All Chapters of 異世界に子供の姿で転生し初期設定でチートを手に入れて2: Chapter 71 - Chapter 80

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71話 市場の暴漢と、魔王の「慈悲なき一撃」

「いや、パーティメンバーになっただけだって」 俺はため息をつきながらサナへすかさずにツッコミを入れた。「同じことだ! これからはどこへ行くにも、戦う時も、寝る時も、そらの隣にはわたしがいるのだ。文句はないよなっ?」 サナは再び俺の腕をギュッと抱きしめ、柔らかな胸の感触をこれでもかと押し付けてきた。先ほどまでの不機嫌さはどこへやら、彼女の瞳にはまた無垢な愛らしさが戻っている。 ギルドを後にしようと背を向けると、背後からは「いいよなぁ、あいつ……」「美少女魔導師を二人も侍らせて……」という、呪いにも似た冒険者たちの溜息が漏れ聞こえてきた。「そら、お腹が空いたぞ。パーティ結成のお祝いに、何か甘いものを献上するのだ!」 サナは俺の二の腕にすりすりと頬を寄せ、甘い香りを振りまきながら、市場の屋台が並ぶ大通りへと俺を引っ張っていった。 ギルドを後にした俺たちは、サナを人間社会の賑わいに慣れさせるため、活気あふれる商店街へと足を向けた。相変わらずサナは、俺の右腕を自室の抱き枕か何かのように抱え込み、一歩も離れようとしない。「サナって、剣とか杖とかの武器は使うの?」「ほとんど使わないなー。魔法で事足りるし、いざとなれば拳で十分だぞ!」 可憐な少女の口から出た「拳」という物騒な単語に、俺は少しだけ遠い目をした。気を取り直して、並んでいる衣料品店を指差す。「何か欲しい服とかある? 毎日パジャマが濡れるのも困るし、新調しようか」「そらが、選んでくれる服なら何でも良いぞ。お前の好みに染まってやるからなっ!」 (……そういうの、センスを問われるから一番面倒なんだけどな) 俺の心境など露知らず、サナは「んふふ」と上機嫌に喉を鳴らし、そのまま食べ物の屋台が並ぶ大通りへと俺を引っ張っていった。芳ばしいタレの香りと、甘い果実の匂いが鼻腔をくすぐる。「そら、あれ食べたいぞ!」 サナが指差したのは、熱々の串焼き肉と、たっぷりのクリームが乗った果物菓子。彼女が店先へ
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72話 魔王の慈悲と、森に響く戦慄

「そら以外が、わたしに触ることは許さないぞ。無礼者め。その汚い手、二度と使えぬようにしてやろうか?」 サナの瞳から冷酷な魔王の片鱗が漏れ出し、周囲の温度が急激に下がったように感じられた。「て、てめぇ! 調子に乗るなよ!」 仲間たちが一斉に襲いかかろうとするが、サナは鼻で笑うと、捻り上げていた男の尻を軽く蹴り飛ばした。男の体は弾丸のように飛び、向かってきた仲間たちを次々と巻き込んで地面を転がっていく。 この界隈の盗賊はかなり討伐したつもりだったが、まだ命知らずな生き残りがいたらしい。「この娘、B級冒険者だから、これ以上は止めておいた方が良いと思うよ。死にたくないならね」 俺がやれやれと肩をすくめてサナの冒険者カードをちらつかせると、男たちは青ざめた顔で顔を見合わせた。「……何だよ。B級なんて、勝てるわけねーだろ! そういうことは先に言えよ! くそっ、逃げるぞ!」 捨て台詞を吐きながら、蜘蛛の子を散らすように去っていく男たち。死者が出ずに済んだのは幸いだが、最初から「B級」だと触れ回っていれば、こんな無駄な時間は過ごさずに済んだのかもしれない。「そら、気分直しだ。さっきの甘い菓子、もう一つ買ってくれ!」 サナは不機嫌な顔を瞬時に緩め、また俺の腕に柔らかい胸を押し当てて甘えてきた。強さと可愛さを兼ね備えた彼女の横顔を見ながら、俺は苦笑して彼女の頭をそっとなでるのだった。「何だったんだ、今のやつらは? 羽虫のように騒がしい連中だったな」 サナは不機嫌そうに唇を尖らせ、俺の腕を掴む手に力を込めた。先ほどの冷徹な魔王の片鱗はどこへやら、今はただの、不審者に絡まれて不満げな少女の顔だ。「サナが可愛かったから、拐おうとしたんじゃないの。ほら、魔界と違ってここは物騒な輩も多いからさ」「……は? 拐うだと? このわたしを、あのような雑兵が? ……何てやつらだ。身の程を知らぬにもほどがあるぞ」 呆れ果てたように吐き捨てるサナだったが、俺はそんな彼女の頭にそっと手を
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73話 指先ひとつの終焉と、森を穿つ紫の閃光

 そして、流れるような動作でその場に膝をつき、深く、深く、地面に頭を擦りつけるようにして跪いたのだ。(は? いや、なに……その魔物の対応は!?) 俺が呆然としていると、サナはあくびを一つ噛み殺し、冷淡な、けれど絶対的な支配者の眼差しで魔物たちを見下ろした。「……邪魔だ。そらと散歩中なのが分からんのか? 失せろ……」 サナが静かに、けれど心臓を握りつぶすような重圧(プレッシャー)を放った瞬間、魔物たちは悲鳴のような喘ぎ声を漏らし、脱兎のごとく森の奥へと逃げ去っていった。「なんだ、つまらんな。挨拶くらいしか出来ないみたいだな……。もっと、わたしと遊んでくれるようなヤツが出てこないとなっ!」 サナは再び俺の腕にギュッとしがみつくと、先ほどの冷徹さが嘘のように、甘く蕩けるような声を出し潤んだ瞳で俺を見上げた。「見たか、そら? あんな雑魚どもでは、わたしの相手にもならんのだ。もっと、骨のあるやつを連れてきてくれないか?」 彼女の柔らかな胸が、勝利の余韻に浸るように俺の腕の上で弾む。魔王の娘としての本能的な格の高さに、俺は改めて、とんでもない存在を隣に置いてしまったのだと実感させられた。 この『竜の谷の森』は、かつて竜の谷へ至る道を阻む難攻不落の防壁として恐れられてきた場所だ。谷に鎮座する最古のドラゴンたちが放つ、膨大なオーラと濃密な魔力。その余波に当てられ、変異し強大化した魔物たちが群れを成すこの森は、熟練の冒険者ですら足を踏み入れるのを躊躇う死地である。 そんな魔境を少し歩けば、当然のように血の匂いを嗅ぎつけた魔獣たちが、木々の隙間から姿を現した。鋭い牙を剥き、俺たちを包囲するようにじりじりと距離を詰めてくる。「……邪魔だ。下がれ、羽虫どもっ!」 サナが低く、冷徹な声を響かせる。その瞬間、森の空気が凍りついた。魔獣たちは、まるで目に見えない巨大な鉄槌で叩き伏せられたかのように硬直すると、次の瞬間には尻尾を巻いて、蜘蛛の子を散らすように逃げ去っ
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74話 膝枕の甘い罠と、魔王の「特別」な独占欲

 着弾地点から漆黒の雷鳴が全方位へと撒き散らされ、巨大な猪の巨体は抗う術もなく、文字通り「爆散」した。土煙が舞い上がり、辺りには焼けた土の匂いと、サナの放った魔力の残滓が紫の霧となって漂っている。「どうだ、そら! 仕留めたぞ!」 サナは得意げに胸を張り、弾むような足取りで俺の元へ戻ってきた。その魅力的に膨らみ始めた胸元が、可愛げに上下に揺れている。「それじゃ、肉が食べれないよ!」 俺が思わず叫ぶと、サナは「えっ?」と驚いたように足を止めた。獲物がいたはずの場所には、ただ大きなクレーターが穿たれているだけで、夕食の材料になるはずだった肉片は、分子レベルで消滅して影も形も残っていなかった。「……あ、あはは。少し、張り切りすぎてしまったか?」 サナはバツが悪そうに舌をペロリと出し、上目遣いで俺の様子を伺う。先ほどの破壊神のような威圧感はどこへやら、照れ隠しに俺の腕を再びギュッと掴むと、今度は申し訳なさそうにその柔らかい感触を押し当ててきた。「次は、もっと……その、手加減というやつをしてみせるから! 怒らないでくれなぁ……?」 潤んだ瞳でそんな風に甘えられては、俺もそれ以上苦言を呈することなんてできなかった。「そら、次は……次は絶対に肉を残してみせるからな! ちゃんと見ていてくれ!」 サナは鼻息も荒く、拳を握りしめて宣言した。先ほどのクレーターを前に、彼女なりに反省したらしい。俺は彼女の隣に立ち、その小さな肩を後ろから支えるようにして、魔力の制御を教えることにした。「いいかい、サナ。さっきのは、ロウソクの火を消すのに大嵐を起こしたようなものなんだ。もっと指先に集中して、魔力を糸のように細く、弱く絞り出すイメージで……」「んぅ……。糸のように、か……。む、難しいな……」 サナは集中しようと目を閉じ、ぐっと奥歯を噛み締める。教える俺の方も、自然と彼
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75話 茜色の帰路と、魔王の「特別」な満悦

「ダメなのだぁ、もっと寝てろって……っ! 今、最高に幸せなのだ。……そらの温もりが、ここに伝わってくるのが嬉しいのだぞっ!」 背中に押し当てられた、生の肌の熱と、押し潰されるように形を変える瑞々しい双丘の弾力。サナは俺の首筋に顔を埋め、甘えるように何度も鼻先を擦り寄せてくる。ワンピースの隙間から伝わる、彼女の柔らかなお腹の重みと、しっとりとした足の感触。「サナ、恥ずかしいって、誰かに見られたらどうするんだよ……」「誰も来ないと言ったのは、そらではないか。……それに、こうしていれば、そらがどこかへ行ってしまいそうな不安も消えるのだ」 サナは俺の腰に回した腕にさらに力を込め、まるで世界に二人きりしかいないかのように、切実なまでの愛着をぶつけてくる。彼女の吐息が耳たぶを掠めるたび、俺の背中にはゾクゾクとした震えが走り、立ち上がる気力さえも甘やかに奪われていくのだった。(って、あれ? 周りに魔物がいるのですが? 魔物が、いるというよりも……) ふと視界の端を横切る影に、俺は思考を現実に引き戻した。静かだと思っていた周囲の茂みから、無数の、それでいて敵意とは正反対の「畏怖」を含んだ視線が突き刺さっている。「一応……聞くんだけどさ。これ、魔物に囲まれてるんだけど?」 俺が困惑混じりに問いかけると、サナは俺の首筋に顔を埋めたまま、くぐもった声で事も無げに答えた。「わたしの警護をしているみたいだぞ。そらとの時間を邪魔されないよう、外敵を追い払っているのだ。気にするな」「あぁ。そうなのね。……気になるけどね、すごく」 魔境の主たちが、俺たちの昼寝の番犬代わりにされているという異常事態。サナは面倒そうに、俺の肩越しに森の深淵へと鋭い視線を向けた。「お前達、もう下がって良いぞ。わたしたちの邪魔だ」 サナがシッシッと手を振るような無造作なジェスチャーをすると、ザザッという木の葉の擦れる音
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76話 深淵の秘宝と、水色のチラリズム

 平穏な日常が数日続き、少しばかり身体が鈍ってきたのを感じた俺は、情報収集も兼ねてギルドに足を運ぶことにした。 もちろん、俺の腕という指定席を片時も離れる気のないサナも一緒だ。彼女は今日もしっとりと柔らかな感触を俺に押し付け、周囲の冒険者たちの羨望と嫉妬を一身に浴びている。「あのですね、実は最近、この近くで非常に高難度のダンジョンが発見されたのです」 受付嬢は少し表情を曇らせ、声を潜めて教えてくれた。 なんでも、腕に覚えのある冒険者たちが次々と挑んだものの、その多くが這々の体で逃げ帰り、すでに数人の犠牲者さえ出ているという。「そら様とサナ様ならば……あるいは踏破できるのではないかと、密かに期待していたのですよ」(高難度、か。サナの実戦訓練にもちょうど良いかもしれないな) 俺とサナは顔を見合わせ、その足で教えられた森の奥へと向かった。 湿った空気が漂う中、ポッカリと口を開けた漆黒の洞窟。俺が『ライト』の魔法を発動させると、青白い光がゴツゴツとした岩肌と、起伏の激しい足場を照らし出した。「サナ、足元が悪いから気をつけてね。岩が尖っているし、滑りやすいから」「う、うん。分かったぞ。……そ、それでだな、そら。その……て、手を繋いでほしいぞ。ほら、魔界と違ってここは岩の質が違うし、不意に転んじゃうかもしれないからな……」 サナは視線を泳がせ、桃色に染まった頬を隠すように少しうつむきながら、おずおずと右手を差し出してきた。 いつもは強引に抱きついてくる彼女が、少女のように恥ずかしそうに指先を震わせている。そのあまりの可愛らしさに、俺の心臓が不意に跳ねた。「……分かったよ。離れないようにね」 俺がその白く、吸い付くような滑らかな手を包み込むように握ると、サナは「ひゃいっ」と小さく可愛らしい声を上げた。 だが、すぐに安心したように指を絡めてきて、ギュッと強く握り返してくる。「んふふ…&hell
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77話 偽りの静寂と、深淵に潜む「甘い魔王」

 そんな俺の邪念に気づく様子もなく、サナは真剣な表情で問いかけてきた。「戦いとかか? もっと強いやつを、わたしが引きずり出してやれば良いのか?」 魔王らしい過激な提案に、俺は苦笑いしながら首を振った。「戦いはちょっと遠慮したいかな。……無理して考えなくてもいいよ。サナと一緒なら、こうして歩いているだけでも十分楽しいよ」 俺が飾らない本心を伝えると、サナのどこか強張っていた表情が一瞬で和らいだ。 彼女は岩から勢いよく立ち上がると、弾むような足取りで俺に近寄り、再びその右腕をギュッと抱きしめてきた。「そうだな! わたしも、そらと一緒にいたら、こんな暗い穴蔵でも最高に楽しいぞ。……ふふっ、今日は帰って、また一緒に寝ような?」 サナは俺の二の腕に、その柔らかな胸の感触をこれでもかと押し付け、潤んだ瞳でとろけるような甘い微笑みを向けてきた。俺たちは暗い洞窟を後にし、夕闇に包まれ始めた森を、繋いだ手の温もりを感じながら家路へと急いだ。迷宮の深淵と、変わらぬ温度 穏やかな陽光が差し込む庭での魔法訓練や、木々を相手にした剣の素振り。そんな平穏な日々を重ねるうちに、俺がこの世界で切望していた「平和に暮らす」という目的は、いつの間にか掌の中に収まっていた。 隣には、俺の腕を「指定席」だと主張して離さない、甘い香りのする美少女が常に寄り添っている。 そんなある日、俺たちは再びギルドの喧騒の中にいた。 先日訪れた場所はただの魔獣の巣だったと説明していると、サナが地図の一点を細い指先で示し、退屈そうに唇を尖らせた。「そこではない。真の迷宮(ダンジョン)は、この座標の地下深くにあるはずだぞ」 魔王の娘としての鋭い感応力が捉えたその言葉に、周囲で聞き耳を立てていたハンターたちが色めき立った。「ぜひ同行させてくれ」「B級のあんたたちがいるなら心強い」と頼み込まれ、俺たちは大所帯で馬車に揺られること三日。ようやく目的の地へと辿り着いた。 ――ダンジョン内部。 松明の炎が揺れる湿っ
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78話 静寂の憤怒と、魔王の「慈悲深い」不干渉

 だが、そのレベルでこの先に待ち受ける階層を突破するのは、客観的に見て不可能に近い。(この人たちを置いていくのもマズイよな……。かと言って、このペースに付き合うのも……) 正直、俺は飽き始めていた。 そして、俺の右腕に文字通り「ぶら下がっている」サナは、飽きるのを通り越して、すでに眠気と戦っている様子だった。「んぅ……そら。この者たち、遅すぎるぞ……。わたしは、もっと暗くて静かなところで、そらと二人きりでイチャイチャしたいのだ……」 サナは不満げに頬を膨らませ、俺の二の腕にぶら下がり、その瑞々しく柔らかな膨らみを俺の身体にぎゅうぎゅうと押し付けてきた。 ワンピース越しに伝わる、熱を帯びた肌の感触。彼女が身をよじるたびに、しっとりとした足のラインが俺の脚に絡みつき、洞窟の寒さとは対照的な「熱」が俺を侵食していく。「退屈だな……。ねぇ、そら。あいつらを気絶させて、わたしが魔法で出口まで放り投げてやろうか? そうすれば二人きりになれるぞ」 物騒な提案をしながら、サナは俺の肩に頭を乗せ、首筋に甘い吐息を吹きかけてきた。  一時的な仲間の命の危機と、美少女のあまりに濃厚な誘惑。 俺は困り顔で天井を仰ぎ、この「自称・後方支援」の役割をどう切り上げるべきか、本気で悩み始めていた。 迷宮の奥深く、澱んだ空気の中に人型の魔物がぬらりと姿を現した。それは前衛のハンターたちの隙を突き、後方で無防備(に見える)に佇んでいたサナへと、どす黒い殺意を込めた拳を叩きつける。「危ないッ!」 誰かの悲鳴が響いたが、当のサナは俺の二の腕に頬を寄せたまま、視線すら向けなかった。 ただ、羽虫でも払うかのように、空いた左手を無造作に一振り。 ――パヂィィィッ! 乾いた衝撃音が洞窟内に木霊し、魔物の剛腕がまるで飴細工のように弾き飛ばされた。 あまりに軽やかな、それでいて絶対的な拒絶。
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79話 蹂躙の蒼炎と、洞窟の「温かな」聖域

「別に気にしてないから良いよ。……ところで、一つ聞きたいんだけど。このダンジョンの攻略の目的って、具体的に何?」 俺の問いに、彼らは武器を納め、汗を拭いながら答えてくれた。「攻略したという名誉とお宝……それからレベル上げ、といったところか」「歴史的、学術的な資料としても価値があるだろうしな」「なるほど。で、攻略ってどうすれば『完了』になるの? 最下層まで行けばいいのか、それとも魔物を全部討伐するとか?」「一般的には最下層で秘宝を手に入れるか、主(ボス)を倒すことだろうが……」「そのダンジョンによってルールは違うと思うぞ」 彼らの話を聞きながら、俺はサナの腰に手を回し、その引き締まった、けれど柔らかな曲線を指先で確かめる。 サナは俺に触れられているのが嬉しいのか、くすぐったそうに身をよじり、再び俺の頬に自分の頬をぴたりと重ねてきた。「……そら、面倒ならわたしが今すぐこの場所を『踏破』してやろうか? あの一番奥にある、魔力の澱んだ部屋ごと吹き飛ばせば済む話だぞ」 サナが耳元で、蕩けるような甘い声で物騒な提案をしてくる。 彼女の吐息が耳たぶを掠め、密着した胸の瑞々しい弾力が、俺の脇腹を柔らかく押し潰した。「いや、それは流石にやりすぎだって。……よし、それじゃあ、ボクたちも少しだけ『本気』で攻略を手伝うことにしようか」 俺がそう言うと、サナは「んふふ、そらが戦う姿が見られるのか!」と喜び、さらに強く俺の身体に密着してきた。 彼女の熱い体温を感じながら、俺はゆっくりと、未踏の深淵へと視線を向けた。灼熱の迷宮と、密やかな夜「じゃあ、戦闘に参加するよ。行こうか……」 俺は重い腰を上げると、隣で退屈そうにしていたサナの細い腰を引き寄せ、その柔らかな身体を正面からぎゅっと抱きしめた。 不意の接触に、サナの身体がびくりと跳ねる。「&he
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80話 絶望を穿つ静寂と、魔王の「盲信」

 俺は気恥ずかしさを覚え、サナの腕をそっと解きながら起き上がった。「……あはは。一緒に寝ると、体温が高くて結構……寝苦しいですけどね」 俺が照れ隠しでそう苦笑いした瞬間、隣で目を覚ましたサナが、弾かれたように身を起こした。「……寝苦しかったのか? そら、体調が悪いのか? 無理をさせたのなら、すまない……っ」 サナは俺の言葉を真に受け、潤んだ紫色の瞳に不安を滲ませて、俺の顔を覗き込んできた。彼女の白く柔らかな手が俺の頬に添えられ、ひんやりとした指先が肌を撫でる。その必死な様子が、また周囲の嫉妬を煽っていることに彼女は気づいていない。「大丈夫だから! 言葉の綾だよ。ちゃんとぐっすり寝れたから、心配しないで」「本当か? 嘘ではないな……? サナは、そらと一緒だったから……その、最高に幸せな夢が見られたのだぞっ!」 サナは安心したように顔を綻ばせ、再び俺の二の腕にギュッとしがみついてきた。豊かな胸の瑞々しい弾力が俺の腕を包み込み、彼女の甘い香りが朝の澄んだ空気に混ざり合う。「……ケッ、朝からラブラブだな、おい」「本当、仲良しさんね。見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうわ」 女性ハンターたちのからかうような視線に、俺はもう乾いた笑いを返すしかなかった。「あははは……。さて、それじゃあ朝食を済ませて、さっさと最深部を目指しましょうか」 サナは俺の腕に頬を擦り寄せ、満足げに喉を鳴らしている。  この甘えん坊な魔王の娘を連れて、俺たちの「ゆるい」ダンジョン攻略が再び幕を開けた。絶望の空洞、竜の翼に遮られた光  湿った細い回廊を抜け、俺たちはついにその場所に辿り着いた。「先に進もうか」「そうだな……気を引き締めて行こう」 ハンターたちの声には、昨日の快進撃による微かな期待と、深層特有の重圧への恐怖が混ざり合っていた。  だが、目前に広がった光景は、彼らの、そしてサナの予想をも遥かに超える絶望だった。 そこは、天を衝くような巨大な空洞だった。  遥か高みの天井には亀裂が走り、
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