「う~、頭いちゃーい」 ぐわんぐわんと頭の中で鐘が鳴り響く。ついでにちょっと気持ち悪い。 昨日はおいしいジュースを飲んでなんだかいい気分になってたけど、なんでこんなことになってるんだろう。「ゆきちゃん、昨日のことは何も覚えてないんですか?」 かの姉が心配そうに覗き込んできた。姉妹たちはまだ化粧や身支度に勤しんでいる。化粧の必要がない男の子でよかった。 そんなことはない。わたしに忘れるという概念は存在しない。 全部覚えている……けれど、結構まずいことをいってしまったなぁ。わたしを解放してください、か。 わたしはいったい何から解放されたいんだろうか。 みんなからの想い? 決まっているこれからの運命? それとも……この人生全てから?「ゆきちゃん? 具合が悪いならもう少し横になっていていいですよ。着替えだけここに置いておきますから、ゆきちゃんの荷物はこっちでまとめておきますね」 わたしの荷物の中にあるはずの着替えがなんで用意できるんだろう? と思ったら女性用だった。 そう言えば三日分の衣装はみんなで持ってきてるんだったっけ。わたしが用意した服の意味がなかったな。「ゆきちゃんの荷物、わたし達が持ちますからね」 ギクッとした。わたしの荷物……。昨日言ったことの意味も入ってるのかな。「どうしたんですか? その状態じゃ、大きな荷物を抱えるのは大変でしょう? 一人では大変でもみんなで分担すれば軽いものですよ」 穿ち過ぎか。だけど、みんなで分担すれば軽いもの……。 わたしの抱えてるものも、みんなで抱えれば少しは軽くなるのかな。そんなこと、出来るはずもないけれど。「ううん、大丈夫。自分の荷物は自分で持てるよ。それより昨日の後片付けをしないと」「そうやって無理ばかりしなくていいんですよ。甘えられるときは甘えてください。でないとわたし達も寂しくなってしまいます」 そうやってわたしのことで喜びを感じてくれるのは嬉しいんだけど。 どうすればみんなの執着心をわたしから逸らすことが出来るんだろう……。「ゆきちゃん、あなたの抱えているものが何かは分かりませんし、無理に聞こうとは思いませんけど、少しはわたし達のことも信用してはくれませんか?」「ん……」 決してかの姉たちの事を信用していないわけではない。むしろこれ以上ないほどに信頼感を持っている。 だけど
最終更新日 : 2026-03-15 続きを読む