All Chapters of 雪の精霊~命のきらめき~: Chapter 51 - Chapter 60

110 Chapters

第51話 海!そして……

「着いたぁ!」 電車に揺られること40分。わたし達5人は最寄りの海水浴場に到着した。 より姉が自動車免許を去年取ったので、レンタカーを借りようかと言う話も出たんだけど海で泳いだ後は絶対眠くなるとわたしが猛反対して結局電車で来ることにした。 より姉だけに負担をかけるのは嫌だし、帰りの運転を気にして楽しめなかったらもっと嫌だからね。 ただ、電車で着たことによって解決できなくなってしまった問題がひとつだけある。 わたしがどこで着替えをするか、ということだ。 わたしが普通に男子更衣室に入っていくと騒ぎになるんじゃないかという懸念がある。というか間違いない。 うぅ……。れっきとした男の子なのに……。 あたりを見回すとちょうど近くに公衆トイレがあったので、思い切ってそこで着替えることにした。 土産物や飲食をするお店が複数入った建物で、多目的トイレもあったのでそこを利用することに。 わたしが男子トイレを利用するとすれ違う人がみんなぎょっとした顔になるんだよね……。  水着への着替えが終わり、待ち合わせをしていた場所に着くともうすでにみんな到着していて、シートとパラソルを準備しているところだった。 着替えるの早くないか?絶対女性陣の方が時間かかると思っていたのに。 さては服の下に着込んでたな。「遅くなってごめん!手伝うよ」 パラソルの設置を手伝おうとポールを持つとあか姉に止められた。「ゆきはお弁当作ったからいい。休んでて」「確かに早起きはしたけど、わたしも男なんだから力仕事は任せて欲しいんだけど」 そう言って手伝おうとするとより姉が笑いながらわたしからポールを取り上げてきた。「あたしらとそんなに腕力変わらないくせに何言ってんだ。逆に邪魔だから座ってろ」 ぐぬぬ……人が気にしてることをズケズケと……。
last updateLast Updated : 2025-12-30
Read more

第52話 仮面を脱いだ少女(少年)

 海で遊んでお祭りにも行って、去年は行かなかったけど今年は水族館にも行って夏休みはあっという間に終わってしまった。 夏休みが終わると中学3年生は一気に高校受験モードに入る。 わたしは全ての定期考査で満点をたたき出していて常に学年トップだし、かの姉とあか姉が進学した高校を受験する。 その高校はそこまでレベルが高いわけじゃないので呑気なものだ。 自習時間が多くなる時期だし、みんなの邪魔をしないよう極力静かにしている。 でも全然暇なんかじゃない。むしろみんなが分からないところを質問してくるのでクラス専属家庭教師になったようで忙しいくらいだ。 みんなどうして先生に聞かないのかな?  今年の体育祭は待ち望んでいた騎馬戦に参加! 確かに騎手にはなりたかったけど、まさか満場一致で大将に選ばれるとは思っていなかった。 総当たり戦は2回とも紅白両陣ほぼ互角。 勝ち抜き戦では我ら紅組が圧倒的不利で、残り5組を残して大将のわたしに出番が回って来てしまった。 だけどわたしのスピードについてこれる人なんてほとんどいない。 相手は手を出す暇もなくあっという間に3人抜き。 副将は柔道部主将。さすがに速い。 でもそれくらいではわたしの鉢巻を奪うなんてことはできない。 伸ばされた相手の腕を弾き、それで体勢を崩した一瞬を逃さず腕を矢のような勢いで繰り出して鉢巻を奪取。 残るは大将同士の対決ということで観衆のボルテージも急上昇マックスバリュー! 対する相手は空手部主将。力のないわたしは組み合いになってしまうと絶対に負ける。 さすがの反射神経。おまけにしっかり体幹も鍛えられていて体勢をなかなか崩せない。 それでも所詮はまだ中学生。 長時間対峙していると集中力が続かなかったようで、一瞬だけ見せた隙を逃さず右フックの要領で腕を振り鉢巻をかすめ取った。 まさかの5人抜きに大盛り上がりする生徒たち。 体育祭が終わってもしばらく話題になり
last updateLast Updated : 2025-12-31
Read more

第53話 日常からの逸脱

 ある人が書いた本の中で読んだセリフが心に残っている。 劇的な出来事というのは日常の中にある。非日常は常に日常の急激な変化によって起きる。 その日はなんてことのない普通の一日。 何かが起きると叫ぶ預言者もいないし、不吉な予感に固唾を飲んで事の顛末を見守っているような人もいない。 戦々恐々とした人々の不安の中で事件が起きるわけではないのだ。 その日も誰もが今日は平穏に、退屈に過ぎていくのだと信じて疑っていなかった。 劇的な出来事はその日常を突然に壊すからこそ劇的なのだ。  1年でいちばん寒いんじゃないかと思う2月。 トレンチコートとジーンズに身を包んだわたしはショッピングモールに向かっている。「ゆきちゃん、遅いよー!」 そう言って手を振るひより。はしゃいでるなぁ。「もう!そんなにはしゃいだら転んじゃうよ!」 今日はひよりと2人きりでショッピング。 いつもはあか姉がわたしの服を選んでくれるんだけど、今日はどうしても外せない用事があるということで、そうしたらひよりが「わたしが選んであげる!」と手を挙げた。 ひよりもけっこうオシャレな方だし、たまには違うイメージの服を着るのもいいかなと思って選んでもらうことにした。 繁華街はたくさんの人がいろんな方向に向かって忙しなく歩いている。 信号が変わるたび交互に動き出す車たち。 それらの流れは途絶えることがなくて、まるで街全体が生きているかのよう。 目に見える全ての範囲に人々の営みがある。 さっきまではしゃぎまわっていたひよりがいつものようにぴったりとくっついてきた。「やっぱりゆきちゃんと2人なんだからこうしておかないとね!周りから見たらわたし達ってどうみえるのかな?恋人同士?えへへ」 何をバカなこといってるんだか。恋人同士に見えるわけないじゃない。「そんなわけないでしょ。よくて仲のいい姉妹か、女友達同士……」 
last updateLast Updated : 2025-12-31
Read more

第54話 神様、おねがい

 家に帰るとより姉たちが心配して玄関先まで飛んできた。「通り魔出たんだって!?ちょうどお前らが出かけた場所だったから心配したぞ!何度も連絡したのに!」 え?と思ってカバンのスマホを確認したら3人分の着信とメールでえらいことになってた。やば。「えっと、情報早いね。なんで知ってるの?」「ニュース速報」 そっか。納得。「まぁわたしたちはどうもなかったし、事件も無事解決したからさ」 どうにか話を誤魔化そうとしたけど甘かった。「聞いてよお姉たち!ゆきちゃんたらさ~無茶ばっかするんだから!」 ひよりがチクってた~!「まぁまぁ!玄関先で立ち話もなんだし、リビング行こ!」 姉妹たちの背中を押してリビングに押し込む。 すると点けっぱなしになっていたテレビから今日のニュースが流れてきたところだった。『本日午後3時ごろ、〇〇ショッピングセンター前で通り魔事件が発生しました。視聴者様から寄せられた現場の映像が届いていますのでご覧ください』 ん?映像? 画面に映し出されたのは電柱に突っ込んだ車。あの親子をはねた直後だ。また少し毛が逆立つ。 そして車から下りてくる男、刺される男性。何度見ても気分が悪い。 そこでカメラが急に振れて走る少女を映し出す。 少女ちゃうし!わたしだし! い、いつの間に撮られてたの? そこからの展開はご存じの通りで、あああぁぁぁぁぁ! もう見てられない!うずくまるわたし。 ご丁寧に犯行車両の裏まで回り込んできていたようで、AEDを使うわたしの声も聞こえてくる。 やめてぇ~。「ゆ~き~……」 怒気をはらんだより姉の声。こ、こわい……。 そーっと立ち上がる。でもみんなの方を見る勇気がない……。 ナイフめがけて突っ込んでいったんだもんなぁ。そりゃ怒るよね。
last updateLast Updated : 2026-01-01
Read more

第55話 支え

 翌日、少し寝坊してしまったわたし。 リビングに下りていくといい匂いがする。 誰だろうと思いキッチンを覗くとお母さんが立っていた。「あれ?まだ起きる時間には早いでしょ?」 わたしの問いには何も答えずにお母さんが口にしたのは昨日の事だった。「夜に依子から全部聞いた。あなたのことだから平気な顔して朝ごはん作りにくるんだろうなとは思ってたけどね」 なんで勝手に見抜くのよ。ってお母さんだもんね。 わたしも黙ってお母さんの隣に立ち、頭をその腕に預けた。「あなたは甘えたい時いっつもこれね。本当に甘えかたがへたくそなんだから」「わたしはこれがいいの」 朝ごはんのいい匂いが立ち込めるキッチン。わたしとお母さんがいるけど静かな空間。 すごく落ち着く。あの時の天使様は今も健在だ。 ふいにポンポンと背中を叩かれた。なに?「依子もひよりもね、泣いている時はこうしてあげると泣き止んだのよ」「わたし泣いてないよ?」 おかしなことを言う。わたしはただ甘えていただけ。「そうね、あなたは泣いたことなんてないもんね。表面上は。でも心のほうは?」 心臓をきゅっと握られたような気になった。 痛いとこ突いてくるな。でも悪い気分じゃない。 わたしはまた何も答えず、お母さんの腕に顔をグリグリしてやった。「こそばいってば。……ゆき、お母さんは何も言わないけどいろんな人の言葉を聞いておいで。きっとみんなゆきのこと考えてる。いろんなことを言われると思う。そんな言葉をたくさん聞いて、あなたなりに真摯に向き合って考えてみなさい。それでも結論が出ない時はお母さんがまたいくらでも甘えさせてあげるから。」 真面目な顔でしっかりとその言葉を受け止め、黙ってうなずく。まだ背中ポンポンしてるし。「泣きたかったらいつでも胸を貸してあげるからね」 冗談めいた仕草でわたしを抱きしめようとするお母さん。
last updateLast Updated : 2026-01-01
Read more

第56話 人間の領分

「失礼します」 保健室のドアを開けて中に入ればほのかに漂う消毒液の匂い。 この匂いと雰囲気はあの大学病院を思い出してしまうのであまり好きではない。 わたしは怪我をすることがないので保健室に来るのはこれが初めてだったりする。 学校案内の時に来て以来か。「あら、ゆきちゃん、先生に会いに来てくれたのかしら」 保健室には来たことがないけどこの先生は良く知っている。保険医の中島陽子先生。 正直苦手な先生だ。 スタイル抜群で美人なので男子生徒には人気らしいが。 たまたま廊下を歩いている時に見つけられて、それ以降何かと声をかけてくる。というかハッキリ言って狙われている。 何かにつけてボディタッチはしてくるし、話すときに顔が近いし、デートに誘ってくるし。 本当に教師の自覚あるのかなこの人。「そんなわけないじゃないですか。少し気分が悪いのでベッドお借りしますね。瑞穂先生の許可は得ています」「あらそう。ベッドは自由につかっていいわよ」 お言葉に甘えて清潔なシートが敷かれたベッドに横になる。 白い天井。周囲を囲むピンクのカーテン。 お母さんと初めて出会ったあの時と同じだ。 隣に腰掛けているこの人を除いて。「あの、自由に使えっていったじゃないですか?なんでここにいるんです?」「あらぁ。生徒の状態を見るのも保険医の務めよ」 なら妙に色っぽく近づいてくるのをやめてください。 あと胸元のボタンはしっかりとめて!四つん這いになるな! 目を逸らしているとそっとわたしの額に手を置いてきた。 こんな見た目と言動なのにその手は意外と優しい。 だからといったわけではないが目を閉じてなすがままにされておく。「熱はないわね。精神的なものかしら」 飄々としているくせにこういうところは鋭い。何人もの生徒を観察してきた経験値か。 黙って目を閉じているのに、まだ話を続ける中島先生。
last updateLast Updated : 2026-01-02
Read more

第57話 救い

 家に帰ると予想通りというか、当然というか姉妹たちに囲まれてしまった。 ひよりは帰り道でちゃんと説明したのになぜどさくさに紛れてがっちり腕をホールドしてるのかな?嬉しそうな顔しちゃってまぁ。「みんな心配かけてごめんね。学校で保健の先生に叱られちゃったよ。でもおかげで自分の限界も知ることができた。もうわたしは大丈夫だよ!」 3人揃って心底ホッとした表情。それだけ心配かけてたんだね。 ごめんね。……みんな大好き! 感極まってしまいみんなまとめてハグ! こういう時はもうちょっと体が大きかったらよかったのにーって思っちゃうんだよね。「あ~やっぱりゆきちゃんはこうでないといけませんわ~」 うっとりしてるねかの姉。お待たせしてごめん。「ゆき。心配した」 そうだよね。もう大丈夫だよあか姉。 だから泣かないで。 最近泣き虫になっちゃったね。ごめん。「ちょっと悔しいな。ゆきを元気づけるのはあたしらの役目だって意気込んでたんだけどな。先を越されちまったか」 冗談っぽく言ってるけど本当にそう思ってくれてたんだってわかるよ、より姉。 ありがとう。「そんなことないよ。みんながいたから昨日の出来事に耐えられたんだから。みんなが居なかったらきっと今頃寝込んで学校にも行けていないよ」 これは本心だ。どうにか平静を保っていられたのは姉妹がいたおかげ。 逆説的だけど、たとえ崩れてしまっても支えてくれるという安心感があったから持ちこたえることができた。 誰もいなければ食事も喉を通らなかったことだろう。「まだまだわたしは未熟だから。たくさん心配かけちゃったね。ごめんね」 さらに腕に力を込めると「苦しい~」と顔まで潰されてしまってるひよりから苦情が来たので解放してあげる。 そんな下の方でしがみついてるからでしょ。 リビングに移動するとちょうど例のニュースが流れていた。 一瞬みんながわたしの方を気遣
last updateLast Updated : 2026-01-02
Read more

第58話 卒業しても終わりじゃない

 寒さが和らぎ春が来て、毎日を精いっぱい活動的に過ごしているとあっという間に卒業式を迎えた。 中学最後の登校日。 別に戦いだとか支配だとかそんなものから卒業するわけじゃない、15の昼。 中学生だけが何かと戦っているわけではない。むしろ自分自身との戦いはこれからも一生続いていく。 支配されていたわけでもない。ただ子供が大人になる第一歩の段階にいた私たちを管理する必要があっただけだと思う。 夜の校舎窓ガラス壊して回ったりしたらそりゃー監視もされるって。 自分の身の程を知ればそれは支配じゃなく保護されていたことに気が付くと思うんだけどな。 義務教育の本当の意味は教育を受けさせる義務だけど、受ける側からすれば同じこと。 義務から解放されるということは権利も失ってしまう。 義務教育の内は大抵のことは親の責任として片付けられ、本人は守られていた。 だけどその権利は半ば失ってしまう。これからは何か問題を起こせば停学や退学といった形で自分で責任を負う必要が出てくるのだから。 社会に出て働く人はなおさら。 完全な大人とも言えないけれど、もう子供とは言えない時代に進むんだ。 この式典は義務教育の終わりを告げるもの。 体育館で整然と並び、静かに進行を見守っている卒業生達。 保護者、在校生、来賓、そしてPTAの方々。 そんな人々に見送られ、子供時代からの完全な卒業を告げる儀式が進行する。 壇上では校長先生のクッソ長いだけの祝辞が終わり、卒業証書授与式が執り行われている。 あか姉の卒業式を見送る側として参加していたのがついこの間のことのような気がするのに、それからいくらも経たないうちに今度は自分が見送られる番だ。 振り返るとあっという間で、時の流れの早さを実感する。 早く感じるといってもその間に何も思い出がないわけじゃない。 修学旅行では結構ひどい目に遭った気がするし、海に行こうって言ったときも水着選びでおもちゃにされた。 でも
last updateLast Updated : 2026-01-03
Read more

第59話 新天地!

「あか姉!ちゃんと約束果たしたでしょ!」 高校の入学式が終わって自宅に帰ってきたわたしは開口一番そう報告した。 わたしが他の高校にいってしまうんじゃないかって一番心配していたのがあか姉だからだ。 そしてわたしはこの春、無事にかの姉とあか姉が通う学園に合格して今日が入学式だったわけだ。「ゆきー!」 わたしの胸に飛び込んでくるあか姉。「ぐふっ」 だから勢い……。 嬉しそうにスリスリしてるからまぁいいか。「今日はゆきちゃんの入学祝をしないといけませんね」 かの姉もご機嫌だ。 合格したときもみんなでお祝いしたいと言ってきたけど、わたしが固辞したのだ。 チート能力で合格したわたしとしてはどうもそのことで祝ってもらおうという気になれなかったから。 でも今日は入学祝いだからいいよね。 お祝いってことはケーキも食べられるし!「ゆきちゃんおめでとう~」 それに対してどうにも覇気がないひより。 一番下だからひとり取り残されてしまうのはどうしようもないとはいえ、お兄ちゃんとしては可哀そうだし心残りでもある。「ありがと。でもひより本当に大丈夫?来週からひとりでちゃんと行ける?」「いくらなんでもそれは大丈夫だよ。小学生じゃないんだから。でもゆきちゃんいないのが寂しい~」 しょぼくれたまま脇腹に顔を埋めてスリスリしてくる。猫だな。 試しに喉をこしょこしょしてあげたら心地よさそうにしてた。やっぱ猫だ。「猫扱いするなー!」 あ、怒った。でも気持ちよさそうにしてたじゃん。 なにはともあれ無事入学できたことだし、今日からわたしも高校生だ。 花の男子高校生ですよ。 いよいよやりたいことができる。 とはいえ、それができるようになるのは2年生になってからだと思っていたんだけどね。 ところが新生活初日、始業式の日に思わぬ話が転がり込んで
last updateLast Updated : 2026-01-04
Read more

第60話 ゆき、いきます!

 結局生徒会長選挙の信任投票は行われなかった。 会場を揺るがすほどの万雷の拍手が満場一致とみなされ、投票するまでもないという意味だ。 生徒会長と副会長は同時に選ばれる慣習のせいで副会長も選挙のやり直しになってしまったのだけど、そちらはうってかわって激戦。 たくさんの候補者がいて、それぞれのスピーチを聞いているのは楽しかった。 真剣に学校を良くしようとする人、ユーモアを効かせて観衆を沸かせる人、緊張してどもりながらも一生懸命語る人などさまざまだ。 激戦の結果、副会長は今年3年生の谷村彰浩(たにむらあきひろ)先輩が当選。なぜか乱立してしまった大勢の候補者の中から選ばれたある意味精鋭だ。 そして、生徒会長と副会長は選挙で選ばれるが、会計、書記、庶務については会長に任命権限があるのが我が校のシステム。 会計と書記は前年度2年生で勤めていた先輩に再就任をお願いしたら快く引き受けてくださった。 会計は横河睦美(よこかわむつみ)先輩で書記は杉山佳乃(すぎやまよしの)先輩だ。 庶務に関しては前年勤めていた方はもう卒業してしまっていたので悩んだけど、生徒会の中にも気心の知れた相手が欲しいと思い文香にお願いした。「そんな1年生で役員なんて!」と最初は固辞していた文香だったけど、同じ1年生のわたしが生徒会長なんだよね。 何度も頭を下げると渋々ではあったもののどうにか引き受けてくれた。「もう、ゆきちゃんの頼みだから引き受けるんだからね!そこのとこちゃんと分かってる?」 そう言って釘を刺されたけど、もちろん分かっているに決まっている。 本当に友達というのはありがたいものだ。 こうして当学園で前代未聞となる新1年生率いる生徒会は発足した。 「近くで見たらもっとかわいい~!」「けっこう小さいわね。お持ち帰りしたいわ」 睦美先輩と佳乃先輩とはすぐに打ち解ける(?)ことができた。 というかおもちゃにされた。 でも谷村先輩は男子が他にいなくて居心地が悪いの
last updateLast Updated : 2026-01-04
Read more
PREV
1
...
45678
...
11
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status