All Chapters of 雪の精霊~命のきらめき~: Chapter 71 - Chapter 80

110 Chapters

第71話 生徒会長、本領発揮

 幸い日曜日には熱も引いてくれて、月曜は問題なく学校に来ることができた。 一昨日の放送事故の結果、なぜかわたしのチャンネル登録者はさらに激増して現在450万人。 なにがきっかけでバズるか分かんないものだ。 より姉の状況はしばらくしてからそれとなくたずねてみることにしよう。 直接聞いても「なんともねー」としか言わないだろうからね、あの頑固姉は。 おまいう?うるさいよ。  クラスメート達も配信を見て心配してくれていたようで質問攻めにあったけど、体調がすっかり良くなっていたので安心してくれたようだ。 音楽の斎藤先生も倒れたことを知っていたようで安静にしておくため今日はわたしの歌はなしということに。先生も配信見てるのね。 そして昼休み。 今日は以前から放送委員の田淵義之(たぶちよしゆき)先輩に打診していたことの打ち合わせで放送室へとお邪魔している。「それじゃ、田淵先輩このまま告知しちゃいましょうか。司会進行はお任せしますよ」「うん、まかせといて」 真面目を絵に描いたような黒縁メガネのずれを直して、放送開始のスイッチをいれる。「ぴんぽんばんぽーん♪これって1回やってみたかったんだよね」「ゆき会長、もうマイク入ってるよ」「え」 ……。 わたしは椅子から立ち上がり、放送室のドアを開けてもう一度締める。そしてわざと大きな音を出して歩み寄り、田淵先輩に挨拶。「田淵先輩、遅くなりました!さぁ放送始めましょうか!あれ?もうマイク入ってるんですか?」「……」「なんか言ってくださいよ」「さすがにその誤魔化し方は無理があるんじゃないかな」 わかってるよ!でも恥ずかしいじゃん! テンション上がってるのバレバレじゃん!「なんのことでしょう?ふふ。それでは田淵先輩、告知をお願いします!」 笑顔で圧をかけてこの話題にはこれ以
last updateLast Updated : 2026-01-10
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第72話 文化部補完計画

 生徒会長による『お昼休みはウキウキリスニング』は開始当初からとても好評で生徒たちにも大うけしていた。 質問箱への投書も趣味や私生活をどう過ごしているかなど会長個人に対するものばかりで、それだけ全校生徒から支持されてるということなのかな? でもたまに感想というかわたしへの激励が混じっていることも。「今日の投書は何かな~。 なになに『ゆきさん、大好きです。愛してます』ですか。 クラスと名前まで記入して真面目な方ですね。 応援ありがとう!わたしもみんなのこと愛してるよー!」 相方の田淵先輩が何とも言えない顔をしてる。(何にも気づいてないなぁ。公開告白までしたのに意識もされずに玉砕とは可哀想に)「なにその哀れみに満ちた目。わたし何か変なこと言った?」「いえいえ。ゆき会長はそのままでいいと思うよ。」「??」 こんなことが何度か続いて、いつのまにかわたしの二つ名に「無自覚ボマー」ってのが増えていた。 爆弾魔?なんで?  そしてもうひとつの活動、部活応援。 わたしが部活の応援に行けば好成績を残してくれるので、そのうち文化部からも応援に来てほしいという依頼が来るようになった。 わたしがいることで気が引き締まってやる気が出るからというのだから断るわけにもいかない。 実際に行ってみるととても歓迎されて、確かに活気に満ちた雰囲気にはなったようだ。 でもグラウンドに出ていくわけでもないのにハグを求められたのはどうしてだろう。 ただ参加したおかげもあって文化部の催し自体が少ないということに気が付いた。 催しが少ないため学校から支給される部費が少なく、そのため原材料費などは自腹で活動しているケースが少なくないことにも。 生徒会のみんなと話し合ってどうにか増額できないかと頭をひねってみたものの、あちらを立てればこちらが立たずになってしまい上手くいかない。 どの部だって部費の増額を望んでいるからだ。でも予算自体は決まっているのでそ
last updateLast Updated : 2026-01-10
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第73話 フリマ、そしてその夜

 フリマ開催! 事前の宣伝効果は抜群で、開場の9時よりずっと前からお客さんが並び始めいざ蓋を開けてみれば大盛況! 予想を大きく超える人数で広い校庭が人でごった返している。 運動部や家庭科部が料理を提供しているのでさながら縁日のようだ。 家庭科部が提供するのはオムライスや親子丼などの軽食に、今日は暑いからとかき氷まで。 運動部、とくに野球部が提供するのはキャプテン自慢の焼き飯。 他にも焼き鳥や焼きそばなんかを提供している部もあって周囲にはおいしそうな匂いが立ち込めている。 文化部は町内会が備え付けてくれたテントの下で自作の品を並べ、販売に勤しんでいた。 販売には直接つながらないはずの華道部などもイベントを通じて華道の世界に触れてもらおうと無料教室を開催しており、そちらにも人だかりができている。 無料教室では使わなくなった花瓶や剣山、はさみなどを販売しているのだからちゃっかりしている。 文芸部も自分たちで自費出版したエッセイ集や詩集、小説などを販売していてこちらも売り上げは上々。 そして中でもいちばん目立っていたのは手芸部だった。 色とりどりの編みぐるみや刺繍が施されたランチョンマット、コサージュ、座布団などはとても学生が作ったとは思えないほどよく出来ていて飛ぶように売れていた。これで部費の補充という目的も果たせそうだ。 生徒会としてはここで問題を起こすような輩が居れば学校の信頼を裏切ることになってしまうので、特に注意して目を光らせている。 もちろん風紀委員も協力的で、薫先輩はわたしのそばから片時も離れない。 なんで?「薫先輩、別々に回った方が効率いいかと」「見てみて!ゆきちゃん、あの編みぐるみかわいい!」 聞いちゃいねー。 てゆーかデートか! かの姉とあか姉は特に何も部活に所属していないので今回は参加しなかった。 2人がいないその隙を幸いとばかりにめちゃくちゃ甘えてくる薫先輩。「ゆきちゃん!そろそろいい時間になってき
last updateLast Updated : 2026-01-11
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第74話 意外な弱点

 しくしく……。「ほらぁ、会長いつまでいじけてんの」 会長席に体育座りをしているわたしに向かい声をかけてくる睦美先輩。 他人事だからそんなこと言えるんですよ……。「人間苦手なもののひとつやふたつありますわよ」 佳乃先輩もお化けにがてなのかな?「まぁお化けが苦手というのは子供っぽくてかわいいですわね」 裏切り者!やっぱり子供っぽいって思ってんじゃん! 昨日の大騒ぎでみんなにバレちゃったよ……。 で、なんで文香はずっと隣に立ってよしよししてくれてるのかな?その慈愛に満ちた瞳は何? 谷村先輩もこっちずっと見てるし、何か言いたそうにしてるし。「谷村先輩も何か言いたいんじゃないですか?いいですよ、もう。みんなして子ども扱いしてれば」 自分で言っていて今が一番子供っぽいような気もするけど、へそを曲げちゃってるんだから仕方ない! 「いや!俺は……その。そんな会長もかわいいな……と」 めっちゃ赤くなってるし。 うん、その気持ちはとても嬉しいけどその顔を見たら素直に喜べないかなぁ。「ふふ。いつまでも拗ねてないで。そろそろ2日目が開幕しますよ」 文香にそう促され、気持ちを切り替える。 いつまでもいじけてたらみんなの笑顔を見れないもんね。 わたしは生徒会長だ。このイベントを責任もって完遂する責務があるし、みんなの期待に応えたい。「うん。気合入れないとね!それじゃ、それぞれ持ち場について警備にあたってね。 何かあった際にはくれぐれも個人の勝手な判断で動かず、わたしか谷村先輩に連絡すること。わかった?」 わたし達以外は全員女の子なので、問題が起きた時に自己判断で動かれて怪我でもされてはたまったもんじゃない。 なので手に負えなさそうなことは全てわたしか谷村先輩が当たることになっている。
last updateLast Updated : 2026-01-11
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第75話 合唱コンクール

 クラスでの練習は、まずソプラノ、アルト、テノール、バスの4パートに分かれてのパート別練習から。 最初にわたし抜きで歌ってもらい、全体の雰囲気を掴ませてもらった。 みんな真剣にボイストレーニングに励んでいるようで以前より確実に声量も上がっている。すごい! それからわたしも参加して全員の歌声を合わせる。 最初のうちこそわたしが走りすぎてしまうこともあったけど、何度か繰り返していくうちにだんだん呼吸が合ってきた。 そこからはフレーズごとの強弱やリズムなんかについて話し合っては歌っての試行錯誤を繰り返し、全体的な統一感を出していく。 もともと意識の統一は得意なわたし達。まだ入学して間もないけれど、この数か月で培ってきた友情は本物だ。 練習を繰り返していくうちに本当にみんなとひとつになれているような手ごたえを感じ始めた。 相変わらずわたしの歌声は頭ひとつ抜けているけど、みんながそれを補うかのように強弱をつけてかぶせてくるので逆にきれいなハーモニーとなって返ってくる。 練習期間は約3週間。 1週間が経つ頃には全員のレベルも相当上がっていた。 みんなわたしが教えたことを逐一実行していて、腹式呼吸や息継ぎの仕方などについてはほぼ完ぺきだ。 ボイトレや肺活量の鍛錬も欠かしていないのだろう。練習をするごとに合唱の迫力が増していくのを実感できる。 そして4パートがそろっての合同練習は最初からかなり完成度の高いものになっていた。「これいけるんじゃねーか?」 誰かがやや興奮気味にそう言った。「だよね!どうせなら優勝狙いたいね」 興奮が伝播する。「でもただの合唱だけじゃ弱いよな。せっかくうちにはプロがいるんだし!」 おや? なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ。「そうだな。ゆき会長のソロパートなんかあると迫力がとんでもないことになるんじゃね?」 やっぱりそうなるか。でもそれっていいのかな?「わたし企業には所属してないけど、一応歌でお金稼いでる
last updateLast Updated : 2026-01-12
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第76話 全国大会。再会。

 県大会は県庁所在地の公民館ホールで行われた。 さすがに県大会ともなるとレベルが高い。 あれからわたし達もさらに練習を重ねてかなり完成度を高めてきたけど、他の学校も聴いていてはっきりわかるくらいの実力。 これは気を抜かず、今まで以上の気持ちを持ってぶつからないと太刀打ちできないな。 気持ちを引き締めなおし、緊張気味のクラスメートひとりひとりに声をかけて鼓舞していく。 肩に手を置いていままでの自分たちの努力を信じよう!って呼びかけたらみんな笑いながら声を揃えて「ゆきちゃんを信じる」って。 もっと自分を信じてってば! 迎えた本番。みんなの顔を見渡すと程よい緊張感でいい顔をしている。 わたしの声掛けも少しは役に立ってくれたのかな。 これなら大丈夫! やがてアナウンスが流れ、わたし達の出番が回ってきた。 全員でライトの下に向かって踊り出す! 「みんな、全国進出おめでとう!」 わたしの音頭に合わせてみんながグラスを掲げる。 見事県大会優勝を飾ったご褒美に山野先生が奮発してくれて祝勝会だ。 場所はけっこう広めの焼き鳥屋さん。 いくら広いとはいえクラス全員がいるので満員御礼貸し切り状態だ。 みんな食べ盛りだし、こりゃこのお店の在庫なくなるかもね。「やっぱりゆきちゃんのソロパートから間髪入れずの合唱パートへのつなぎが何度唄ってもたまらないよね!」「そうそう!素敵な声のバトンをしっかり受け取った!っていう感覚ね」 あちこちのテーブルに分かれてしまっているけど、どのテーブルでも語られるのは今日の感想。 はっきり言って今日の出来は今までで最高だったから仕方ない。でももう少し自分たちの実力を認めて讃えあってもいいんじゃないかな。 それにソロパートをあんまりべた褒めされると照れるからやめてほしい。「世界に通じる歌声を持つ広沢がいるんだから怖いもんなんてねーよな!」 こらこら、調子にの
last updateLast Updated : 2026-01-12
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第77話 夏休み、2人の時間

 生徒会長は長期休暇に入ってもやることがいろいろとある。 特にわたしの場合は全校生徒に楽しい高校生活を!というスローガンを掲げているだけになおさらだ。 1学期に不登校気味だった生徒の家に訪ねていったり、生徒が変な事件に巻き込まれたりしないよう繁華街をパトロールしたりでゆっくりしている暇もない。 だけど、このまま放置するとまた姉妹たちのフラストレーションが溜まってしまう。 時にはオフの日も作って家族サービスしないとな。って社畜のおとうさんか、わたしは。 それに放っておくとだらけた生活になってしまうのもこの姉妹たちの困ったところだ。 今日もクーラーのかかったリビングで溶けている。「みんなー!海行こうよ海ー!」 もそもそと動き出す姉妹たち。芋虫みたい。「やだよー。どうせまたゆきがしりとりして終わるだろ」 より姉、言い方。去年の事なのにそんな細かいことまでよく覚えてたね。 あれはやりたくてやったわけじゃないんだけど……。しりとりは勝手にやってたことだけど。「それじゃプールは?プールなら監視員もいるし」「海と変わんないじゃん。水遊びしたいって気分でもないかな」 ひよりはなんでそんなにやる気がないの?「やっぱり家でゆっくり涼むのが一番です~」 かの姉が一番溶けてる。「みんなバイトが忙しくて疲れてる」 それもそうか。あか姉の言う通り、何か月か前からひより以外突然アルバイトを始めてしまったんだよね。 自分の欲しいものくらい自分のお金で買うため、なんて言ってたけどそれにしたってみんな一斉に始めなくても。「そっか。みんな疲れてるんだね。じゃあわたしもおとなしく曲作りでもしてくるね」 せっかく時間を空けたけど、無理を言っても仕方ないから引き下がったけどなんだか寂しいな。 今までわたしが遊びに行こうって言って断られたことなんてなかったのに……。 すごすごと引き下がりス
last updateLast Updated : 2026-01-13
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第78話 姉妹と言えど真剣勝負

「ただいま」 あか姉がバイトから帰ってきた。「おかえりー」 声をかけるとあか姉は笑顔で返事をしてくれたが、そこにより姉がスススと近づいて行って2人で何やらコソコソと話している。「給料はもらえたな。それで目標金額は?」 あか姉が無言でサムズアップしている。なんだろう。 一人遅くなってしまったあか姉のご飯を温めなおしながら様子を伺っているとこちらをちらりとみて微笑む、というよりニヤつくより姉。 なんか隠し事してやがるな。 気にはなるけど、先にあか姉のご飯をしてあげないと。 何を隠しているのか知らないけど、そのうち話してくれるだろう。 あか姉の食事も済んで、家族団らんでまったりしていると雑誌を片手により姉が自分の部屋からパタパタと下りてきた。 なんだか得意げな顔をしている。 より姉の今日の表情、なんかイラっとする。 そしてわたしの前に仁王立ちするとその得意げな表情を緩ませた。締まりのない顔。「ゆき、旅行に行こうぜ!」「はぁ?」「……」「……」「いやなんか反応しろよ!」 しびれを切らしたより姉がそう叫ぶけど、何がなにやらわかっていないわたしにリアクションを求められても困る。 こっちはその先の説明を待ってるんだけど。「依子さんのプレゼンって絶望的ですね」「全く伝わってない」 かの姉とあか姉の言う通り、突拍子もないことを言い出すのは昔からだけどさっきのはちょっと意味が分からない。 旅行に行こうってのはわかったけど、どこへ?どうやって?「こりゃより姉に任せておけないなぁ。あのね、ゆきちゃん。みんなゆきちゃんと旅行に行きたくてアルバイト頑張ってたんだよ」 なるほど合点がいった。 ようするにバイトをして旅行資金を稼いでいて、それが貯まったから旅行に行こうということね。 最
last updateLast Updated : 2026-01-13
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第79話 初めての5人旅行

 我が家から軽井沢はそんなに遠方というわけではないので、新幹線は使わず快速と鈍行を乗り継いでのんびりした移動。 それでもみんなはしゃいでいて、さながら小学校の遠足のような賑やかさ。 さっき駅弁を食べたばかりなのにもうおやつに手を出している。 わたしももちろん食べてるけどね。甘いものは別腹。 夏休みと言えど平日、しかも地方へ向かう快速電車なので乗客もまばら。 車窓を流れていく景色もどんどん緑が増えてきて、遠くには田園風景が広がるように変わっていく。 そんな移り変わりが旅行に来たという気分をさらに引き立ててくれて、否が応にも気分が上がってしまう。 トンネルへ入るたびに耳がツーンとするような、普段なら不快に感じるようなことも旅行に来ていると思えば楽しい経験。「アハハハ、ゆき見てみろよ。スゲー田舎だ」 無邪気にはしゃぐより姉がなんだかかわいい。 そりゃ標高1000mの高原に登っていくんだから道中は田舎に決まってるんだけどね。「ゆきちゃん、そのお菓子ひとつちょーだい!」「いいけど、代わりのものをなんかよこせ」 おやつの交換なんかもして、本当に小学生に戻ったみたいだ。 電車の窓は閉まっているけど、だんだん標高が上がっていくにつれて温度が下がっていくのがわかる。 標高が100m上がるごとに温度は0.6度下がるから1000mなら6度。そこに軽井沢ならではの高冷地気候が加わって真夏でも20度前後という過ごしやすい気温が避暑地として昔から人気がある理由だ。 朝晩は逆に冷えることもあるそうなので各自1枚上に羽織れるものを用意してある。 車内でも賑やかに楽しく過ごしているとすぐに軽井沢に到着。「うわぁ本当に涼しいー!」 信じてなかったのか、ひより。「そりゃ避暑地だからねー。でも本当に過ごしやすい気温で気持ちいいねー」 高原の空気はとても澄んでいて快適。これが「空気が美味しい」というやつか。確かに美味しいという表現が一番しっくりくる爽やかな空気だ。
last updateLast Updated : 2026-01-14
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第80話 バスルームの危機再び

 ひより!?なんで!?「ひより!なんでそこにいるの!?」 思わず大声を出してしまったのでお風呂内に声が反響する。「おーゆきか!あたし達も一緒に入りろうと思ってきたぜ」 より姉!?しかもあたし|達《・》!?「ひょっとしてみんないるの?」 問いかけに応える2つの声。「わたしもいますよ、ゆきちゃん」「いる」 結局姉妹全員いたぁ!ヤバいヤバい! 慌てて露天風呂に戻ると、扉をチェック。 鍵が付いていない!ガッデム! わたしはそのまま湯船に飛び込み、口までお湯につかる。 お湯をブクブクさせていると、まずはひよりが入ってきた。その後ろに姉が3人。 みんなタオルを巻いてくれているのでそこは安心。「ゆきちゃーん!」 ひよりが行儀悪くドボンとお湯に飛び込むと、そのまま傍まで近づいてきた。「それ以上近寄っちゃダメぇ!」 わたしの叫びに不思議そうな顔をするひより。「なんでー?せっかく一緒にお風呂入ってるのに」 そんなこと言ってるひよりだって首まで赤く染まってるのは見逃してないからね。そっちも恥ずかしいんじゃん。「中に水着とか着てる?」 一応聞いてみた。「ゆきちゃん、さすがに高原まできて水着を用意してる人なんていないよ」 くっ、ひよりのくせに正論を。 ということはみんなタオルの下は裸ってことで……。 耳まで真っ赤になったわたしはまたしても口まで浸かってブクブクブクブク。 そんなことをしていたらいつの間にか姉妹4人に取り囲まれてしまっていた。もはや逃げ場はなし。「どうやって入ってきた」 より姉のことをジト目で見ながら問い掛けた。主犯はきっとこの人で間違いない。「なんであたしがやったって決めつけるんだよ」「日頃の行い」 間髪入れずに答えると観念したのか、事の顛末を白状した。「旅館の人に恥ずかしがり屋の妹が1人で家族風呂にはいってるんだけど、いつもより遅いからのぼせてるかもし
last updateLast Updated : 2026-01-14
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