六月の暑さが徐々に増していく《ヴァルロワ学舎》。石造りの校舎の間を吹き抜ける風にも、夏の香りと、微かに焼けた草の匂いが混じる。 広場では、学舎の学園祭準備が始まっていた。生徒たちはテントを立て、装飾用の旗を風に揺らし、各クラスごとに出し物の準備に取り組んでいる。「この飾り、もう少し低い位置にしたほうが見栄えいいんじゃない?」 セリウスの落ち着いた声が、金槌の音や笑い声にまぎれて響く。彼は友人たちと一緒に、自分たちのクラスの展示ブースの飾り付けを調整していた。 アランは重い木箱を軽々と抱え、的確な指示を飛ばしながら周囲をまとめ上げていた。 「机の配置はこうだよ。通路は広く取って、訪問者が混乱しないようにね」 リディアは元気いっぱいに旗を持ち、柱に結びつける。 「ほら、こっちもピンで留めるんだ。夏っぽく、元気に見えるだろう!」 その鮮やかな赤と金色の旗は、青空に映えてまぶしかった。 オルフェは少し汗をかきながら、屋台用の道具を運ぶ。 「重いな……でも、これで焼き菓子やジュースを提供できるはずだ」 彼の手には、大剣に似た大きな木製の棚板が抱えられていたが、周囲の生徒が笑いながら手伝ってくれた。 レオンは手帳に数字を書き込みながら、光の角度や展示の配置を緻密に調整していた。 「光の加減で展示が見やすくなるはずです……この位置で、陰にならないように」 学舎の廊下や階段には、絵画や手作りの装飾が所狭しと並ぶ。 校庭の端では、音楽部や演劇部の生徒たちがリハーサルを行っており、明るく伸びやかな歌声や、台詞の練習の声が風に乗って響いてきた。「よし、午後には全体の確認を終わらせよう」 セリウスが皆に声をかける。 「暑いけど、夏の学園祭は一日だから、思い残すことないように楽しもう」 六月の柔らかい日差しの下、学舎の生徒たちは笑顔で作業に励む。教室の窓からは、風に揺れる旗や、彩り豊かな装飾がちらりと見え、夏の学園祭の期待感が校舎中に満ちていた。 《ヴァルロワ学舎》の夏の学園祭当日。 セリ
Última atualização : 2026-01-04 Ler mais