Todos os capítulos de 『男装の令嬢は男になりたい』: Capítulo 11 - Capítulo 20

70 Capítulos

第10話 薬草採取

   西の森は街道沿いに広がる穏やかな林だった。  昼下がりの木漏れ日の下、鳥の声と小川のせせらぎが響く。「……おおっ!」  リディアが早速しゃがみ込み、地面の草をがばっとつかみ上げた。 「見ろよ! 薬草ゲットォ!」「それは、ただの雑草ですよ」  レオンが即答で切り捨てた。 「依頼書に記されているのは《癒し草》です。葉の縁が赤く染まっているのが特徴。君が掴んでいるのは……ただのタンポポですね」「ぬぅ……見た目似てんじゃねぇか! だいたい、草の区別なんて分かるかよ!」「それを見分けるのが冒険者でしょう」  レオンは淡々と薬草図鑑を広げ、指で挿絵を示す。「……あ、これじゃないかな?」  セリウスがそっと足元の草を摘み取った。葉の先端がほんのり赤く、独特の香りが漂う。「おおっ、当たり!」  アランが目を細めて頷く。 「セリウス、よく見つけたね」「な、なにぃ!? お前らずるいぞ!」  リディアが慌てて周囲を探し始めた。「ふん。採集など暇人の仕事だ」  オルフェは木の根にどっかり腰を下ろし、腕を組んで空を見上げている。「じゃあオルフェは休憩担当だね」  アランが微笑むと、リディアが吹き出した。 「休憩担当ってなんだよ! 仕事サボってんじゃねぇ!」「俺は……狩りのほうが得意だ」 「じゃあ魔獣が出るまで見張りしてて」 「当然だ。決してサボりはしていない」 わいわいと騒ぎながら草を摘んでいく五人。  やがてセリウスが袋いっぱいに癒し草を詰め込んでいると――。「ぶひぃぃっ!」 突然、茂みの奥から奇妙な鳴き声がした。  現れたのは、小さな丸っこい獣。体長は犬ほどだが、背中に針のような毛がぴんと立っている。「うわっ、なにあれ!?」  リディアが飛び退く。「針ねずみ獣ですね。牙猪の子供版みたいなものです」  レオンが眉をひそめる。
last updateÚltima atualização : 2025-12-25
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第11話 報告と宴会

   夕刻。  冒険者ギルドのカウンターに、班の五人は牙猪の巨体をずるずると引きずり込んできた。「依頼達成の報告です! 薬草はこちら!」  アランが袋を差し出し、胸を張る。「は、はい、確認しますね……」  受付嬢が薬草を数えていく。 「はい、確かに規定量。……えっと、それで……この後ろの……大きな……?」「牙猪《ファングボア》です」  レオンがさらりと答えた。「……見習いの、しかも初依頼で?」  受付嬢の眉がぴくりと動く。「はい。偶然……出会ってしまいまして」  アランが苦笑いでごまかす。「…………」「こんな大きいやつに偶然襲われちゃって、あははははは」  リディアが頭の後ろを掻いて笑う。「本当に、偶然なんですよね?」「まあ、偶然と言えないこともないなあ」  オルフェがぼそりと呟いた。「オルフェ!」  セリウスは真っ赤になって慌てた。「本当なんですね! まあ、今回は大目に見ましょう。ですが偶然が続くようなら資格をはく奪しますよ!」「大丈夫でしょう。偶然はそんなに続かないから偶然なんですから」  レオンが涼しい顔でうそぶく。 奥から出てきた鑑定係の屈強な男が、牙猪を見て腕を組む。 「ほう……確かに本物の牙猪だな。しかも傷の入り方から見て、実際にお前らが仕留めたんだろう。……初依頼でよくやったもんだ」「ま、まあ俺の大剣の一撃で仕留めたようなものだからな」  オルフェがドヤ顔で胸を張る。「最初に吹っ飛ばされたのはどこの誰でしたっけ?」  レオンが冷ややかに刺す。「がはは! いいなあ若いのは! 早く見習いを卒業しろよ。そうすりゃ、堂々と狩りができる。買い取りするのは大歓迎だぜ」  鑑定係は大笑いしながら札束を数え始めた。 「牙猪は魔石も肉も高値で売れる。薬草代と合わせて――はい、これがお前らの報酬だ」 手渡された金貨の袋はずっしりと重
last updateÚltima atualização : 2025-12-26
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第12話 封印塔の謎の声事件 1

   学舎の男子寮に帰ってきたセリウスを、フィオナが待ち構えていた。  月明かりに照らされた廊下で、彼女は壁にもたれ、まるで舞台に上がる前の役者のように涼やかな笑みを浮かべている。「お帰り、セリウス。なんだかご機嫌のようね?」 不意に声をかけられ、セリウスは肩をびくりと揺らした。  胸の奥には、まだ酒場での打ち上げの余韻が残っていたのだ。思わぬ成功と仲間たちとの笑い声。そのせいで足取りも軽かったが――フィオナの鋭い視線に射抜かれると、妙に居心地が悪くなる。「ああ、フィオナ。どうかしたかい?」「五人で宴会でもしてきたの? 私は仲間はずれなのね?」 彼女は片眉を上げ、冗談めかした口調で言った。  だがその目の奥には、わずかな嫉妬とも探りとも取れる色が見え隠れする。「そういうわけじゃあないけど、俺達、今日から冒険者パーティを組んで訓練をしてるんだ。それで、思わぬ大金が入ったんでお祝いってわけ」 セリウスは気まずそうに頬をかきながら答えた。  酒場での盛り上がりを思い出すと顔が緩むのを、必死に抑える。「あーら、うらやましい。あなた達って強くなることに貪欲なのね?」 フィオナはつややかな黒髪を指で弄びながら、意味ありげに微笑む。  まるでセリウスの胸の内を覗き込むようなその仕草に、彼は思わず目を逸らした。「まあ、強くはなりたいね」 言葉を選びながら、静かに答える。  強くならなければならない。己の秘密を守り、いつか目的を果たすために。「ふーん。まあ、それは良いとして、ちょっと相談があるのよね?」「え! 私に相談?」 思いがけない言葉に、セリウスは目を丸くした。  男装したセリーナ(セリウス)にとってフィオナは、どこか特別な存在。男のくせに、制服以外の時は女装しているセリウスとは真逆な人(制服の時でも化粧はしているが)。心は女だと言い切る彼女(彼)は、美しさも気高さも、そして謎めいた雰囲気も持ち合わせている魅力的な女性だ。そんな彼女が、自分に「相談」を持ちかけるなんて。
last updateÚltima atualização : 2025-12-27
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第13話 封印塔の謎の声事件 2

   翌日の放課後。学舎の裏庭のベンチに、セリウスと仲間たちが集まっていた。「――というわけで、フィオナから『封印塔の調査』を頼まれたんだ」  セリウスが説明を終えると、全員の視線が一斉に集まる。「おいおい、また怪談かよ! お前とアランは、この前も鎧とか肖像画とかで大活躍したばっかじゃねえか! 今度は俺も参加するぜ」  リディアが両手を振り回して大げさに叫ぶ。「つまり……三連続で『学園の七不思議』ってわけですね」  レオンは呆れ顔でため息をついた。「ふむ。封印塔……古の邪悪が眠る禁忌の地……いいじゃないか!」  オルフェはすでに剣を肩に担ぎ、やる気満々。 「こういうのは勇敢な戦士が挑むべき試練だ!」「いやいや、オルフェはただ怖い話に首突っ込みたいだけでしょ」  アランが冷静に突っ込む。 「でもまあ、フィオナが本気で困ってるなら、無視はできないかな」「う、うん……そうなんだ」  セリウスは曖昧に笑う。「よーし決まりだな! 封印塔に突撃だ!」  リディアが拳を突き上げる。「ちょ、ちょっと! まだ行くとは――」  セリウスの制止もむなしく、オルフェとリディアはもう行く気満々。「でも……立ち入り禁止なんですよね」  レオンが冷静に水を差すが、リディアは「バレなきゃ平気平気!」と笑い飛ばす。「ふむ、バレなきゃ無罪!」 「いや有罪だからね!?」  アランとレオンが同時に突っ込む。 結局――セリウスの予想通り、話し合いは「みんなで行こう」という結論に収まってしまった。(やっぱりこうなるのか……)  セリウスは心の中で天を仰ぐ。  それでも、仲間たちがいてくれる安心感も確かにあった。 午後の授業を終えた六人は、裏門を抜けて封印塔へと向かった。  まだ日は高く、空には淡い光が広がっている。だが森の外れに建つその塔は、昼であるにもかかわらず薄暗く、不気味な影を落としていた。「……うわ。思った以
last updateÚltima atualização : 2025-12-28
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第14話 封印塔の謎の声事件 3

    数日後、セリウスの部屋にフィオナがまた駆け込んできた。「セリウス、また出たらしいわよ。封印塔!」「え! 変な声を聞いたって?」  セリウスは思わず身を乗り出した。「ええ。昨日の夜、新入生の子たちが偶然通りかかって、はっきり聞いたって……。『あー』とか『うー』とか、何人もで」  フィオナの青い瞳が真剣に揺れている。 セリウスの胸に嫌な予感が広がった。 (……やっぱり、ただの噂じゃなかった?) 結局その日の夜、またもや六人は封印塔の前に立っていた。  今度は本当に夜。空は雲に覆われ、月も星も隠れ、風が木々を揺らして低く唸る。「おいおい……昼間でも不気味だったのに、夜は別格だな」  リディアが半泣き顔で肩をすくめる。「ふむ……闇に閉ざされし塔。今こそ真の試練が――」  オルフェが勇ましく言いかけた瞬間、レオンに肘で小突かれて黙らされた。 錆びついた扉を押し開けると、昼間とは比べ物にならない闇と冷気が広がっていた。  ランタンの炎が揺れ、壁に怪物のような影を映し出す。「……今のところ声はしないな」  アランが剣に手をかけながら低くつぶやく。 その時――。「……あ……」 確かに、今度は全員の耳に入った。  女の声。か細く、途切れ途切れに、階上から響いてくる。「ひ、ひゃぁぁぁぁ! やっぱり出たぁぁぁ!」  リディアがセリウスの背に飛びつき、セリウスは悲鳴を堪えながら前につんのめる。「ま、待て。冷静になれ」  アランが必死に皆を制す。 「声が聞こえた方向を確かめよう」「奥……階段の上からですね」  レオンが耳を澄まし、静かに指差した。 六人は慎重に階段を上り、四階へ。  ――再び。「……あ……う……」  今度は壁の向こうから。 目の前には、ただの板壁。入り口も窓もなく、その先には何もないはずだった。  それなのに、壁
last updateÚltima atualização : 2025-12-29
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第15話 2度目の依頼

 次の休みの日。  学舎の制服ではなく、それぞれが私服にマントを羽織った五人は、冒険者ギルドの重たい扉を押し開けた。 中は朝から活気に満ちていた。  酒場兼食堂のスペースでは、既にジョッキを手にして騒ぐ冒険者たち。  受付の前には依頼を受けようとする若い新人や、手柄話をまくしたてる中堅の者たちが列を作っている。  掲示板の前には人だかりができ、紙の依頼票を剥がしては受付へ向かう冒険者の姿が絶えなかった。「うわ……やっぱり朝は人が多いな」  セリウスが肩をすくめながら呟く。「ほら、あそこ! 掲示板!」  リディアが人混みをかき分け、真っ先に掲示板の前に躍り出る。  彼につられて、セリウスたちも慌てて後を追った。 掲示板には羊皮紙に書かれた依頼票がぎっしりと並んでいる。だが、思っていた以上に空白の釘が目立った。「あっれ? 『洞窟コウモリ退治』の依頼票が見当たらないな」  リディアが首を傾げながら、紙の束を一枚ずつ確認する。「誰か別の方が、既に受注してしまったのではないですか?」  レオンが冷静に指摘する。「えぇー? 見習い冒険者用の依頼なんて、誰もやりたがらないと思ってたのに」  リディアが頬を膨らませる。「むしろ逆に、こういう雑用じみた依頼は、稼ぎが少なくても安全だから、初級の冒険者に人気なんじゃないか?」  アランが淡々と自説を口にする。「つまり、我々が出遅れたというわけだな!」  オルフェが胸を張って宣言したが、その内容はただの事実であり、誰も突っ込む気力を失っていた。「……じゃあ、どうする? 別の依頼を探す?」  セリウスが仲間たちに視線を送る。 掲示板には『ゴブリン討伐』『薬草の採取』『迷子のペット探し』など、残り物の依頼票が数枚だけ残っていた。 掲示板に残された依頼票を前に、五人は自然と円を作った。「『迷子のペット探し』はないな」  アランが真っ先に切り捨てる。 「見つからないペットを延々
last updateÚltima atualização : 2025-12-30
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第16話 ゴブリン討伐 1

 町を出てから2時間ほど歩き続けると、道はやがて丘陵地帯へと変わっていった。  緩やかな起伏のある草原がどこまでも続き、ところどころに岩や低木が点在している。風は強く、空気は少し乾いていた。「おおっ、これぞ冒険って感じだな!」  オルフェが大仰に両腕を広げる。マントが風にはためき、ちょっとした英雄気取りだ。「いや、ただの丘だろ……」  セリウスが呆れ気味に突っ込む。「ふふ。けど、いつも学舎の壁の中ばかりだったから、新鮮ですね」  レオンが瞳を輝かせて周囲を見渡す。「その分、危険もあるということだ」  アランが冷静に釘を刺す。 「見ろ、あの岩陰なんか、ゴブリンが潜むにはうってつけだぞ」「うっ……そう言われると、なんか全部怪しく見えてきたな」  リディアが首をすくめながらも、楽しそうに鼻をひくつかせていた。「……おいリディア、お前、犬じゃないんだから」  セリウスが笑うと、リディアは「斥候は鼻が利くんだよ!」と胸を張る。「頼もしいな。では、我が忠犬よ、ゴブリンの匂いを嗅ぎ分けるがいい!」  オルフェが芝居がかった声で言うと、リディアは即座に「犬じゃねえって!」と叫び、アランが「バカども……」と額を押さえる。「でも本当に……ここからが勝負ですね」  レオンがぎゅっと薬草袋を握りしめ、真剣な表情を浮かべた。 五人は笑いながらも、心のどこかで緊張を感じ始めていた。  町の外に出てしまえば、何が起きても自己責任。  ここから先は、学舎の課題ではなく、冒険者としての実戦なのだ。 そして――彼らの視線の先、丘の上には、草を踏み荒らしたような痕跡がちらほらと見えていた。五人は丘の上まで移動すると、草の乱れを注意深く眺めた。「……やっぱり、ただの獣道じゃなさそうだな」  アランが腰をかがめ、刈られた草の根元を調べる。 「足跡が残ってる。しかも人間の大きさより小さい」「おおっ、それはつまり――!」  オルフェが胸を張りかけるが、リディ
last updateÚltima atualização : 2025-12-31
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第17話 ゴブリン討伐 2

 血と土の匂いが漂う窪地に、ようやく静けさが戻った。  五人はそれぞれ肩で息をつき、剣や槍を地面に突いて体を支える。「……やっと、終わったね」  セリウスが額の汗を拭いながら呟く。「ふんっ、楽勝とはいかんが、手応えはあった!」  オルフェは胸を張るが、その大剣は土に突き立てたまま、彼自身の膝も少し笑っていた。「危なっかしいにもほどがある」  アランは仲間たちを睨むように見回しつつ、剣を丁寧に拭った。 「オルフェ、あんな突撃は無謀すぎる。セリウスも、視界の外に敵がいたらどうするつもりだ」「す、すみません……」  セリウスは頭を掻いて苦笑する。「でも、うまい具合に、皆で連携できたから、勝てたんだと思うよ」  リディアが短槍を肩に担ぎながら言う。 「俺の投げナイフだけじゃ押し切れなかったし、レオンの援護もなかったら危なかったぜ」「ぼ、僕は……必死で詠唱するだけで精一杯だったけど」  レオンは苦笑いしながらも、少しだけ胸を張った。 「でも、仲間を守るために魔法を使えたのは……魔法を趣味にしていて良かったと思います」「そうだね」  セリウスが頷き、皆の顔を順に見渡す。 「危なかったけど……私たち、ちゃんとゴブリンを倒せたね」 一瞬の沈黙の後――。  リディアが、にやりと笑って拳を突き出した。「初めてのゴブリン討伐、成功だな!」 五人の拳が重なり、緊張の糸が解けたように笑顔が広がった。――― 夕方。  冒険者ギルドの受付に、五人は袋を抱えて現れた。袋の中にはゴブリンの耳が切り揃えて入っている。依頼達成の証拠だ。「ゴブリン討伐、五体確認。依頼完了ですね」  受付嬢が淡々と数を確かめ、帳簿に記録する。 「……よくやりましたね。見習いランクの方々で、この数を倒せたのは立派です。冒険者ランクが新人ランクに上がりますよ」 差し出されたのは報酬の銀貨袋と新しい冒険者プレート。  ずしり
last updateÚltima atualização : 2026-01-01
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第18話 図書館の幽霊書記事件

 その噂は、騎士養成学校の寮に暮らす生徒たちの間で密かに囁かれていた。 「図書館の奥にある古文書に、夜ごと“新しい記述”が現れる」――と。 六月の夕暮れ。  湿った風が窓から吹き込み、外では雨粒がときおり屋根を叩いていた。  寮の共用ラウンジでは、蝋燭の灯りがぼんやりと揺れている。 テーブルを囲んで談笑していたセリウスたちの前に、ひときわ艶やかな声が響いた。「みなさま、聞いたことはなくて?」  フィオナが涼やかな扇をぱたりと開き、長い黒髪を揺らして腰を下ろす。 「図書館の古文書が……夜になると勝手に書き換わるそうですのよ」「……また噂話か」  アランは書物を閉じて、眉をひそめた。 「君は本当に、そういう話をどこから仕入れてくるんだ」「あら、わたくしはただ、面白い真実を皆さまにお伝えしているだけですわ」  フィオナは唇に笑みを浮かべ、雨音を背景に一口、紅茶をすする。「えっ、マジかよ!」  リディアがフィオナの話に食いつく。    オルフェが椅子から身を乗り出した。 「幽霊が本に書き込みしてるってことか? だったら俺がぶった斬ってやる!」「馬鹿を言うな」  アランが即座に切り捨てる。 「だが……記述が増えているというのが事実なら、何者かが夜中に書き込んでいるんだろうな」「僕もそれ、気になりますね」  レオンがおずおずと手を挙げる。 「古文書って、魔法史で扱うような大事な資料ですからね。もし誰かが勝手に書き込んでいるのなら大問題です」「ほら! そうでしょう?」  フィオナは目を細め、楽しげに頷く。 「ですから、皆さまで確かめに行きませんこと?」「決まりだな!」  リディアがにやりと笑った。 「どうせなら今夜、図書館に忍び込んで一泊調査だ!」「おい……勝手に決めるな」  アランは額に手を当てる。 だが、窓の外で雨脚が少し強まる中、セリウスが口元を緩めて言った。
last updateÚltima atualização : 2026-01-02
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第19話 連携訓練

 週末の朝。  学園の講義がない休日、セリウスたち五人は揃って冒険者ギルドへと足を運んでいた。 通りは市場の開く時間とあって活気にあふれ、焼き立てのパンの香りや果物の甘い匂いが風に乗って流れてくる。  だが五人はそちらに目もくれず、ギルドの扉を押し開けた。 中に入ると、冒険者たちの笑い声や武具の音が飛び交う。  先週、ゴブリン討伐を終えて「見習いランク」から一歩昇格し「初心者ランク」になった彼らは、これまでより幅広い依頼に挑めるようになった。「さて、今日はどんな依頼が残ってるかな」  アランが真っ直ぐに掲示板へ歩くと、他の四人も続いた。 板に並ぶ羊皮紙には「農地の害獣退治」「護衛任務」など、これまで手を出せなかった依頼も含まれている。  初心者向けの「迷子のペット探し」や「荷物運び」、「薬草の採取」ばかりだった頃を思い出し、セリウスは少し胸が高鳴った。「おっ、『森の盗賊団の動向調査』なんてあるぜ! こういうのこそ冒険って感じだろ!」  オルフェが目を輝かせる。「夏休みにダンジョン探索を行うのが当面の目標だ」  アランがすかさず却下する。 「ダンジョンに潜れる実力や、ノウハウを身につけるために役に立ちそうな依頼を探そう」「……だったら、これなんてどう?」 リディアが指さしたのは『洞窟コウモリ退治』の依頼票だった。それは以前見習いランクに出されていた簡単な依頼である。先週はなくなっていたが、また出されたらしい。見習いランクで、依頼が失敗しての再依頼かもしれない。「暗い場所で素早い相手と戦うって、まさにダンジョンに似てるじゃない。投げナイフや槍の訓練にもなるし」「おお、確かに! 暗がりで翼のある敵だなんて、ダンジョンっぽいじゃないか!」  オルフェが目を輝かせ、大剣の柄を叩いた。 「よし、俺の出番だな!」「……いや、コウモリ相手に大剣を振り回すのは非効率なんじゃないか」  アランが冷静に指摘すると、オルフェはむっとして反論する。 「効率だけが全てじゃないだろ! 俺
last updateÚltima atualização : 2026-01-03
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