車で30分くらいのところに、出ると言われてる山がある。俺と助平のバカふたりは、冬にそこに行って肝試しをしようってことになった。 ちょっとだけ、助平がどんなやつか書いておく。一言で言うと、変態末期。大抵の人は暇な時間ができると、ユーチューブとかニコ動とかティックトックで動画を見たり、SNSで時間つぶしをするだろ? 助平も動画を見るけど、エロアニメかAVを見てる。 車でラジオや音楽の代わりに、アダルト音声作品とやらを大音量で流したりする。こいつの車に乗ると、喘ぎ声と水音がエグい。 猥談もこいつから始まることがほとんどだ。 変態という名の紳士だと自称していて、なるほど、紳士らしく(?)猥談をする時は場所や人を選んでいたし、女にセクハラ発言とか、ボディタッチは一切しない。むしろ止める側らしい。 そんな助平が活躍する話だから、怖いかどうかは分からない。けど、俺はマジでビビったし、もう肝試しなんか一生するもんかって思った。 さて、話を戻そう。冬に山に行った。俺は厚手のパーカーにジャージズボン、上にウインドブレーカーを着ていた。んで、助平は下に何着てるかわかんないけど、ジャンパーコートっていうのか? 足首近くまであるやつを着てた。 俺達は時々双眼鏡を覗きながら、山道を歩いていった。有名な山でもないからか、登山客とは出会わなかったっけな。 2時間くらい歩いたところに、ちょっとした休憩スペースがあって、そこで休むことにした。軽自動車がギリギリ2台くらい停められるような広さで、ベンチが4つ設置されてた。 俺は持ってきた水筒のお茶を飲んでたけど、助平はイヤホンで音声作品とやらを聴いて、ニヤニヤしてた。「おい」 俺は助平のイヤホンを片方引っこ抜いて声をかけた。「なんだよ?」「寒いしさ、次の休憩所でなんもなかったら帰ろうぜ」「だな」 俺達は10分くらい休んだ後、また登り始めた。 30分もすると、変な声が聞こえた。甲高く、「ぐぎぎー」って感じの声が。「おい、なんかいるんじゃないのか?」「ぽいな」 双眼鏡であちこち見回すと、そいつはいた。全身が灰色で、目がひとつしかない化け物が。鼻はなく、目と口が異様にでかくて、輪郭いっぱいに広がっている。髪は長いけど、まだら。足は1本しかないけど、腕の筋肉が発達してるのか、そいつは凄まじいスピードで、俺達に向かって這っ
Last Updated : 2025-12-21 Read more