自分が眉をひそめて辛そうにするだけで、茜は一晩中一睡もせず、諒助の頭をずっと優しくさすり続けてくれた。なのに今は……諒助は静まり返った広すぎる部屋をぐるりと見回した。絵美里は本当にあっさりと帰ってしまっていた。枕の下からスマホを取り出し、茜のアイコンをタップした。最後にまともに言葉を交わしたのは、いつのことだろう。どう切り出そうかと考えながら、諒助は不意に額に手を当てて可笑しそうに喉を鳴らした。自分からこんなに積極的に連絡をとったことなど、かつて一度もない。茜が知ったらきっと驚いて嬉そうに笑い、すぐに機嫌を直して付き合ってくれるだろう。画面を指でタップしようとしたとき、ちょうど聡史から電話が入った。「諒助様、ウォーカーヒルに書類を取りに行った際、高橋さんのご友人から耳にしたのですが、西園寺さんが高橋さんに電話をして、明日の朝、農場で新鮮な野菜を買ってきてほしいと頼んだそうです」「農場か」諒助はほんのり得意げに口角を上げた。「わかった。明日は外を見張っておいてくれ。茜が警備に止められて、門前払いを食らっては可哀想だからな」時間を計算すると、ちょうど自分が体調不良を理由に翌日の会議の中止を通達した後だ。口では冷たく無関係だと言い放ちながら、茜は心の中でちゃんと自分のことを気にかけているのだ。意地を張りながらも、結局は健気に尽くしてしまうのが、あの子なのだ。わざわざメッセージを送る必要などない。茜は健気に口実を作って、自分から会いに来るに決まっている。そう思ったら、頭の痛みまで嘘のように引いていく気がして、諒助は電話を切るとそのまま満ち足りた優越感に浸りながら眠りについた。……翌朝。スマホの通知音で目が覚めた。星羅が頼んでおいた野菜を駅まで届けに来てくれたらしい。伸びをしながら目を開けると、向かいのソファに横たわる和久の静かな寝顔が視界に飛び込んできた。端正な横顔が、青白い肌の下でどこか幻想的なまでに美しく見えた。和久はひどく警戒心が強いのか、茜がほんの少し見つめていただけで、その整った眉がかすかに動いた。茜は慌てて視線を外した。起き上がって気づいたのだが、自分の体には温かい毛布がかけられていた。昨夜テーブルに置いておいた白粥は、いつの間にか空になっており、そのそばに小さなメモ用紙が一枚残され
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