パーティーの開始時刻が迫る中、イザベラの部屋の前には、すでに一人の男が待ち構えていた。「まだか……?」 焦燥に駆られたルークは、廊下を行ったり来たりしながら苛立たしげに靴音を響かせる。彼の鋭い黒曜石の瞳は、まるで獲物を待ち受ける猛禽のように扉を凝視していた。待つことが苦手な王にとって、この時間は拷問にも等しい。 ルーク・ベルシオン王は、逡巡するように腕を組みながら扉を見つめる。何度もノックしようとするが、扉の向こうから聞こえる女性たちの華やいだ笑い声と、衣擦れの音に思いとどまる。その一つ一つが、彼の焦りを一層募らせた。 しかし、彼は待てる男ではない。 ガチャッ! 意を決したように扉を開けると——「きゃあっ!? 陛下!? ちょっと待ってください、まだ準備中です!」 部屋の中央では、あやめが必死にイザベラのドレスの裾を整えていた。その視線の先、鏡の前に立つイザベラの姿に、ルークの世界が一瞬にして塗り替えられる。 真紅のドレスが波のように優美に揺れ、繊細な金刺繍が灯火に照らされてきらめく。彼女の肌は月光のように白く、きっちりと編み上げられた金の髪がその気高さを際立たせていた。美しい。あまりにも——。「おお……」 ルークの息が詰まる。心臓が一瞬跳ね上がったような感覚に襲われる。 彼の視線は、金の髪から滑るように鎖骨、ドレスの緻密な刺繍へと移り、やがてその凛とした瞳と絡み合う。すべてが完璧だった。 ずいっ 無言のまま、ルークはイザベラへと歩を進める。 イザベラは戦慄した。彼の目が、あまりにも真剣で、深く、熱を帯びている。じわじわと迫る彼に、思わず後ずさるが—— 背後に椅子がある。逃げ場はない。「……美しい」 低く響いたその声は、驚くほど真剣だった。まるで宝石を愛でるような、いや、それ以上の敬意と渇望が滲んでいる。 ルークはそっとイザベラの手を取る。大きく温かな手が、指先からゆっくりと熱を伝えてくる。「あなたがどんな衣装を着ても魅力的なのは知
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