「諒助さん、もう忘れたのかしら。昔、何があっても私を守る、私を信じるって約束してくれたじゃない」そう言って、絵美里は顔を上げた。涙で濡れた瞳で上目遣いに見つめ、男の庇護欲を刺激する。彼女の得意な手口だ。諒助はため息交じりに絵美里の頬に触れた。「馬鹿だな。昔の約束は覚えているさ。茜なんて、ただの暇つぶしだ。俺の心の中にはずっとお前しかいないんだ。彼女がお前の存在を脅かすことなんてあり得ない」「……はい」絵美里は安堵したように顔を彼の胸に埋め、口元だけでほくそ笑む。そして爪先立ちになり、諒助の唇を求めた。諒助は拒まず、そのままソファに座って彼女を膝の上に抱き上げた。絵美里は腰をくねらせ、シャツの上から筋肉質な胸板を愛撫しながら、さらに深く舌を絡ませていく。彼女のキスは巧みで、男の欲望に火をつける術を心得ている。けれど、それ故に――諒助の脳裏には、かえって茜の不器用で恥じらう姿が鮮明に蘇ってしまった。絵美里がどれだけ技巧を凝らして触れてきても、不思議と欲情しない。次の瞬間、彼は絵美里を身体から引き剥がし、隣へ追いやった。「……少し疲れた。寝よう」そう言い捨てて、彼は一人寝室へと消えていった。絵美里はその場で凍りついた。まるで最大の屈辱を受けたかのように、顔が歪む。ギリギリと歯を食いしばり、その瞳に憎悪の炎が宿る。しばらくして、彼女は何かを決意したようにバルコニーへ出ると、スマホを取り出して動画を送信した。【彰人さん、見ちゃったよ。告白を断られた気分はどう?】【どうするつもりだ?】彰人からの返信は単刀直入だった。【もちろん……お互い助け合いましょうよ】……茜は確かにトイレへ向かった。手首に染み付いた彰人の香水の匂いが、耐え難いほど不快だったからだ。手を洗い、逃げるように庭園脇の小道から外へ出た。けれど、すぐにアルコールが回ってきた。茜は歩きながら、地面が揺れ、自分が宙に浮いているような感覚に襲われた。最後の理性を総動員して意識を保ちながら、なんとか一本の大きな木の下へ辿り着き、その場にへたり込むように腰を下ろした。夜風が吹き抜け、頭上で葉がさわさわと優しい音を立てる。見上げると、枝に結ばれた赤いリボンが風に舞っているのが見えた。彼女は目を閉じ、ベン
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