公園を出るころには夕焼けが完全に落ち、街には涼しい夜風が流れ込んでいた。「はい、じゃあまずは駅前の“金の樽”行くでしょ? そのあと二軒目は――」「待て、真琴、最初から二軒目の話はやめろ」慎一は苦笑しながら言った。「だから言ったでしょ?今日は飲むの!笑うの!忘れるの!!」真琴は勢いよく振り返り、ぐっと拳を作る。「いや、忘れるって……そこまで酔いつぶれるつもりなの?」楓が笑った。「つぶれるのは楓!あたしと陽斗はフォローに回るから!」「なんで私なの!?」「だってさ……亮にあんな態度取られたら、普通は飲むでしょ」 真琴はわざと軽く言うが、楓の胸が少しだけ痛む。 しかしすぐに陽斗が柔らかい声で続けた。「大丈夫ですよ。僕もいますし。慎一さんもいるんですから」 陽斗の視線が慎一に向けられ、慎一は小さく頷く。「任せろ。楓が悪酔いしたら……背負って帰るくらいはしてやる」「背負わなくていい……!」楓は耳まで赤くしてそう言った。 そんな4人のやり取りを包むように、夜の風がひゅうっと吹き抜けた。 駅前の居酒屋「金の樽」は、昔ながらの木の扉が印象的な店で、 引き戸を開ければ、焼き鳥と出汁の匂いがふわっと鼻をくすぐる。「わー……うまそう……」楓の声が弾む。「まずは生ビール4つね!はい注文!」真琴は店員に声をかけ、即座にメニューを開いた。「お前、店員より店に馴染んでるな……」慎一が呆れながら言う。「この店ね、私と陽斗の行きつけなの」真琴は得意げに胸を張る。「へぇ、いいじゃん。真琴、嬉しそう」楓はくすっと笑う。「だってあたし、陽斗と来たらね、絶対ここで“幸せビーム”補給してんの!」真琴は陽斗の腕をぎゅっとつかみ、陽斗は少し照れた顔をした。「真琴さん、ビームとか……ふふ……」陽斗は苦笑しながらも満更でもない。「楓たちもやってみ?」真琴がにやにやと慎一を指で差す。「やらない!!」「やらねぇよ!!」 二人が揃って即答すると、真琴はテーブルに突っ伏して笑った。「ほんと仲いいんだから……」「……仲っていうか、お前が勝手に騒いでるだけ」「慎一……顔赤いよ?」「赤くねぇし」 楓はくすくす笑いながら、真琴の肩を軽く叩いた。「それよりさ、頼もうよ。お腹すいちゃった」「あ、そうだ!」真琴は注文端末を手に取り、怒涛の勢いでポチポチし始
Última atualização : 2026-01-22 Ler mais