落雷の凄まじい衝撃が屋敷を震わせるたびに、窓ガラスがガタガタと悲鳴のような音を立てて鳴っている。 窓の外で光が弾けるたび、広い寝室の豪奢な調度品が一瞬だけ闇に浮かび上がり、すぐにまた深い影へと沈んでいく。 今の私にとってその轟音は、耳元で繰り返される征也の荒く熱い呼吸に比べれば、どこか遠い世界の出来事のようにしか感じられなかった。 最後の一枚が指先で払われるようにして剥ぎ取られ、私の肌は、あの頃とは様変わりしてしまった彼の冷たい視線にさらされる。 焼けるような恥ずかしさに顔を赤く染め、私はたまらず両腕で自分を隠そうとした。けれど、彼はその細い手首を逃さず掴み、頭上の柔らかなクッションへと沈み込ませるように押しやった。「隠すな。……今日、この瞬間のために、俺がいくら払ったと思ってる」 低く響く彼の言葉が、私の胸の奥を深く、鋭く切り裂いていく。 十億円。 それは母の命を繋ぎ止めるための値段であり、同時に、私の誇りを根こそぎ買い叩いた代金でもあった。「……っ、わかってます。好きに……してください……」 私は唇を白くなるほど噛み締め、ぎゅっと瞳を閉じた。 視界を閉ざした暗闇の中で、五感だけが恐ろしいほどに研ぎ澄まされていく。豪雨の湿った匂いと、彼が纏う高価なコロンの香りが混じり合い、頭がくらくらする。 彼が私の身体に触れるたび、這わせた指先の熱が、逃げ場のない毒のように全身へ回っていくのが分かった。征也の手のひらは、かつて私が知っていたあの優しい少年のものではなくなっている。節くれ立ち、力強く、狙ったものを決して逃さない大人の男の手だ。 彼の唇が、私の鎖骨をゆっくりとなぞり、その中央で揺れるサファイアを舌先で転がした。 カチリ、と硬い石が私の骨に当たる、かすかな感覚。シーツが擦れる衣擦れの音が、やけに大きく鼓膜に響いた。 冷え切った石と、彼の熱い舌。その正反対の刺激が、私の思考をぐにゃりと濁らせていく。「莉子……お前は、この四年間、一度でも
Last Updated : 2026-01-11 Read more