All Chapters of 『復讐の転生腹黒令嬢は溺愛されたので天下を取ることにしました』: Chapter 81 - Chapter 83

83 Chapters

75  シオン軍の進軍と南部制圧

 夜明けとともに、ベルシオン軍は威風堂々と進軍を開始した。漆黒の軍旗が朝焼けに揺れ、整然と並ぶ兵士たちの甲冑が朝陽を反射し輝く。ルーク・ベルシオンは馬上で静かに進軍を見つめ、冷徹な視線の奥に揺るぎない自信を宿していた。彼の側にはガリオン将軍が不敵な笑みを浮かべ、ケインズ参謀は冷静に作戦を再確認していた。 途中、ルークは別動隊を編成し、馬上から力強く貴族たちの名を呼んだ。「マルク公爵、アレン子爵、バートランド子爵、カッパー侯爵、ユーロ公爵——貴公らに別動隊を任せる!」 貴族たちはそれぞれ馬を進め、ルークの前に整列した。「南部の城はほぼ無防備だ。速やかに制圧し、補給線を確保せよ。」「存分にやらせてもらおう。」マルク公爵が静かに頷き、部隊の方を振り返る。 ルークはマルク公爵の肩を叩き、静かに言った。「貴公には別動隊の士気を託す。確実に戦果を挙げてくれ。」「王の期待に応えるのが我々の務めです。」マルク公爵は敬意を込めて一礼し、すぐさま馬を駆って部隊の先頭へと向かった。 ベルシオン軍の進軍は本格化した。王直属の本隊が主力として北へ向かう一方、南部制圧を担う別動隊が迅速に行動を開始する。先陣を切るのはケルシャ城主マルク公爵、そしてアレン子爵、バートランド子爵、カッパー侯爵、ユーロ公爵という歴戦の将たちである。 マルク公爵は馬上で地図を広げ、冷静な目で戦略を練る。彼の指が示したのは、スピネル王国南部に点在する小城や要塞だ。「リチャード王が軍を率いている今、南部の防備は手薄。迅速に各地を制圧し、補給線を確保する。アレン、バートランド、お前たちは騎兵を率い、東方の城を抑えよ。カッパー、ユーロ、お前たちは西方から圧力をかけつつ、可能なら無血開城を狙え。」 アレン子爵は口元をほころばせ、「ようやく腕が鳴るな」と呟いた。彼は機動戦を得意とする将であり、彼の率いる騎兵部隊はその速さと突撃力において右に出る者はいない。「バートランド、俺の後ろに続け。いつものように、俺が道を切り開く。」「お手並み拝見といこうか。」バートランド子爵が静かに笑いながら剣の柄を握る。彼は慎重かつ
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76  スピネル王国の混乱

 一方、スピネル王国内部では、戦の混乱が頂点に達していた。リチャード王の軍はエクロナス城を包囲し、兵糧攻めに出ていた。しかし、その包囲には思わぬ綻びがあった。 城の一角、闇に紛れるようにして兵が動いている。リチャード王の兵が見張る中、誰にも気づかれぬよう密かに城壁の外へと物資を運び込む影があった。「よし、運び込め……急げ。」 命じたのはオーガスト・ドレット伯爵。彼の瞳は夜の闇よりも冷たく光り、慎重に周囲を見渡している。密かにジェームズ側へ通じる補給路を開き、エクロナス城内へ食料や武器を流していたのだ。 城内では、ジェームズ公爵が険しい表情で地図を睨み、焦りを隠そうともせずに呟いた。「リチャードの包囲は厳しいが、まだ終わってはいない。我々には、最後の一手がある……」 蝋燭の灯りが地図の上を揺らし、戦局を映し出す。補給が続く限り、彼らには戦う余地がある。しかし、それも長くは続かない。リチャード軍がさらに包囲を強化すれば、いずれ飢えと病が城を蝕むことになる。 その時だった。 広間の扉が勢いよく開き、伝令が駆け込んできた。彼の顔には緊張が滲み、息を切らせながら叫んだ。「ジェームズ様!ベルシオン軍がスピネル領へ進軍を開始しました!」 広間の空気が凍りつく。ジェームズ公爵は一瞬言葉を失ったが、すぐに目を鋭く光らせた。「……ベルシオンが動いたか」 その言葉には、焦りと期待が入り混じっていた。 リチャード王の困惑  エクロナス城を包囲するリチャード軍の本陣にも、同じ報せが届いた。「ベルシオン軍が進軍中?」 リチャード王は豪奢な椅子に深く腰掛け、手にしていた酒盃を傾けかけたまま、訝しげに兵士を見つめた。「ま、待て……奴らは何のつもりだ?この戦は私とジェームズの争いだぞ?」 室内の空気がざわつく。彼の周囲には重臣たちが集まり、困惑の表情を浮かべていた。その中で、ただ一人冷静だったのは、ネルソン・スカバル公爵だった。「ベルシオンはこの戦の勝者を見極めるつもりでしょう。あるいは、
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77  威圧の布陣とスピネル王国王都カーターズポリスの陥落

 夜明け前の冷たい空気が、広大な草原に張り詰めるような緊張感をもたらしていた。蒼白い月が空に浮かび、雲間から薄明が差し始める頃、ベルシオン軍は静かに行軍を続けていた。その進軍は静かでありながら、確かな威圧感を放っていた。 甲冑の擦れる音、馬蹄が土を踏みしめる重厚な響き、そして無言のまま進む兵たちの影。それら全てが、練度の高さを物語っている。戦場に立つ者であれば、誰もがこの軍勢の規律と力を一目で悟るだろう。 軍の先頭を進むのは漆黒の馬にまたがるルーク・ベルシオン。その姿はまるで闇を纏う戦神のようだった。彼の黒鎧が薄明の光を鈍く反射し、背後には彼に忠誠を誓う精鋭たちが従う。その中でも、彼の右手に控えるケインズと、左手に並ぶガリオンは特に目を引いた。 ケインズは冷ややかに馬を進めながら、遠くに広がるスピネル軍の陣を一瞥した。彼の表情に迷いや不安はない。むしろ、すべてを見通しているかのような余裕があった。 「リチャードは手をこまねいている。いや、どう動くべきかも判断できていないというべきか」 彼の言葉には、嘲るような響きが混じっていた。 「奴はこれまで一度も"選択"をしたことがない。ただ、周囲の言葉に流され、その場しのぎの決断を繰り返してきただけだ。今も同じだ。突然戦場に現れた我らにどう対処すべきか、考えがまとまらぬまま狼狽している」 ルークは静かに頷いた。 「ならば、我らの手で選択肢を削ぎ落としてやればいい」 一方、ガリオンは豪快に笑いながら馬を進めた。 「まったく面白みのない王だな。敵に回すなら、もう少し骨のある奴のほうがやりがいがあるってものだ」 「奴が面白いかどうかは問題ではない。どうせじきに消える者だ」 ケインズが淡々と告げると、ガリオンは肩をすくめた。 「そうだな。だったら、早めに片をつけようぜ。俺は手応えのある戦がしたいんだ」 「手応えなら、これからたっぷり味わえるだろうよ」 ルークは不敵に笑いながら、スピネル軍の陣へと目を向けた。  スピネル王国軍の陣営が見える距離まで進軍すると
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