絵美里は、ネット上で拡散され続ける動画に、苛立ちを募らせていた。どれだけ炎上を鎮めようとしても、動画は面白半分に拡散され続ける。表向きは世間を笑わせる娯楽コンテンツ。だがその実、どれも彼女の顔に泥を塗るものばかりだった。自身の体面を保つためには、諒助に頼るわけにもいかない。そこへ「茜が諒助を略奪しようとしている」という話まで耳に入り、絵美里はとうとう平静を保てなくなりかけた。あわや取り乱しそうになった、その時。スマホに小百合からのメッセージが届いた。内容を確認した絵美里の口角が、すうっと上がった。「千代さん、あなたの考えはわかってるわ。でも証拠もないことを、そう簡単には信じられないの」「必ず証拠を見つけてみせます」……スーパーで買い物を済ませた茜と星羅は、連れ立って寮へと戻った。洗顔や歯磨きを済ませ、ベッドに寝転がってスマホを開こうとした時、思いもよらないニュースの見出しが目に飛び込んできた。【野村家の御曹司・野村彰人、バーで暴力トラブルに巻き込まれ重傷!】添付された写真には、バーから担ぎ出される彰人の姿が写っていた。顔は血に染まり、両脚は完全に骨がなくなったかのように、ぐったりと力なく垂れ下がっている。身に纏うオーダーメイドジャケットがなければ、かつてあれほど羽振りの良かった彰人だとは到底信じられなかっただろう。ふと、レストランの外で耳にしたあの声が蘇った。若彰のスマホから漏れ出ていた、震えるような懇願の声。あれは彰人の声だったのかもしれない。どこかで聞いたことがあると思ったのは、そのせいか。考えがぐるぐると巡るうち、若彰が送信を取り消したメッセージのことまで頭をよぎった。和久……?まさか。茜は軽く頭を振って、その考えを追い払った。一度ひどい目に遭って、過剰に臆病になっているだけだ。今の自分に、余計な詮索をする資格などない。それに、和久のすることはすべて柏原家を守るためだ。茜はニュース画面を閉じ、タイムラインをスクロールして気を紛らわせようとした。ところが、一番上に表示されたのが和久の投稿だった。一枚の、星空の写真。その美しさに思わず見惚れかけた瞬間、茜はハッと思い出した。フォローしている天文マニアのブロガーが、今夜は流星が見えると呟いていたことを。茜は即座にベッド
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