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Tous les chapitres de : Chapitre 81 - Chapitre 90

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未完成の絵

 美大に通ってた頃の話。物置部屋に、大きなキャンバスがあるんだけど、布がかけられ、縄で厳重に縛られて見れない。 教授達に聞いても、あの絵には触るなとしか言われなかったけど、先輩がこっそり教えてくれた。 昔、プロになるのは秒読みと言われるほど絵が上手い生徒がいた。物置部屋にあるあのキャンバスは、その生徒の物だけど、作品は未完成。 というのも、その生徒は病気を患ってしまったらしく、その絵を描いている最中に、血を吐いて死んだという。 未完成でもその絵はとても美しく、無意識に称賛してしまうほど。だが、絵は称賛した人を絵の中に閉じ込めてしまうと言う。 何度も処分しようとしたが、処分しようとすると、その人が不幸になるらしい。燃やそうとすると、その人に火がつくし、切り刻もうとすると、その人に刃物が刺さってしまう。塗りつぶそうとすれば絵の具が目に入って失明する。 そういったことが立て続けに起きたので、処分するのを諦め、物置部屋に押し込んだと言う。「そんなに素敵な絵なら、見てみたいと思わない? 参考になるかもしれないし」 親友のAは、先輩が立ち去ると、いらずらっ子のような顔をして言う。「やめようよ――。なんか怖いし」「バカねぇ。要するに、褒めたり、傷つけたりしなきゃいいんでしょ? 問題ないって」 Aに押し切られる形で、私とAは、こっそり絵を見に行くことにした。 昼休み、物置部屋に入ると、Aはキャンバスの縄をカッターで切り始めた。「ちょっと!」「だって、これ解くの大変そうじゃん。新しい縄買ってあるし、絵は傷つけないから、平気平気」 Aは私が止めるのも気にせず、縄を切って、布を外してしまった。「わぁ――!」 描かれているのはヴェルサイユ宮殿で踊る人々。その時代特有のドレスなどを着ている人もいれば、現代らしいラフな服装の人もいる。人種も様々で、誰もが楽しそうに踊っている。 テーブルの上にある料理も様々で、その場にあった豪華な食事もあれば、ジャンクフードやポテチ、和食なんかもある。 発想自体も面白いけど、技術力が凄まじい。人はもちろんのこと、無機物も生き生きとしていて、見てるだけで幸せな気持ちになる。「すごく綺麗――! あ――」 Aはしまったというように口を塞ぐ。「ど、どうしよう!? 助けて!」 Aの体はサラサラと砂のように崩れ、その砂は絵画に
last updateDernière mise à jour : 2026-01-04
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廃墟のオルゴール

 俺、廃墟めぐりが趣味でさ。あの不気味な感じと、物悲しさが溶け合う空気感がたまんないのなんのって。 暇さえあれば、廃墟に行くわけ。写真集に載っちゃうような有名なところも、誰も立ち入らないような、マイナーなところも、どっちも好きでさぁ。 廃墟のためなら、例え火の中水の中っつってね。SNSで、廃墟好きと繋がって、情報収集してんだけど、それプラス、グーグルアースで周辺見て、よさげな廃墟があったら、そこに行くって感じで、色んなとこ行ってんのよ。 んでさぁ、めっちゃいいとこ見つけたわけ。どこの都道府県かは伏せるけど、俺が住んでるところから、飛行機で行くような場所。 フォロワーが、「ここ好きそう」って写真送られてきて、まぁ、そこは俺的には70点くらいの場所だけど、その県まだ行ったことねーやと思って、行くことにしたわけさ。 んで、グーグルアースでその辺ウロウロしてたら、鳥肌立ったね。ボロボロの教会の前に、喪服の女が立ってて、遺影を持ってるんだよ。でもでも、変なんだよぉ。 普通、遺影には故人が映ってるだろ? 女が抱えた遺影には、なーんにも映ってねーの。 え? その女? 美人かどうかはわかんねーや。黒い帽子被ってるうえに、ベールで顔が隠れてたから。でも、雰囲気だけはミステリアスな美人。抱き殺したいくらいいい女。雰囲気だけは。 俺はその教会の廃墟目当てで、旅行することにしたわけさ。いやぁ、最高だったねぇ。実に美しい廃墟だった! 未亡人特有の色気みたいなモンがあって、哀愁が漂っててさぁ。埃被ったマリア様も、割れたステンドグラスも、ぐっと来るものがあって、感動したね。 神父が使う台あるだろ? なんていうのか知らないけど。学校の体育館にも似たようなのあったよなぁ。校長がクソつまんねー演説したりする時に立つあれだよ。 あれの上にさ、いいモンあってさぁ、マジで興奮した。 オルゴールだよ。オルゴールがさぁ、ホコリ被って、ぽつんと置いてあんの。はああああぁ、たまんねぇ! で、オルゴールがあったら、誰だって鳴らすだろ? 俺だってそうした。 いやぁ、泣かせるねぇ。たどたどしい音で、どこか懐かしくて、物悲しい音。興奮のあまり、よだれ出ちまったよ。へへ、それだけ最高でさぁ。 本当は持ち帰っちゃいけねーって分かってたけど、オルゴールを抱えて、教会から出たわけ。 そしたら、軍
last updateDernière mise à jour : 2026-01-04
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雨の日の来客

 これは友達だったAと縁を切るきっかけになった話。 Aは気が合うし、面白いし、出会いが無いに等しい俺を合コンに連れてってくれるいい奴だった。ちょっと常識が欠如してるところがあったけど、そこは御愛嬌って思えるレベル。 その日、Aの部屋で呑んでいた。明日はお互い仕事が休みだし、夜にぱーっと呑んで、翌日はふたりで遊びに行く予定だった。 夕方までは晴れてたというのに、夜になると土砂降りの雨が降っていた。 気持ちよく呑んでると、真夜中だというのにインターホンが鳴る。こんな時間に非常識なヤツだと思ったけど、Aは聞こえてないのか、呑み続ける。その間も、インターホンは何回も鳴る。「なぁ、インターホン鳴ってるけど、出なくていいのか?」「あ? あー、いいのいいの。あいつら、生霊だから」「は?」 まさかAから生霊なんてオカルトワードを聞く日が来ると思わなかったから、間抜けな声が出る。「急に雨に降られることあるじゃん。傘買うのも面倒くさくて、そのへんのコンビニとかスーパーで借りパクするんだけど、持ち主共の生霊が、うちに押しかけてくるんだってよ。Bっていう、霊感がある後輩がそう言ってた」 ふつふつと怒りが湧いてきた。俺も傘を盗まれたことがある。証拠とかはないけど、コイツが盗んだかもしれないと思うと、急に腹立たしくなってきた。 帰りたくなったけど、生霊が玄関にいるし、こうも土砂降りだと、帰る気が失せる。何より、飲酒運転になるし。 俺は適当にAの話を聞き流しながら、まずくなった酒を呑んで寝た。 生霊は10分くらいインターホンを鳴らしたり、ドアを叩いたりしてたけど、その間Aは、盗まれるヤツが悪いとか、傘くらいで馬鹿らしいとか言ってて、コイツの非常識さにどんどん冷めていった。 Aは非常識だけど、羽振りはいいので、Aと遊んだ後、連絡先をブロックしてからは、会ってない。 アイツはまだ、人様の傘を盗んでるんだろうか?
last updateDernière mise à jour : 2026-01-04
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階段裏のゆみちゃん

 私がいた小学校には、階段裏のゆみちゃんという妖怪がいた。ゆみちゃんは物置として使われている階段裏にいて、特定の人に声をかける。 その特定の人というのは、学校にこっそりお菓子を持ってきてる人。お菓子を持って階段裏に行くとゆみちゃんが現れて、「お菓子ちょうだい」と言ってくるらしい。 お菓子をあげるといいことが起きるけど、あげないと悪いことが起きるって言われてるけど、いいことも悪いことも、具体例は知らない。 友達というか、クラスメイトに、Aちゃんって子がいる。Aちゃんは絶望的に空気が読めないし、わがままだから皆に嫌われてる。 Aちゃんは何故か、私がいる友達グループに割って入ってくるし、自分がそのグループのメンバーだと思い込んでる、結構迷惑な子。「ねぇ、明日ゆみちゃんにお菓子持っていってみようよ。どうなるか見てみたい」 お昼休み、皆でお喋りをしてたら、Aちゃんがそんなことを言い出した。皆嫌がったけど、お菓子はAちゃんが持ってくるってことで手打ちになった。 翌日の放課後、Aちゃんは私達を連れて階段裏へ行く。何故かグループの中でも1番気弱なBちゃんにもお菓子を持たせて。 階段裏をのぞくと、女の子がいた。白いブラウスに紺色の吊りスカートと、時代遅れな服装の女の子。お下げ髪で、服も顔も薄汚れていた。 子供が想像する貧乏な子。そんな感じの女の子だ。「お菓子、ちょうだい」 ゆみちゃんは弱々しい声で言って、ガリガリの手をこちらに伸ばしてくる。「いいよ、あげる」 Aちゃんはクッキーをゆみちゃんに手渡した。ゆみちゃんはにっこり笑って、「ありがとう」と言う。 金属音が聞こえる。Aちゃんの足元に、500円玉が転がった。小学生の私達にとって、500円は大金だ。Aちゃんが羨ましくなって、お菓子を持ってこなかったことを後悔した。「お菓子、ちょうだい」 ゆみちゃんはBちゃんに向かって手を伸ばす。「うん、いい――「駄目!」 Aちゃんはお菓子を差し出そうとしたBちゃんの腕を無理やり引っ張り、意地悪な顔でゆみちゃんを見た。 私達は察した。Aちゃんは、どちらの結果も見たかったけど、自分は不幸になりたくない。だからBちゃんにお菓子を持たせて、腕を引っ張ったんだって。 ゆみちゃんは顔を覆って大泣きした。可哀想になって、Aちゃんを責めたけど、Aちゃんは素知らぬ顔をして、ラン
last updateDernière mise à jour : 2026-01-04
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銭ゲバの亡霊

 観光地の池とかに、小銭を投げ込んだことはないか? 俺が住んでる町には、有名なパワースポットがあってさ。名前は伏せるけど、池がある。パワースポットは御神木なんだけど、その池でお願いをすると叶うっていう噂もあって、観光客達は池に小銭を投げ入れて、願い事をする。 そんなパワースポットにも、いわくはあった。 あれは俺がガキの頃だから、結構前だな。池で死人が出た。管理者が朝に掃き掃除をしに行ったら、池に水死体が浮いていたらしい。 水死体の身元は近くに住むゼニゲババアと呼ばれる守銭奴ババアで、ポケットに小銭が詰まっていたことから、池の小銭を拾ってる最中に、足を滑らせて溺死したと推測された。 池の深さは1メートルくらい。普通に歩いたりしてるぶんには問題ないんだろうけど、身をかがめてる時に転んで、パニックになったら溺れることもあるだろう。 ゼニゲババアの悪評は、当時子供だった俺でも知ってた。家こそあるものの、ホームレスみたいな汚らしい身なりで、自販機やガチャガチャ、ゲームセンターの小銭を漁ったり、アルミ缶を回収して金に変えたりしてる。 それだけならちょっと迷惑な変わり者くらいで済んだかもしれないけど、ゼニゲババアには常識とか、羞恥心とか、人が持ち合わせているものはなかった。 自販機で飲み物を買おうとしたら、「そんなの買うくらいなら私によこせ。どうせ買うなら、アルミ缶のを買って、ここで飲み干せ」と言うし、子供達がガチャガチャをやったり、ゲーセンで遊んだりしようものなら、「そんなのに金を使うなんてバカのすることだから、私によこせ」と言う。 ゲーセンは出禁になったのに、何回も出没するから、ゲーセンに人は寄り付かなくなった。 潰れる前にゼニゲババアが死んだから、今も経営してるけど、あのババアがあの時死ななかったら、ゲーセンはとっくに潰れてたと思う。 随分長く話したけど、ここからはオカルト話。 夜中に行くと、池でゼニゲババアの亡霊が小銭を探してるとか、小銭を拾うと、ゼニゲババアが現れるとか言われてる。 観光客の間ではどうかは知らないけど、地元民の間では有名な話だった。 大学時代の夏休み。俺とAは暇を持て余していたから、肝試しのつもりで夜中の池にいた。 街灯が何本もあるから、不気味さも神秘的な雰囲気もない。どこにでもある普通の池だし、ゼニゲババアの亡霊は見当た
last updateDernière mise à jour : 2026-01-04
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拾い物のCD

 土手を散歩してたら、パッケージに入ったCD-ROMだか、DVDーROMだかが落ちてた。ラベルとかはないし、ディスク自体も真っ白だから、判別不明。もしかしたら判別する方法あるのかもしれないけど、私には分からなかった。 真新しい感じがしたし、退屈してたところだから、試しに拾って持ち帰ってみる。パソコンに読み込ませて、ディスクがCDだと判明。トラックはひとつだけ。再生してみると、2分くらい波の音っぽいのが聴こえた。 ざざぁー、ざざぁー――。 心地よさにウトウトし始めると、違うものが聴こえてくる。ざざぁ――して、――に――。ざざぁ――。 波の音にまぎれて、男の声がうっすら聴こえた。驚いて耳を澄ませると、声は徐々にはっきりしてくる。 てた、のに。あ、して、――に。 愛してたのに! 愛してたのに! 裏切り者! 裏切り者! 声はいきなり鮮明になって、誰かを非難していた。 愛してたのに! よくも! よくも裏切ったな! ◯◯! 絶対許さねーからな! おい、聞いてんだろ、〇〇! 許さねぇ、許さねぇからな! つくしてやったのに! 声は私の名前を呼んだ。怖くなって、CD-ROMを取り出すと、真っ二つに割ってゴミ箱に捨てた。 にしてもあの声、どこかで聞いたことがあるな――。でも、どこで聞いたのかはまったく思い出せない。 数日後、友達と会う予定だったので、その友達にCD-ROMの話をしたら、彼女の顔が見る見る青ざめていった。「それ、Aじゃない?」 友達に言われて思い出した。 Aとは、半年前のバイト先の先輩で、私に好意を寄せていた人で、頭のおかしい人だった。 何回か告白されて、全部断ってたんだけど、何故か勝手にOKされたと勘違いして、つきまとってた時期があった。 バイト終わり、何度目かの告白をされて断ったんだけど、そのタイミングで、友達から電話がかかってきた。このままAといるのも嫌で、電話に出ると遊びの誘いだったので、「いいよ」って答えたんだけど、それを告白の返事と思い込んだらしい。 それから彼氏ヅラしてて困ってたので、母に相談したら、Bという好青年を紹介してもらった。母は居酒屋の経営者で、変な客の話をよく聞くから、なんか対策方法提案してくれると思ってのこと。 しばらくBに彼氏のフリをしてもらったり、「俺の彼女につきまとうな」と言ってもらったりして、Aを
last updateDernière mise à jour : 2026-01-04
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黒パケブルーレイ

 アパートに住んでた頃の話。当時は企業のための貯金をするために、安いボロアパートに住んでた。 深夜に仕事から帰ると、ポストに黒いパッケージのブルーレイが入ってた。レンタルショップのしきりに、空のパッケージが使われることあるだろ? あれがまんまポストに入ってた。 誰かのイタズラかと思いながらも開けると、中にはブルーレイが入ってて、ディスクには「◯✕アパート201号室」と、俺が住んでるアパートの部屋番号が書かれていた。 怪談好きの俺は、気味が悪いって気持ち半分と、ワクワクする気持ち半分。急いで部屋に戻ると、早速ブルーレイを再生した。 映し出されるのは、家具も何も無いこの部屋。真ん中には中年男性が、猿轡をして、後ろ手に縛られてる。今にも泣きそうな顔で、こっちを見ていた。 祭りの露店に売ってそうな安っぽいうさぎのお面をした男が出てきて、男を釘バットで殴りまくる。 うさぎ男に見覚えがあるけど、思い出せない。正確には、服と体型に見覚えがあった。色褪せて水色になったヨレヨレのシャツに、ところどころ穴の空いたベージュのズボン。こんなクソダサファッション、ひと目見たら忘れなさそうだけど、この時は綺麗さっぱり記憶から抜け落ちていた。 男はあっという間に血まみれになって死ぬ。 一瞬、画面が真っ黒になって、また部屋が映し出される。今度は家具がある。どこからどう見ても、俺の部屋だ。 部屋の中央には若い女が縛られて、口にはガムテープが貼られている。 またあのクソダサファッションのうさぎ男が出てきて、女の頭を撫でたり、匂いを嗅いだりしている。 うさぎ男は若い男のポスターを壁に貼ると、ポスターに見せつけるように女を犯した。ポスターをはがすと、今度は床に敷いて、その上に女を四つん這いにして、再び犯す。「ほら、大好きなかずやくんが見てるよ」 うさぎ男は楽しそうに言いながら、女を犯すと、最後に女を殺し、ポスターで女を簀巻きみたいにする。そこで映像は終わった。 この部屋であんなことがあったと思うと、吐き気がする。というか、我慢できなくてトイレで吐いた。 ブルーレイをパッケージに戻して、交番に行こうと外に出る。「こんな時間にお出かけですか?」 声をかけてきたのは大家だ。彼を見て絶叫しかける。色褪せて水色になったヨレヨレのシャツに、穴の空いたベージュの服――。 あのうさぎ
last updateDernière mise à jour : 2026-01-04
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交霊カンテラ

 友人のAが、面白いものを手に入れたから来いと言う。遊びに行くと、テーブルの上には古めかしいカンテラが置かれている。「なんだよ、これ」「これで交霊できるんだぜ!」 嬉しそうに言うAに、俺はまたかとため息をついた。Aはオカルト好きで、よく心霊スポットに行ったり、こういう怪しいアイテムを入手しては、俺に見せびらかせたりする。 俺としてはオカルトには一切興味ないので、こういうことで呼び出してほしくないのだが、すぐに来てくれる都合の良い友達が俺しかいないのか、毎回俺を呼び出してくる。「あのな、そんなのできるわけないだろ。こんなんガラクタだって」「お前、前にB子って子いただろ? その子呼び出してみようぜ」 B子は俺の元カノで、別れた翌日に自殺した女だ。「お前、不謹慎だぞ」「知ってる人じゃないと信じなさそうじゃん」 Aは悪びれる様子もなく言う。 めんどくさいし、どうせ嘘だろうから、OKした。するとAは、カンテラに向かってB子の名前を3回唱える。すると、カンテラの火が灯った。「な、すげーだろ」 Aは得意げに言う。「どうせトリックかなんかだろ」「疑い深いなー。じゃあ、質問してみろよ。イエス・ノーで答えられる質問な。イエスだと1回、ノーだと2回点滅するんだってよ」「んなバカな」 くだらないけど、付き合ってやらないと、後がめんどくさい。「お前は本当にB子か?」 炎は1回、点滅した。 何いってんだって思われるかもしれないけど、本当に点滅したんだ。一瞬消えて、また現れるように。「なんだよ、これ」「交霊カンテラだ」 Aはまた、得意げに言う。それでも俺はまだトリックだと思い、B子しか知らないような質問をいくつかした。 ひとつでも外れたらよかったのに、全部正解しやがる。「俺も俺も! 自殺したのは、コイツのせい?」 Aは俺を指さしながら、とんでもない質問をする。炎は1回点滅した。「お前のせいだってよー。じゃあ、コイツは浮気してた?」 1回点滅。「コイツはDVしてた?」 1回点滅。「コイツに金取られた?」 1回点滅。「コイツに死んでほしい?」 1回点滅。「だってよ、どうする?」 Aは俺に縄を差し出す。怖くなった俺はAの家から出て、連絡先をブロックして削除した。 念の為に引っ越したり、番号を変えたりしたけど、時々ポストに縄が入
last updateDernière mise à jour : 2026-01-04
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赤い水・白い水

 俺が通ってた高校には怪談があった。赤白爺とか、紅白爺とか呼ばれてた。 怪談の内容はこう。喉が渇いた教師の前に爺さんが現れる。爺さんは教師に、「赤い水が欲しいか? 白い水が欲しいか?」と聞く。 赤い水と答えると家畜の血を、白と答えると腐った牛乳を渡してくる。爺さんはそれを飲むまでじーっと見てくるらしい。 捨てると呪い殺されると言われている。 夏休み、学校で合宿をすることになった。学校には合宿所があるから、運動部は時々そこで合宿をする。 チャンスだと思った俺達は、ひとりずつ交代で廊下を見張る。先生が出てきたら、後をつけてみるつもりだった。 午前1時頃だったろうか。先生が出てきて、水飲み場に向かう。水飲み場は俺達の部屋のすぐ近くにあるから、全員で部屋の中から先生を見ていた。 ボロボロの爺さんがすっと現れて、先生に声をかける。「赤い水が欲しいか? 白い水が欲しいか?」 異臭がした。生臭い、何かが腐ったようなにおい。「子供達に、普通の水」 先生がそう答えると、爺さんは廊下をすーっと進み、俺達の部屋の前で止まる。「水を飲むんだよ」 爺さんは優しい声で俺達にそう言って、消えてった。「先生!」 思わず廊下に出て先生に声を掛けると、先生は震えていた。あの老人を見たと言うと、先生は俺達を向かいのコンビニに連れて行って、好きな飲物を買ってくれた。 先生の部屋に俺達を招いて、話してくれた。 昔はスパルタで、練習中に水を飲むのは甘えと言われていた。熱中症で倒れても、サボってるとか仮病とか言って、無理やり立たせて練習を続けさせるのが当たり前だった時代。 生徒が練習中に倒れたけど、顧問の先生は無理やり立たせて、練習を続けさせた。結果、生徒は熱中症で死亡。顧問は反省するどころか、根性が足りないと亡くなった生徒をバカにしたらしい。 孫を溺愛していた爺さんは、顧問に何度も抗議したけど、当然聞き入れてもらえるわけがない。 爺さんは顧問を蒸し暑い小屋に閉じ込め、喉が渇くと「赤い水が欲しいか? 白い水が欲しいか?」と聞いて、家畜の血か腐った牛乳を飲ませていたという。 普通の水がほしいと言うと、「孫は飲ませてもらえなかった」と責め立てたという。 顧問の遺体は酷いにおいで発見されたという。遺体の腐敗臭とは明らかに違うキツイにおいだったらしい。 顧問が死んでも恨み
last updateDernière mise à jour : 2026-01-04
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木製のお守り

 子供の頃にさ、同級生から変なもんもらったんだよ。木製のお守りで、古ぼけた木で作ったのか、ボロボロだった。 いらないって言ったのに、押し付けてきやがんの。中には断ったのに、気がついたらランドセルの中にあったって言ってたヤツもいた。 木製のお守りは、クラス全員に配られた。 お守り配ったやつのことはAとでも呼ぶか。 押し付けられたお守りは気持ち悪いからすぐ捨てたんだけど、その日から変な夢を見るようになった。 何かに怒られる夢だったり、追いかけられる夢だったり。酷い時は化け物に食われる夢を見る。 それは俺だけじゃなくて、クラス全員らしく、皆くま作ってた。 生徒だけじゃなくて、先生もその有り様で、おかしいと思った校長先生が、わざわざ教室まで来てくれてさ。 ひとりひとり、空き教室に連れてって、話を聞いてくれたんだよ。全員の話を聞いた後、課外授業って言って、俺達をデカい屋敷に連れて行った。 屋敷は線香の匂いがするし、着物姿の人ばっかだし、ちょっと怖かった。 俺達はデカい和室に通されて、お祓いされた。 おかげで変な夢は見なくなったけど、あれがなんだったのかは、その日には教えてもらえなかった。 ただ、帰りにAが悔しそうにしてたのが印象的だった。 後日、俺のクラスだけ学校は休みで、そのかわり、保護者と一緒にあの屋敷に連れて行かれた。 お祓いしてくれた人が出てきて、説明をしてくれる。皆がもらったお守りは、誰も参拝をしなくなって、取り壊された鳥居で出来たもの。それにはAの呪いが込められてたという。 言われて気づいたけど、Aは来てなかった。 んで、こっから先の話は校長先生がしてくれたんだけど、Aは自分がいじめられてるって思い込んでたっぽい。 実際はいじめなんて起こってない。Aはいつも俯いてるし、話しかけにくい雰囲気だったから、誰も話しかけなかった。 当時流行ってたアニメの話してるグループが近くにいただけで、ハブられたとか、そういう被害妄想の積み重ねで、自分はいじめられたって思い込んでたらしい。 その件があって以来、Aは学校に来なかった。数年後、何かの本で呪詛返しを知ったんだけど、Aは呪詛返しでなにかあったんじゃないかなって思ってる。
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