All Chapters of 再会は魔法のような時を刻む~イケメンドクターの溺愛診察~: Chapter 141 - Chapter 150

150 Chapters

3 after story 坂井良輔

「僕も、毎日笑顔でいることがつらくて苦しくて。そんな日々の中で、ある部屋から眺める月がさ、妙に美しく見えたんだ。なぜだかはわからない。だけど、いつしかその魅力に取り憑かれていた。それは……きっと、僕も自分自身では輝けない存在だったからかも知れない。だから、月の悲しい現実に、自分を重ねていたのかも知れない」 ずっと、誰にもこの気持ちはわからない……そうやって卑屈になっていた。 「でもある時気づいたんだ。いや、気付かされたんだ。僕という『月』を、子どもの頃からずっと見守り、輝かせてくれていた母の偉大さに」 「お母さん……?」 「ああ、お前も知ってるだろ? うちは母子家庭だったからな。経済的な余裕なんて無いのに、母はずっと学校に通わせてくれた。自分の欲しいものも買わずに、医学部を卒業させてくれたんだ。そして……同時に、医師という仕事の大切さにも改めて気づいた。ある人達がそれを教えてくれたんだ。自分で気づけないなんて情けないけどな。まあ今は……全てのことに感謝しかないよ」 「そっか……お前にとってはお母さんや仕事が大切なんだな……」 「月は自分では輝けない。だけど、それを照らしてくれる存在は、必ずいるんだ。それは、お前の中に生き続けている奥さんだよ。俺にも大切な人がいるんだけど、でも、一生会うことはない。それでも、彼女も僕の太陽なんだ。心の中にいるキラキラ輝く太陽」 愛莉さんの笑顔、今も毎日思い出す。 それだけで元気になれる。
Read more

4 after story 坂井良輔

「近くにいなくても、奥さんはお前の中に歴然と存在してる。だから……それを忘れないで。自分を覚えてくれる人がいなくなったら、奥さんが可哀想じゃないか。月が自分で輝けないことは、決して悲しいことじゃない。誰か大切な人とずっと一緒だってことだ。お前が生きて、生きて、生き抜いて、奥さんと一緒に輝いてくれ。そしたらきっと、笑ってくれる……お前が笑えば、奥さんも……」 愛莉ちゃんも、僕が笑っていれば、医師として頑張っていれば、きっと喜んでくれるはずだから。 友人は、嗚咽した。 その姿を見ると、あの日、僕が生まれ変わった日のことを思い出す。もう、友人は大丈夫……だろう。奥さんのために生き抜いて、きっとまたいつか、心から笑える日が来る……僕はそう信じたい。 月は……美しい。 太陽の力を借りて、暗い暗い闇に光を放っている。 確かに心が沈んでいた頃は、月より太陽の方が存在する価値があると思っていた。 でも、そうじゃなかった。 太陽も、月も―― どちらも間違いなく存在意義のある大切なものなんだ。 人間の命は儚い。 だからこそ、最後の瞬間まで輝き続けていたいと思う。 全ての大切な人達の幸せを願い、僕は医師としての使命を、この命が尽きるまで全うしたい。 愛莉ちゃん…… 君が幸せなら、僕も幸せだよ。 ずっと……笑顔でいてほしい。出会ってくれて、本当に……ありがとう。
Read more

1 after story 山下賢人

「パパ、これは何ていうお花?」 「これはガーベラ。可愛いだろ?」 「ピンク、オレンジ、しろ。たくさん色があるんだね」 「希(のぞみ)の名前はね、このガーベラの花言葉の『希望』から取ったんだよ。この花みたいに希望溢れる可愛くて明るい子に育ってほしいから」 「うわぁ、嬉しい~。このお花、希も大好き。あっ! ママ!」 「希、幼稚園に行く時間だよ」 「はーい」 「賢人、希を送ったら、そのまま仕事に行ってくるね」 「パパ行ってきます!」 「2人とも気をつけて」 家族を見送った後、1人開店の準備をする。 花屋の1日は長い。 店を持つのが夢だったけど、仕入れから販売、経営も全てとなると、かなり大変だ。 従業員は1人、バイトも1人。 ずいぶん慣れたとはいえ、しばらくは気合いを入れて店の売り上げを安定させなければならない。 花が好きで、花を見ていると癒される。 それはもちろん変わらない。 ふとした時、愛莉さんを思い出すことも…… それは仕方のないことだ。 あれだけ想っていた人を簡単に忘れることはできないから。 海外に行って頑張ってたみさとから連絡があったのは、愛莉さんが結婚してすぐの頃だった。 ひとしきり落ち込む毎日の中で、みさとの優しさや明るさ、懸命な姿に、僕はいつしか惹かれていき…… 気づけば、一緒にいるようになった。 みさとにガーベラをプレゼントされ、プロポーズされた時は驚いた。 ピンクのガーベラは「熱愛」、黄色のガーベラは「究極の愛」という花言葉を持つ。 花に詳しくないみさとが、調べて贈ってくれたんだろう。
Read more

2 after story 山下賢人

正直、とても嬉しかった。でも……僕の中にいた愛莉さんを消すことはできない。『賢人が誰を好きでもいいよ。私のことが嫌いでなければ……結婚して側にいてほしい。どこにいたって、私はずっと賢人しか愛せないから』その言葉で、僕は結婚を決めた。もちろん、みさとのことは好きだ。妻として、今は……愛している。みさとは、モデルの仕事をやりながら、たまに花屋も手伝ってくれる。2人の間に生まれた「希」は、可愛い女の子。妻と娘、大切な家族に囲まれて花屋を営めるなんて、こんな幸せなことはないと思ってる。明日はみさとと希の誕生日。たまたま同じ日、11月25日の誕生花は「胡蝶蘭」、花言葉は「永久の愛」だ。仕入れた胡蝶蘭は白。小さめだけど、これを2人にプレゼントする。あとはマフラー。2人がほしいと言っていたのをたまたま聞いたから。そして、いつものバースデーケーキも予約した。喜んでくれるだろうか?、そんなことを思いながら。こうして僕は、夫として、父親として、花屋の店主として……何気ない……だけど、本当に大切な日常を笑顔で過ごしている。「幸せ」という言葉は、このためにある言葉なんだろうと思えた。あの時の思い出は、今はそっと胸の奥にしまって……僕は前だけを向いて、家族とともに歩んでいく――
Read more

1 after story 小川真菜

「瑞先生……」私はたまらず菅原総合病院に電話をしていた。二度と会わないと思っていたけど、どうしても聞いてもらいたかった。この苦しい胸のうちを。『大丈夫? 小川先生』「私、私……」『……聞いてる、城田から』城田先生。私の旦那になった内科医。向こうからアプローチしてきたくせに。イケメンで、腕も良い。だから私は……「そう、聞いてたの……。あの人、何か悪口を言ってなかった?」瑞先生と城田先生は、研修医時代に知り合って、今も交流があると聞いている。私には、この悔しい気持ちをぶつける相手は瑞先生しかいなかった。『小川先生のことを悪くは言ってない。ただ、小川総合病院を継がせることに必死になって、本当の自分を見てもらえてない気がしてたって……あいつはそう言ってた』「えっ?」『城田は、城田なりに、最後まで小川先生を愛そうとしてたと思う。結婚するって報告があった時、本当に嬉しそうだったから。ずっと好きだったみたいだし、あの時の笑顔は今まで忘れられない。でも……寂しかったって……』「さ、寂しかったなんて、わ、私が悪いっていうの? 私はあの人に小川総合病院を継いでほしくて、それで……頑張ってって……励ましてただけなのに」『少し、重かったのかも知れない。城田は小川総合病院を継ぐことよりも、きっと小川先生が大事だったと思う。一緒に笑ったり、泣いたり、話したり、出かけたり……2人で色々なことをしたかったんだろう。でも、顔を見る度に君から病院を継ぐことばかり言われてしまうと、プレッシャーになっていったんじゃないか』そんなの……そんなの勝手だわ。私には、小川総合病院を継ぐことが1番大事なことなのに。
Read more

2 after story 小川真菜

「だ、だからって浮気していい理由にはならないわ。何を言ったって、そんなこと許されないでしょ?」 『ああ、そうだな。俺もそれは城田にキツく言った。きっと反省してると思う。でも、あいつも意地を張ってしまって……』 「悔しい。あの人、私より若い看護師と……。許せない、どうして……どうしてよ……」 思わず涙がこぼれた。 嫌だ、私としたことが、こんなバカなことで涙を流すなんて。 病院を守る立場の私が泣いてはいけない。 強くならなければ…… 『つらかったな』 「えっ……瑞先生?」『俺は先生がどれだけ頑張っていたか知ってる。いろんなことがあり過ぎた。少し……力を抜いてみないか?』 先生のとても穏やかな声。 顔は見えないけど、きっと…… すごく優しい顔で言ってくれてるんだと思った。 そう思ったら、たまらなくなって、我慢できずに声をあげて泣いた。 数分間―― 瑞先生は、そんな私を黙って泣かせてくれた。 「……瑞先生、ごめんなさい。忙しいのに私の話に付き合ってくれて……ありがとう。情けないよね、私。泣いたりするなんて、ほんとバカだわ」 『……小川先生。泣いていいんだ。君の思い、俺にもわかるから。総合病院を継ぐこと、その大変さは計り知れない。たくさんの患者の命を預かる責任感、信頼を得るための努力、医者や看護師を守るための経営手腕も必要だ。その全てを完璧にすることは、とても難しいことだ』
Read more

3 after story 小川真菜

「……ええ、そうね。私、それを城田先生に求めすぎたのかしら……だとしたら……プレッシャーになるわよね。でも、それでも私は小川総合病院を守りたい。それが私の使命だから。私にしかできないこと……なの」 『そうだな。だとしたら、君が院長になって小川総合病院を継げばいいんじゃないか。君の優秀さを俺は良く知ってる。大変なことはたくさんある、だけど、小川先生ならきっと大丈夫だ。俺はそう思う」 その時、目の前の霧が一瞬にして晴れた気がした。 そうだ―― 私自身が「院長」として小川総合病院を継げばいいんだ。 「瑞先生、ありがとう。そうね、私ならできるわよね。男なんかに負けてたまるもんですか」 『さすが小川先生だな。その気持ちを忘れずに……たくさんの患者と真摯に向き合って、その命を守れる小川総合病院にしてもらいたい。恩のある小川総合病院の発展を、俺も心から願ってる』 「瑞先生……ええ、きっと立派に守ってみせる。絶対に、守り抜くわ。先生も、頑張ってね」『ああ、君に負けないように……頑張っていくよ』 それから、私は外科の医師である今の旦那様と出会い、結婚した。 名前は変えずにいる。 小川総合病院の院長として頑張る私と、違う病院で勤務する旦那様とは、とても気が合うみたいだ。 たまに2人で散歩したり、この夏は花火も見に行った。 こんなことは、私の人生で初めてのこと。 忙しい激務の中でも、ほんのつかの間、幸せを感じることができている。 旦那様の見た目は…… まあ、口にしないでおくわ。 今の私には、そんなことどうだっていい。 小川総合病院の院長である私を優しく支えてくれるこの人と、一生を共にすると…… そう誓ったから。 瑞先生、あなたの言葉で私は変われた。 まだまだこれから先は長い。 たとえ会うことはなくても、小川総合病院、菅原総合病院の院長として、医療の現場を盛り立てていきたい。 尊敬する菅原 瑞院長。 本当に……ありがとう。
Read more

1 after story 菅原優希

「優希先生。最近お腹の調子が悪いから、胃カメラと大腸カメラをやりたいんですけど、仕事もあってあまり時間が取れなくて……」優希先生。この病院では、患者さんからそうやって名前で呼ばれている。鎌倉にある信頼する先輩の病院から、内科医として一緒に……との誘いを受け、勤務してからそろそろ2年が経つ。医師として働く毎日に、とてもやりがいを感じている。「大丈夫ですよ。この病院では1日でどちらもできますから。麻酔を使えば眠っているうちに終わるラクな検査です。もちろん、何も異常無かった場合は結果もすぐに出ます。看護師から詳しい説明を聞いて、予約を取って帰って下さいね」「それは助かります。本当に優希先生は頼りになりますね。私は中年のおばちゃんですけど、優希先生のファンですから。先生、アイドルみたいに綺麗なお顔されてますもんね」「そんな、とんでもないですよ。僕はいたって普通です」「いやだ~こんなイケメン他にはいませんよ。ここの院長先生はクマみたいに大きいし」「クマですかっ」思わず吹き出してしまった。患者さんとの何気ないやり取り。この笑顔が続くよう、僕達は地元に根ざした医療を目指し、病気を見逃さないように日々勉強を怠らずに頑張っている。クマと言われた先輩はもちろん、僕は父を尊敬してやまない。彼らを目標に、いつかは「総合内科専門医」の資格を取得したいと決意している。
Read more

2 after story 菅原優希

*** 仕事を終え、自宅に帰ると母がカレーを作って待っていてくれた。 とても良い匂いがする。 「優希、今度の日曜日、佐知さん来るんでしょ? お父さんも一緒に4人で食事しましょう。お母さん、頑張って色々作るから」 佐知は僕の彼女。 洋服を作るパタンナーとして働いている。 母は、真面目で優しい佐知が可愛くて仕方ないみたいだ。 もちろん……僕も。 「ありがとう。佐知、喜ぶよ」 「良かったわ。何をメインにしようかしら? この前は庭でバーベキューしたし……。佐知さんは何が喜ぶのかな? 若い人の好みはよくわからないし。どうしましょう」 真剣に考えている母がちょっと可愛く思える。こんな優しい人だから、父は好きになったんだろう。 *** そして、日曜日―― 佐知も一緒に家族のテーブルに着いた。 すき焼きの美味しそうな甘い匂い。 祖父と祖母から届いた最上級の牛肉も、大きなお皿に並べられていて、ずいぶん華やかな食卓になっている。 「お父さん、お母さん。いつもありがとうございます。こんなにご馳走を用意していただいて……私、幸せです。このすき焼き、本当に美味しいですね」佐知の笑顔を見ると、ホッと和む。周りを優しい空気で包み込む、佐知はそんな可愛い女性だ。僕は彼女の笑顔に一目惚れした。 「佐知さん。そんなに喜んでもらえて、私こそ幸せよ」「それにしても母さん、ちょっと作り過ぎじゃない?」「だって、何がいいか悩んじゃって……。佐知さんが喜んでくれたら嬉しいなって思ってたくさん作っちゃったわ」「嬉しいです。お母さんの料理、ものすごく美味しくて、私のために用意してくれたって思ったら……なんだか泣けてきます」「あらっ、ごめんなさい。泣かないで、そんなつもりは……。あっ、そうだ、このエビチリのエビはね、お父さんが剥いたのよ。ね、瑞」 「愛莉はいつもそうやってからかう。今は他にも色々作れるようになったから」 「父さんは昔、エビを剥くのが苦手だったんだって。でも、父さんが作るピザは最高だよ。今度はピザパーティもいいね」「ピザを手作りされるんですか?」 「ああ。生地から作るんだ。そうだな、エビだけじゃないところ、佐知さんにも見てもらおう」 「わぁ、それも楽しみです」 「あら、でも瑞、シーフードピザは外せないから、結局エビは剥かなきゃね」
Read more

3 after story 菅原優希

「じゃあ、僕、ガーリックシュリンプも食べたい」「優希、それもいいじゃない。ガーリックシュリンプのリクエストよ。何匹剥かなきゃいけないかしら、瑞、頑張って」笑い声が響く空間。佐知とこんな明るい家庭を築けたら……本当にそう思う。いつも父は母を、母は父を大切にしている。それが僕にはとても心地よい。だから僕も……必ず、佐知を大切にする。佐知とは来年結婚式を挙げる予定だ。男としてもまだまだ未熟な僕だけど、彼女と出会い、人生が大きく変わったと感謝してる。父から、シーキャンドルで母にプロポーズしたと聞いていた僕は、同じようにキラキラ輝く美しい光景を見ながら佐知に結婚を申し込んだ。緊張し過ぎて手が震えたけど、ちゃんと気持ちを伝えられたと思う。医師はとてもハードな仕事。それでも、彼女は僕を支えたいと言ってくれた。泣けるほど嬉しくて、僕は佐知を抱きしめた。愛した人を命をかけて、何があっても一生守り抜くと誓った夜になった。いつか僕は父の後を継ぐことになるだろう。菅原総合病院の院長として、ふさわしい医師になれるよう、誠心誠意、努力していこうと思う。病院で悩むたくさんの人を、心から笑顔にできるように。それが僕の使命――僕が選んだ道。佐知と、いつか生まれてくるだろう子どもと、父さん、母さん、周りの人達を守れる自分になりたい。それにはもう少し、人生を重ねることが必要だ。経験を積みながら、ゆっくり焦らず、1歩ずつ……幸せを噛み締め、感謝を忘れず……菅原家に生まれてこれて、みんなに出会えて……本当に良かった。みんな、ありがとう。
Read more
PREV
1
...
101112131415
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status