All Chapters of 雪の精霊~命のきらめき~: Chapter 21 - Chapter 30

110 Chapters

第21話 初コラボ決定!

 Vtuberの個人勢でここまで勢いよく登録者が増えていくのは珍しいようで、10万人突破記念の生配信のときにキリママを始めいろんな人からお祝いと感嘆の言葉をいただくことができた。 人気が出るということはわたしの歌とダンスが認められているということでそのことが何よりも嬉しい。 それに芸能界にいたころよりも配信活動をしている今の方がたくさんの人々に支えられて活動をすることができているんだと実感できて、その人たちからの祝福もとてもありがたい。 最初期から応援してくれているこの人たちのおかげでさして苦労することなく収益化を達成することもできた。この人たちの応援が土台にあっての10万人だと思えば感謝しかない。【これだけの歌唱力とダンスだし10万人はまぁ当然ともいえるな。おめでとう!】【おめでとう!だけどワイ的にはもっと早く達成していてもおかしくなかったまである】【企業勢だったらもっと伸びがすごい人とかいたりするけど個人であっさり10万人とは大したもんだよ】祝福の声とともにもっと人気が出てもいいはずという意見も多数あり、心から応援してくれているという気持ちが伝わってきてすごく励まされる。 確かに子役の頃は何もしなくても人気が一気に爆発したから企業のプロモーション力というのはバカにできないものなんだろう。 でも、わたしはもうあの汚い世界に戻ることはできれば避けたい。 わたしの人気とお金だけに用がある大人たちの薄っぺらくて不自然な笑顔と心にもないあからさまなご機嫌取りやおべっかに囲まれて最悪の居心地だったあの世界を一度経験してしまえば、よっぽどの理由でもない限り誰が好き好んであの世界に戻りたいと思うものか。 あの頃に比べたらこうやってわたしの事を大切にしてくれる人たちに応援の言葉や祝福、賞賛をリアルにもらうことができて、それに対して直接お礼を言える今の環境の方が心を通わせられているようでどれだけ幸せな事かとしみじみ感じてしまう。「みんなありがとうね。わたしはもちろんもっと上を目指して地道に活動していくよ。そのうち誰もが認めるような大ヒット曲をバンバン作って世界に届けてみせるよ!」【さすがゆきちゃん、視野はもう世界に広がってるのね】【でもそれが納得できるだけのパフォーマンスを持ってる】【どれだけ有名になってもわたし達が応援するゆきちゃんは変わらないけどね】こうや
last updateLast Updated : 2025-12-18
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第22話 嬉し恥ずかし?

「あたしがついていく」 ダメでした。 テーブルを囲んだ姉妹たちにことの顛末を説明して外泊許可をもらうつもりだったのだけど、一番寛容だったはずのより姉の額に青筋が見えた。 めっちゃ怖い。打ち合わせに行くときは他の姉妹と違って理解を示してくれたのに。「外泊なんて10年早い!」 とのこと。理屈はわかるけどせめて成人したら許してね?でもこの歳になって保護者同伴はちょっと恥ずかしいな。「まだ中学生の分際で外泊なんて保護者同伴に決まってるだろーが」 心を読まれた。でもより姉がわたしと外泊なんてことになったら他の姉妹が黙っているはずもなく。「より姉だけズルい!わたしもゆきちゃんとお泊りしてみたい!」「わたしもついていく」「ゆきちゃんとわたしはいつも一緒ですよね」 まぁそうなるわな。でもこれは逆にいい案かも。「だったらみんなで東京観光も兼ねて旅行する?動画の収益が入ってるからそれくらいの費用は余裕で出せるよ」 みんなで行けば保護者同伴じゃなくて家族旅行がてらという名目も立つから少しは恥ずかしさも誤魔化せる。「東京に行くならおしゃれな服をあか姉に見繕ってもらいたいし、みんなも何か買い物したいものとかあるんじゃない?より姉もただ監視のためだけについてくるよりもいいでしょ」 ショッピングを餌にダメ押し。「さすがゆきちゃん!太っ腹~」 ひよりは無邪気に大喜びしてるけど、より姉はなんだか渋い顔をしている。2人きりがよかったとか……?まさかね。 みんな一緒の方が楽しいに決まってるし。と思っていたら反対意見が出た。「そんな、ゆきちゃんにばっかり費用を負担させるわけにはいかないですよ。行くならわたしたちが自分の分くらい費用を負担するべきです」「そうだな。全部おんぶにだっこじゃいくらなんでも甘えすぎだ」 より姉とかの姉、上の姉2人からそんな意見が出てきたので驚いた。今までお金のことでそんな意見が出たことはなかったからだ。「それは無茶だよ、収入があるのはわたしだけなんだし。それにわたしはみんながいるからお仕事を頑張れているんだからいつもわたしを大切にしてくれているお礼だと思ってくれたら……」「それでもダメだ。ただでさえ家の事もゆきに甘えてばっかりなのに、遊びに行くことまで甘えたらあたしらがダメ人間になっちまう。今回もわたしは自分の貯金で行くつもりだ」
last updateLast Updated : 2025-12-18
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第23話 飛躍の始まり

 きらりさんはわたしが想像していた通り、いやそれ以上に歌声だけじゃなく人間的にも素敵な人だった。他愛もない会話をしているだけでも楽しくて、あっという間に時間は過ぎ去りスタジオ入りの時が迫る。「気持ちの準備は大丈夫?緊張してない?」「はい!程よい緊張感はありますけど、今はそれよりも楽しみっていう気持ちの方が強いですね」「そのへんの舞台度胸はさすがってところだね」 スタジオに到着し、エレベーターでスタジオのある階に上がる。通路の先に構えられた金属製の両開きドアを開けると、そこにはかつての自分を思い出す懐かしい光景が広がっていた。 規模こそ小さいもののカメラや照明などが配置され、各担当のスタッフさんたちがせわしなく動き回ったり数人で固まって打ち合わせしている様子に子役の頃見慣れた光景が重なる。「どう?昔を思い出した?」「そうですね、懐かしい感覚です」「まぁ本物のテレビ局に比べたらスタジオと言っても小規模なもんだからゆきさんにとっては楽勝どころか物足りないくらいじゃない?」 悪戯っぽい笑顔で覗き込んでくるきらりさん。久しぶりの感覚に高揚感に包まれているわたしは返事の代わりに笑顔で応える。 機材のセッティングと装着をし、この2か月ですっかり慣れた自分のアバターのセッティングを済ませる。 テスト撮影でお互いのアバターが問題なく動くことを確認したらあとは待機。いよいよ本番だ。 待つことしばし。その間表示されていたおまちくださいの画面が切り替わり、わたし達2人の姿がモニターに映し出される。 まずは年長者のきらりさんから挨拶。「きらきらこんばんわ!彩坂きらりです!めちゃくちゃ話題になってたみたいだけど、今日はみなさんお待ちかね。わたしも超期待してた念願の今日のコラボ。わたしたちのスタジオに、その透き通った歌声で人気急上昇中の超大型新人YUKIさんが来てくれたよ!」「ただいまご紹介にあずかりました!雪の精霊YUKIが今日もみんなに歌声を届けるよ!今日は憧れのきらりさんとのコラボ!きらりさん、今日はお招きいただきありがとうございます!今ドキドキとワクワクで胸いっぱいです!昨日は興奮であまり眠れなかったので本番中に寝落ちしないように気を付けます」「眠くなる暇なんてないよー!同時接続数がわたしの方で60万、YUKIさんの方で25万超えてるからね!コメント追う
last updateLast Updated : 2025-12-19
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第24話 その頃彼女たちは

 久しぶりの家族旅行ということで東京までやってきました。 はじめての東京と言うこともあってひよりちゃんは大はしゃぎ。いつも無口で無表情な茜でさえ目をキラキラさせています。 依子さんもゆきちゃんの保護者同伴という気持ちがどうしても抜けないのか、ずっとべったりでいますけど旅行そのものは楽しんでいるようでしきりにゆきちゃんに話しかけています。 妹2人がはしゃいであちこち見て回っているおかげで、ゆきちゃんの隣をゲットするチャンスができたので腕を抱きしめてしっかりとキープ。 隙があったら見逃しません。 でも初日の観光は収録の事前打ち合わせということでゆきちゃんがまだ日も高いうちから早めに離脱してしまったので少し残念です。 ですがわたし達4人姉妹も仲が悪いわけではなく、むしろ普通の姉妹に比べても仲はいい方なのでそのまま楽しく観光を続行。 お買い物はゆきちゃんも揃う明日に回そうということで観光スポットをまわることに。 東京は狭いようで意外と広く、雷門や東京タワーなど数カ所を回っただけでそれなりの時間になり予約しておいたホテルにチェックイン。 空いた時間を思い思いに過ごし、夕食ではホテルの豪華な食事を堪能。確かに美味しかったのですが、わたしとしてはやっぱりゆきちゃんの手料理が最高の五つ星です。 夕飯が済むとみんなそわそわしだして、何を考えているのか手に取るようにわかります。かくいうわたしも同じ心境ですから。 もうすぐゆきちゃんの初コラボの配信が始まると思うと気が気ではありません。夕飯が終わるとみんなしてそそくさと部屋に戻り、スマホとイヤホンを装着してスタンバイ。 空き室の都合上わたし達4人が4人部屋1室で同室になり、ゆきちゃんは両親と同室。 2人部屋しかなかったらゆきちゃんと同室になるチャンスもあったのに残念です。 刻一刻と時間が近づいてくるにつれて、楽しみな気持ちと心配がないまぜになった複雑な気分になっていきます。 はじめてのコラボ相手は大人気Vtuberとはいえあくまでも女の子。 スタジオではアバターもなしの素の姿で向かい合うことになるので、男女の垣根を超えた美しさを持つゆきちゃんの魅力にただならぬ感情を抱いてしまったらどうしましょう。 わたし達の弟はただ見ているだけで幸せな気分になれる妖精のような美貌をもっているのですが、困ったことに男女問
last updateLast Updated : 2025-12-19
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第25話 祭りのあと

 配信が21時開始のため終わった時点ではもうすっかり夜更け。手早く後片付けをしてホテルに戻ろうと準備していたらきらりさんから声をかけられた。「タクシーを手配したから一緒にどうぞ」 同じホテルに帰るのに断るのはあまりに他人行儀すぎると思い、お言葉に甘えて同乗させてもらうことにした。 帰りの車中、今日の感想など語り合いながら楽しく過ごしていたのに、ホテルが近づくにつれ口数が少なくなっていくきらりさん。「さすがにもう眠くなってきましたか?」 疲れたのかなと思ってそう尋ねると、微笑みながら首を横に振る。でもその笑顔は曇っていた。「今日はね、Vtuberをやりだしてから初めて!ってくらい本当に楽しかったの。それがもう終わっちゃったんだと思うとなんだか寂しくなってきちゃって」 そこまで楽しんでくれていたなんて!嬉しさに心が躍る。 同時にきらりさんの表情から、そんな楽しい時間が終わってしまったという寂寥感が感染してわたしの胸にも寂しさが湧き上がる。 でも、わたしときらりさんにはきっとこういう湿っぽい空気と言うのは似合わない。リスナーさんたちならそう思うはず。「祭りの後というのはどうしても寂しくなってしまいますよね。でも今日で終わりってわけじゃないですよ!今日もとっても好評だったしまたコラボしましょうよ。なんならリスナーさんから【またかよ】って言われるまで何度もやったっていいじゃないですか!」 そう言って笑いかけると、目にいっぱい涙を浮かべながら服の裾をつかんできた。「本当!?また一緒にやってくれる?これで終わりじゃない?またわたしと会ってくれる?」 う……そんな期待に満ちた目ですがりつかれると……。かわいい……。6歳年上なのにまるで少女のような顔で迫られてドキドキしてしまう。「も、もちろんですよ!またきらりさんと一緒に歌いたいし、今日みたいに楽しい時間を過ごせるのはこちらとしても大歓迎ですよ」 少しでも安心してもらえるようとびっきりの笑顔を向けると、ようやくきらりさんの顔に笑顔が戻ってきた。 車中は暗いからよく見えないけど心なしか顔が赤いような?「歌だけかぁ……わたしはそんなの関係なしにいつでもゆきさんに会いたいのに……」 ごにょごにょと聞こえないように言ったつもりなのだろうけど、タクシー内は思いのほか静かでしっかりと聞こえてしまった。 え
last updateLast Updated : 2025-12-19
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第26話 東京観光

 午前中は別の用事で潰れてしまったけど、午後からいよいよ家族そろっての東京観光だ。 まず、東京に来たらここでしょうとばかりに向かうはスカイツリー。新しくできた東京のランドマークと言うことでやっぱり人が多い。人ごみをかき分けるようにして展望台の中でも一番見晴らしがいい場所までたどりついた。「おぉ、たけー」 ……だよね、それ以外に感想なんて浮かばないし。 夜景とかだったらキレイーとかあったかも知れないけど、残念なことに時間は昼でしかも天候もくもりだったのでそんなに遠くの景色まで見えない。富士山も見えない。 それにしても感想が「高い」だけというのも少し感性が低いのかなって不安になる。歌い手には感性が命なのに!「おーたっけーな」「うん、高い」「ほかに感想は出てこないんですか」 どうやらみんな似たようなもんらしい。ちょっと安心。 いつも元気なひよりはというと、実は高所恐怖症で展望台の中心部分から一歩も動かず決して端によろうとしない。「こっちおいでよ」と言って誘うと野生動物のように威嚇してくるくらいだから余程怖いんだろう。エレベーターで上がってくるときも目をつぶって何やらブツブツ念仏みたいなのを唱えてたもんな。 でもこうやって何も考えずに景色を眺めるのもたまにはいいかもしれない。 普段は朝からご飯を作ってそれから学校に行き、部活が終わって家に帰るとまた晩御飯を作って食事が終わったら少しの時間家族と会話してそのままスタジオにこもって曲の収録やらダンスの練習をして収録、動画投稿。終わったら後はお風呂に入って宿題をやって眠るだけ。 休日も3食作る以外はスタジオにこもりきりと言っていい状態。 そんな有様だからこうやってゆっくり何もしない時間を楽しむというのも久しぶりの事だ。 これはこれでリフレッシュになるだろうから、これからは意識して何もしない時間と言うのを作っていった方がいいかもしれない。 人間何かに忙殺されてしまうと視野も狭くなってしまうしね。そういえば最近は星空もゆっくり眺めることができていないな。 スカイツリーから出てくるとひよりも復活して、これからが本番だと張り切っているので何をするのかと思いきやショッピング。「ここからはゆきちゃんが主役だよ~」 ひよりの言う通り家族がそろい、そこにわたしもいるということはいつもやることが決まっている
last updateLast Updated : 2025-12-19
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第27話 飛躍の結果とフラストレーション

 翌日、週初めの学校では彩坂きらり×YUKIコラボの話題で持ちきりだった。「すごくよかったよね!」「歌も当然だけど2人の掛け合いも息が合っていて面白かった」「ほんとあの2人の歌唱力は抜群だよね」「プロの中でもあの2人より上手い人なんてなかなかいないんじゃないか」聞こえてくるのは好評の声ばかり。少し面映ゆい。「あの2人と同じくらい歌が上手いプロって言えば岸川琴音くらいじゃない?」 その名前を聞いて思わず体がピクリと反応してしまった。幸い誰にも気づかれていなかったけど、懐かしい名前を聞いたもんだ。 岸川琴音。ピーノちゃんの名前が売れすぎて陰に隠れてしまっていたけど、2人で踊るふわふわダンスの相方だった人。 わたしが引退した後は子役から歌手に転向し、今では押しも押されもせぬトップアイドルの歌姫。歌だけじゃなくダンスのセンスもあるのだけど、「ダンスはピーノちゃんとしか踊りません」と封印してしまい今はその抜群の歌唱力のみで歌姫として芸能界に君臨している。「怒ってるんだろうな」 もともと引っ込み思案で子役たちの中でも目立たない存在だった琴音ちゃん。ピーノちゃんの番組が始まるときに「この人と歌いたい」と言って歌の世界に引きずり込んだのは他ならぬわたしだ。 その張本人が突然理由も告げずにいなくなってしまったのだから残された琴音ちゃんには恨まれて当然だろう。 わたしが素顔の露出を躊躇してしまうもうひとつの理由であったりもする。 でも逃げ回っていても仕方ないし、不義理をしたままなのもイヤだ。来年素顔を出したときにはこちらから連絡を取って素直に謝ろう。 連絡先知らんけど。 今はまだVtuberとして素顔を隠しているので、子役のこと含め正体を明かすわけにはいかないけど、これも素顔をさらすときに覚悟しておかないといけない課題のひとつか。「ゆきも岸川琴音は知ってるでしょ?」 ふいに穂香が話題を振ってきた。今まさに考えていたことを突然降られて少し動揺してしまったけど、気持ちを落ち着けて何食わぬ顔で返答する。「もちろん、日本の歌姫って呼ばれてる
last updateLast Updated : 2025-12-20
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第28話 ひとつの区切り

 忘れていた。というより忘れたままにして何事もないように過ごしていたかった。 だけどそういうわけにもいかず、とうとうその日を迎えることになってしまう。 プール開き。 来週からいよいよプール授業が始まる。どこの学校にもある行事だろう。 楽しみにしていたという生徒も多い。 無料でプールに入って涼めるのだから日本の暑い夏を過ごすのにこれほどありがたい授業は他にないだろうとも思う。 だけどそれはあくまで一般生徒にとってのお話。いや、わたしも一般生徒だけれども。 ただわたしには決して忘れてはいけない特殊な事情がある。 この無駄に膨らんだ胸だ。 どうすんだよ、水着。 もちろん男子と同じ下だけというわけにはいかない。 かといって女子用のスクール水着だと股間が大変なことになってしまう。 いっそのことずっと見学ということにしてもらおうかと思ったが、ズルをしているみたいで心情的にイヤだし、クソ暑い中水遊びに興じるクラスメートをただ眺めているだけというのもなかなかに拷問チックな絵面。 学校には校則と言うものがあるので、より姉が主張するように好きな水着を一人だけ着させてもらうというわけにもいかないだろう。 というわけで担任の瑞穂先生に相談しているのだけど、なかなか妙案と言うのは浮かばない。 職員室のパソコンで水着を検索しているのだけど出てくるのはより姉が見たら喜びそうなかわいいものばかり。『学校 水着』で検索すれば出てくるのはスクール水着のみ。これもう詰んでない? ちょうどその時、2年生の体育を担当している船越清美先生が授業を終えて帰ってきた。「瑞穂先生に広沢さん、2人揃ってパソコンにかじりついてどうしたの?」「広沢さんの水着を探しているのよ。ほらこの子、男の子なのに胸が出てきちゃったでしょ?それで学校指定の水着では男女どちらのものを着ても問題があって……」 さすがに職員室の中なのでバストや股間と言ったセンシティブな単語は避けて話してくれてはいるけど、自分の
last updateLast Updated : 2025-12-20
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第29話 夏休みの思い出作り

 チャンネル登録者100万人突破という目標を達成してとりあえずVtuber活動にも一区切りがつき、時間的にも余裕ができていたのを目ざとく察知したひより。 お兄ちゃん大好きを公言するひよりがそのチャンスを逃すはずもなく、どこかに遊びに行こうとせがまれた。 スケジュールにも空きがあるので遊びに行くこと自体はいいんだけど、問題は提案されたその行先。 せっかく夏なんだから海に行きたいと声を揃えて提案されたものの断固拒否。 あまりにも強く拒否をしたものだから、理由をしつこく問いただされてしまう。 恥ずかしいから言いたくなかったんだけど、さすがに誘いを拒否したうえに黙秘と言うわけにもいかず渋々理由を告げると全員に大爆笑されてしまった。 笑い事じゃなく本気で恥ずかしいんだからね! その理由はさらに胸が大きくなってしまったというわたしにとっての衝撃的事実。前に買ってもらったブラがかなりきつくなっていたのだ。 そんなことなかなか言い出せず黙って苦しい思いに耐えていたんだけど、姉妹たちに自白したらさっそく新しいものに買い替えるためにもサイズを測りに行こうという話に。 案の定Cカップにサイズアップ。まぁわかってはいたんだけど……。 そして当然のごとく選ばれるフリフリの付いた下着たち。あぁまた女体化が進行してしまう……。 さらに成長してしまった胸をひっさげて人の多く集まる海やプールにおもむいて衆目にさらすことに対しどうしても恥ずかしさを拭うことができないので、今年はわたし抜きで行ってくれるようお願いした。 でもわたしがいないとつまんないという理由で結局今年は誰も泳ぎに行かなかった。4人で行ってくればいいのにと思ったけど、わたしがいないところでナンパ男にちょっかい出されるのも不快だから結果的にはよかったかな。 その代わり少しでも涼しいところへ遊びに行こうということで水族館巡りをすることに。 近場の水族館に行った後、ジンベエザメを見たいということで関西まで遠征したりもした。 楽しかったけどよく考え
last updateLast Updated : 2025-12-20
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第30話 異変

 そして夏休みも半分以上が過ぎた盆明けの頃、わたしの体にもうひとつの異変が起きた。 なんと声がでなくなってしまったのだ。 完全に出ないというわけではない。 でも風邪でもひいたかのようなかすれ声。ただ他には症状が何もなく、熱があるわけでも咳が出るわけでもない。 ただ単にのどがいがらっぽく声が出にくくて、無理に出そうとするとかすれてしまうというだけの症状。 不調はどこにもないからのど飴でも舐めていればそのうちよくなるだろうと高をくくっていたら症状が数日続いてしまい、動画投稿ができないという事態になってしまったのでさすがに病院へ行くことにした。 「あー声変わりですね」「へ?」「だから声変わり。中学2年生だよね?たいてい身長が急激に伸びた後に声変わりすることが多いんだけどね。その様子からするともう身長の方は頭打ちかもしれないね」 わたしにとって衝撃的なことを告げ、人の気も知らず朗らかに笑う医師。 このことは2つの意味でショックだった。 まず、声変わりして今までのような声が出なくなったらどうしようというショック。 ただこれに関してはいずれ起きうることと想定していたので、変わってしまった声質に合わせた曲を作ればいいだけなので対処のしようはある。 今までの声が好評だったので声変わりをして人気が落ちてしまったらどうしようかという不安はあるけどこればっかりはどうしようもない。 男性の声質に合わせたボイトレを勉強しなおさないとな……。 声のことはそれでいいとして、それ以上にショックだったのが身長の件だ。 これ以上伸びない!?夏休み前の身体測定で2cm伸びて155cmとなりまだまだ可能性はあると喜んでいたのに! 160にも届いていない現状でまさかの最後通告をされてしまうなんて……。 ショックから立ち直れないまま家に帰ると、みんな心配してくれていたようで全員揃ってお出迎えしてくれた。そして沈んだ表情のわたしを見てみんな大
last updateLast Updated : 2025-12-21
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