「ゆきちゃん、まだかなぁ」 リビングの窓から曇天模様の空を見つめ、つい口から漏れてしまった言葉。 あれから二日。今日はゆきちゃんが返ってくると約束した日だ。 ゆきちゃんのいない我が家はまるで明かりが消えてしまったようで、今日の天気もあいまってとても暗く感じてしまう。 お姉ちゃん達もみんなリビングにいるけど、みんな言葉少なく、何を待っているのかは聞くまでもない。「ひより、ウロウロしてないで少し落ち着け。動物園の熊じゃねーんだから」 より姉に指摘されて気が付いたけど、そういえばさっきから座ったり立ったりを幾度となく繰り返している。「うん、ごめんなさい」 そう言って座るけど、やっぱり心は落ち着かない。 もう一度立ち上がり、窓の外を眺める。より姉も今度は何も言わなかった。みんなも気持ちはおんなじだよね。 じっと空を見ていたら、窓ガラスに水滴が落ちてきた。「あ、雨」 最初は小雨だったけど、それはやがて|篠突《しのつ》く雨となり、視界を遮ってしまう。 静寂が漂うリビングに、激しい雨の音だけが大きく響き渡る。やけにうるさく感じてしまうのはどうしてだろう。 遠くに稲妻の光が見えた。少し遅れてゴロゴロという地響きのような音。そういえばゆきちゃんって雷も苦手なんだよね。「駅まで迎えに行こうかな……」「わたしも行く」 わたしのつぶやきにあか姉が答えた時、玄関の方から扉を開ける音がした。 それは雨の音にかき消され、注意していないと気づかないような音だったけど、誰も聞き逃すことはなかった。みんな即座に反応し、立ち上がって玄関へと向かう。 玄関へと続く扉を開けると、そこには今一番見たかった姿があった。愛しさで胸が締め付けられる。 肩で息をし、ずぶ濡れになっているその狂おしいまでに愛する人は、半べそをかいていた。「雨が降ってきたら雷まで鳴り出すんだもん。怖かったよぉ」 帰ってきたらみんなでボコボコにしてやろうと言っていた。「顔はやめとけ、ボディーにな」 より姉それってどこのスケバンですか。 だけど、まるで何年も会っていなかったかのように懐かしく感じてしまうその姿を見た瞬間、そんな気持ちはどこかへ消え失せてしまっていた。「もう、そんなに濡れてしまって。早くシャワーを浴びてください」 かの姉がタオルで優しく頭を拭いてあげながら声をかける。
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