夜の繁華街だった。 何を話したか、どういう流れでそうなったかは覚えてないけど、最初は食べに連れて行ってくれたんだ」 相楽は口を閉じて神崎の話に耳を傾けていた。「それから次に会った時、セックスした。確かその時、彼の方から付き合おうって言ってきて、おれはなんとなくうなずいた」「好きじゃなかったんですか?」「言ったでしょ、疑似恋愛だったんだ。少なくとも、おれの方はね」 そう返した直後、朝比奈の方はどうだったのだろうと思った。本気で神崎を恋愛対象として見ていたのだろうか?「でも、そんなんだからダメだったんだ。距離が近づくほどに、なんだか怖くなっちゃって……えーと、なんて言えばいいのかな」 神崎が言葉に迷うと、相楽が立ちあがって食卓に置いていたスマートフォンを手に戻ってきた。 黙ってスマホを操作する彼を見ていると、ふいに画面が突き出された。「もしかして、回避性パーソナリティ障害じゃないですか?」「え?」 目を丸くする神崎へ、相楽は説明する。「寿直さんがかならずしも当てはまるとは思いませんが、近いものはあるんじゃないかって、前から思ってました」 電子書籍アプリだった。何の本かは分からないが、回避性パーソナリティ障害について解説している。
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幸福な帰路③

 久我は朝比奈へ「分かりました。少々お待ちください」と言い、応接スペースを出て神崎の方へ来た。「神崎、朝比奈さんが君と話したいと言っている。今、大丈夫か?」「ええ、すぐに行きます」 神崎は席を立ち、やや緊張しつつ応接スペースへ入った。「失礼します」「ああ、よかった。君と話したいと思ったんだけど、今は仕事中だったな」「短い時間でしたらかまいませんよ」 と、神崎がソファへ座ろうとすると、朝比奈は言った。「仕事が終わるのは何時なんだい? もし予定がなければ、どこか喫茶店にでも入って話そう」「分かりました。では、十九時過ぎに下のカフェで待っていてください」「分かった、下のカフェだね」「Cafe in the Pocket.と言います。ランチも美味しいですが、ディナーメニューもおすすめですよ」「それじゃあ、夕食をしながらということにしよう。失礼したね、また後で」 にこりと爽やかに笑い、朝比奈は立ちあがった。 仕事終わりにカフェへ入ると、朝比奈が来て待っていた。すでに食事を始めている様子だ。「お待たせしてすみません」 と、神崎が声をかけると、朝比奈はこちらを見てきょとんとした。 神崎の隣には相楽がいた。自分も同席したいと申し出てきたのだ。「同棲中の彼氏です」「はじめまして、相楽浩介と申します」 はきはきと相楽が名乗り、朝比奈はにこりと笑った。「ああ、そうだったのか。二人きりになるより、ずっといい。来てくれてありがとう、僕は朝比奈優弦だ。よろしく」「こちらこそ、よろしくお願いします」「どうぞ、座って」 うながされて神崎は朝比奈の向かいへ、相楽はその隣に腰をおろした。 今日は名城璃久がまだ働いており、おしぼりを持ってきた。 神崎がこの時間、ここで食べるものはいつも決まっている。「ボロネーゼとアイスコーヒー」「自分は煮込みハンバーグプレート、ライスで。あとホットのカフェラテをお願いします」「かしこまりました」
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ネットのおもちゃ①

 日曜日の夕方、新宿の繁華街から少し離れた喫茶店で、名城璃久は間遠桜と向かい合っていた。「それで、鯉川さんに何があったんですか?」 たずねる璃久へ間遠は困ったように笑う。「オレも久我さんから聞いた話なんで、くわしいことは分からないんだけどさ」 と、前置きをした。「先週の金曜日だから、一昨日だな。依頼の相談があったんだけど、久我さんは断ったんだ。明確に法に反するから、って」「その依頼っていうのは?」「確か、娘の写真がネットで拡散されてて、それを消してもらいたいって話だった」「写真を消す?」 璃久が首をかしげると、間遠はアイスコーヒーを一口飲んだ。「拡散される原因になった一人を見つけることはできても、警察はすでに拡散された写真を消すことまではできねぇんだ」「そうなんですか?」「その写真が投稿されたサイトの運営者を通さないとならないし、時間がかかる。削除要請が通っても、その写真を保存した別の誰かがいて、また投稿するかもしれない。つまり、いたちごっこなんだよ」「ああ、なるほど……」「他に写真を消すとしたら、それこそハッキングするしかない。でもそれは犯罪だから、久我さんは断ったんだ」「それで?」「けど、鯉川さんが引き受けたらしい。それも、個人的にな」 璃久はびっくりして目を丸くした。「いくら止めても聞かなかったそうだ。なんか鯉川さん、怖い顔してたって久我さんは言ってたな」 間遠の目に心配の色が浮かび、璃久は言った。「実は今日、鯉川さんと食事をする予定だったんです。でも、ドタキャンされちゃって」「マジかよ、あの鯉川さんが?」 間遠が驚き、璃久は返す。「ボクもびっくりしちゃいました。だから、何かあったのかなと思って、間遠さんに連絡したんです」「そういうことだったか。となると、写真の削除をちまちまやってるのかもしれねぇな」「そうなりますよね。何だか心配です」 と、璃久は伏し目がちにテ
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ネットのおもちゃ②

 鯉川がシャワーを浴び終えた頃、璃久も足の踏み場ができる程度には片付けができた。「ごめんね、璃久ちゃん。ありがとう」 と、濡れた髪のまま鯉川が戻ってきて、璃久はゴミ袋を部屋の隅へ積む。「別にいいんですよ。それより、みなさんから話は聞きました。大丈夫ですか、鯉川さん」 璃久がじっと鯉川を見つめると、彼は視線をそらした。「ごめん。でも、やらなきゃいけないんだ」「ハッキングして写真を消してるんでしょう?」 間髪をいれずに璃久が問うと、鯉川はパソコンの方を見て返す。「六年前に自殺した娘さんなんだ。 ネットのおもちゃにされてて、ひどいのだとディープフェイクまで作られてた。消したいって思うのは当然だよ」「だからって、鯉川さんが無理をしてまで、引き受ける必要はあるんですか?」 鯉川はため息をつき、奥の部屋からペットボトルのミネラルウォーターを取ってきた。「座って話そう。これ、飲んでいいよ」「ありがとうございます」 ペットボトルを受け取り、璃久は座卓のそばに腰を下ろした。 鯉川も座卓を囲んで左側に座り、キャップを開けて水をごくごくと飲む。しばらく水分補給すらしていなかったようだ。 半分ほど飲み干してから、鯉川は口を開いた。「昨日はドタキャンしちゃって、ごめん」「いえ、また今度にすればいいだけですから」「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、おじさんには話したくないことがたくさんあるんだ」「もしかして、ボクに帰れって言ってますか?」「……ごめん。せっかく来てくれて悪いけど、部屋も片付けてもらっちゃって悪いけど、できれば早く帰ってほしい」 いつもより伸びた無精髭が痛々しく見えた。普段の軽口は影すらなく、鯉川は弱々しい顔をしていた。「嫌です、って言ったら?」 鯉川がのぞきこむように璃久の目を見る。「璃久ちゃんって、可愛い顔して押しが強いんだよね」 からかうような口調ではなく、むしろ自信の情けなさを反映したような台詞だった。 璃久もミネラルウ
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ネットのおもちゃ③

 璃久は膝を立てて三角座りをした。ぎゅっと膝を抱き、顔を埋めるようにして考える。 昨日、間遠が言っていた。ネットで拡散された写真を消すのは、いたちごっこだと。 璃久は悲しい気持ちになりながら言った。「終わりがないことをやっている自覚、ありますか?」「ああ、あるよ」「それでも、やめられないんですか?」「やめられないね。どうしても、俺がやらなきゃって思っちまう」 鯉川は立ち上がり、台所へ行くと冷蔵庫を開けた。 缶ビールを取り出し、その場でごくごくと飲み始める。「俺の両親はある意味、賢かったんだ。そういう写真に高値をつけても、買う人間がいることを知ってた」「……」「でも、それがあいつの……違うな、俺の人生までもを壊しちまったんだ」「もうやめてください、鯉川さんっ」 璃久が声をあげると、鯉川が冷めた目を向けて自嘲する。「璃久ちゃんには分からねぇよな、俺の気持ちなんてよ」「分かりません。でも、鯉川さんのやってることが、リストカットと同じだってことくらいは分かります!」 鯉川が目をみはり、璃久は震えそうになる足で立ちあがった。「もう許してあげてください。自分のこと、許してあげて……っ」 ぼろぼろと涙がこぼれ、頬を伝い落ちていく。「鯉川さん、もういいでしょう? もうそんなに自分をいじめなくても、いいはずでしょう?」「……贖罪だとしても?」「そんなの、自己満足じゃないですかっ。 もういない人に向けて罪滅ぼしをしたって、満足するのは自分だけじゃないですか!」 言ってからはっとした。「違う、満足なんてしない。するわけがないんです」「……」「だって、鯉川さんは満足しようとしてないでしょう? 行為が目的になってて、結果を見ようとしてないんです」 鯉川が小さく笑った。「すごいな、璃久ちゃんは。そうだ、俺は満足なんてしな
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灯りの下①

「これ、レイのいたずらっすよね?」 間遠桜はそう言ってスマートフォンの画面を久我健人へ見せた。 映っていたのはメッセージアプリのスクリーンショットだ。内容は間遠に対する悪口だった。「送られてきたのか?」 と、久我が眉間にしわを寄せるが、間遠は言った。「璃久ちゃんへの嫌がらせの後、しばらく何もなかったんで、忘れられてなくてよかったです」「……それで?」「今度はオレと遊びたいんだな、って返信しました」「傷つかなかったのか? あんな悪口を言われてたんだぞ」 間遠はスマホを操作しつつ、ちらりと久我を見やった。「別に。だってレイの捏造だってバレバレですし」「そうなのか? だが、どう見てもあれは……」 久我が困惑するのは当然だった。 大学の陸上部の仲間たちが、怪我をして走れなくなった間遠を嘲笑する内容だったからだ。 間遠は自信満々ににかっと笑う。「明らかなミスを犯してるんすよ、あいつ」 そして鯉川宗吾を振り返った。「鯉川さん、今送った画像の解析、お願いします」「明らかなミスしてるって言ってなかった? おじさんがやる意味ある?」「無視するのも可哀想でしょ。とにかく、お願いしますね」 と、間遠は自分の席へ戻った。 鯉川は久我と顔を見合わせて首をかしげるが、間遠はかまわずに今日のスケジュールを確認し始めた。 調査から戻る頃に、またレイからメールが届いていた。 今度は音声ファイルが添付されており、間遠は久我の前で再生した。 古い音声ということにしたいのだろう、ノイズが入っていて聞き取りにくいが、部員たちが間遠の悪口を話しているのが分かった。「すっげーな、レイって。こんなもんも作れるのか」 と、間遠が感心すると、久我は微妙な顔をした。「これも捏造か?」「当然っすよ。っつーか、何か勘違いしてるっぽいな」「どういうことだ?」
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灯りの下②

 レイは理解しがたいと言った顔をする。「でも、いなかったじゃないか」「うん、ここしばらくは忙しいみたいで、顔出してないな。けど、そもそもはゆるく体を動かすのが目的だ」 駅前のベンチから人が減り、夜の静けさが漂い始める。「たとえばサッカーをやりたい人がいたら、同じくやりたい人を集めてやる。 だいたいは休日の数時間で、長時間の拘束はしないのがルールだ」「何、それ……」「人数が多いと試合になることはあるけど、勝ち負けにはこだわらない。 スポーツを楽しみたい人だけが集まってるからな」「……意味分からない」「レイにとってはそうかもな。でも、居心地のいい場所ってのは、かならずどこかにあるものなんだよ」 間遠は経験から知っていた。「伊上がそれを作ってくれて、オレはまたスポーツを楽しめるようになった。 だから、あいつにはめちゃくちゃ感謝してるんだ」 辺りが薄暗くなり、駅前の明かりが存在感を増す。「それでさ、話は少し変わるんだけど、今度はオレが居場所を作ってやれないかって思ってる」「……」「レイ、オレがお前の居場所になるから、来いよ」「来いって、どこに?」 戸惑うレイに間遠はまぶしい笑みを向けた。「決まってんだろ、久我探偵事務所だよ」 意外にもレイは嫌がらなかった。 間遠は扉を開けて中へ入るようにうながし、レイがおずおずと室内へ足を踏み入れる。「お待ちしてました!」 と、開口一番に言ったのは名城璃久だった。 数歩進んだところでレイが立ち止まる。温かい視線ばかりではないことに気づいたのだろう。 実際、久我と相楽はまだ納得していない様子であり、鯉川も困惑顔だ。 にこにこと笑っているのは璃久だけだった。「や、やっぱり帰る」 視線に耐えかねたのか、怯えた様子を見せたレイへ、神崎が声をかけた。「あなたのために用意した料理、無駄にする
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