大型の有機ELディスプレイの中で、無数のフラッシュが雷光のように炸裂していた。 青白い光の点滅が、薄暗いリビングの壁に不規則な影を落としている。 画面の中央、警視庁の正面玄関から出てきたのは、かつて「社交界の華」と持て囃された女だ。 顔を隠すように深く被ったコート。 護送車へと押し込まれるその姿に、かつての傲慢な女王の面影はない。ただの、怯えた小動物のようだった。 テロップには『高嶺商事・高嶺社長逮捕』『粉飾決算と特別背任の疑い』という角張った文字が躍り、コメンテーターたちが掌を返したように高嶺家の腐敗を糾弾している。 昨日の今日だというのに、世間の風向きは完全に変わっていた。「……終わったな」 征也がリモコンを操作した。 ふつり、と喧騒が途絶える。 リビングには、空調の低い駆動音と、遠くで鳴るジャズの音色だけが残された。 静寂が、耳に痛いほど染み渡る。 窓の外には、雨上がりの澄んだ夜空が広がっていた。 眼下に広がる東京の夜景。無数の光の粒が、宝石箱をひっくり返したように輝いている。 それは、私たちが血を流し、泥を啜って勝ち取った、平和の灯火のように思えた。「ええ……。長かったです」 私はソファに座る征也の隣に寄り添い、その硬い腕に頭を預けた。 上質なシャツ越しに伝わる体温。 征也の腕が自然に私の肩を回り、髪を梳くように撫でる。 その手つきは、戦いの最中に見せていた、私を守るための荒々しさではない。砂糖菓子を扱うような、とろけるほどに甘く、優しい愛撫だった。「お前のおかげだ、莉子」 頭上から降ってくる声が、私の鼓膜を震わせる。「お前がいなければ、俺は怒りに任せて暴走し、自滅していたかもしれない。……お前が、俺を人間に戻してくれた」「ふふ。……征也くんは、すぐ熱くなっちゃうから」 茶化すように言うと、征也はバツが悪そうに鼻を鳴らした。「うるさい。&hell
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