美大に通ってた頃の話。物置部屋に、大きなキャンバスがあるんだけど、布がかけられ、縄で厳重に縛られて見れない。 教授達に聞いても、あの絵には触るなとしか言われなかったけど、先輩がこっそり教えてくれた。 昔、プロになるのは秒読みと言われるほど絵が上手い生徒がいた。物置部屋にあるあのキャンバスは、その生徒の物だけど、作品は未完成。 というのも、その生徒は病気を患ってしまったらしく、その絵を描いている最中に、血を吐いて死んだという。 未完成でもその絵はとても美しく、無意識に称賛してしまうほど。だが、絵は称賛した人を絵の中に閉じ込めてしまうと言う。 何度も処分しようとしたが、処分しようとすると、その人が不幸になるらしい。燃やそうとすると、その人に火がつくし、切り刻もうとすると、その人に刃物が刺さってしまう。塗りつぶそうとすれば絵の具が目に入って失明する。 そういったことが立て続けに起きたので、処分するのを諦め、物置部屋に押し込んだと言う。「そんなに素敵な絵なら、見てみたいと思わない? 参考になるかもしれないし」 親友のAは、先輩が立ち去ると、いらずらっ子のような顔をして言う。「やめようよ――。なんか怖いし」「バカねぇ。要するに、褒めたり、傷つけたりしなきゃいいんでしょ? 問題ないって」 Aに押し切られる形で、私とAは、こっそり絵を見に行くことにした。 昼休み、物置部屋に入ると、Aはキャンバスの縄をカッターで切り始めた。「ちょっと!」「だって、これ解くの大変そうじゃん。新しい縄買ってあるし、絵は傷つけないから、平気平気」 Aは私が止めるのも気にせず、縄を切って、布を外してしまった。「わぁ――!」 描かれているのはヴェルサイユ宮殿で踊る人々。その時代特有のドレスなどを着ている人もいれば、現代らしいラフな服装の人もいる。人種も様々で、誰もが楽しそうに踊っている。 テーブルの上にある料理も様々で、その場にあった豪華な食事もあれば、ジャンクフードやポテチ、和食なんかもある。 発想自体も面白いけど、技術力が凄まじい。人はもちろんのこと、無機物も生き生きとしていて、見てるだけで幸せな気持ちになる。「すごく綺麗――! あ――」 Aはしまったというように口を塞ぐ。「ど、どうしよう!? 助けて!」 Aの体はサラサラと砂のように崩れ、その砂は絵画に
Dernière mise à jour : 2026-01-04 Read More