All Chapters of 白い恋の結晶~キミへと続く足跡: Chapter 11 - Chapter 20

132 Chapters

第11話

古賀くんはそう言ったあと、照れたようにハニカミ、握る手にギュッと力を入れた。あたしよりもほんの少しだけ身長の高い古賀くん。彼は学ランのポケットからおもむろにホッカイロを取り出して、あたしの手に握らせた。『手、冷たくなってるじゃん。マフラーだけじゃなくて手袋も付けなきゃ』『そう言う古賀くんだって、手冷たいじゃん』あたしが言うと、古賀くんはプハっと吹き出して『確かに』と笑った。あたしもつられて、一緒にクスクス笑う。『もうすぐ家だけど、一緒に帰ろ』古賀くんが右手を差し出してきた。日に焼けて、小麦色になった彼の手を見て、また鼓動が速さを増す。男子と手を繋いで帰るとか……。友達に見られたら、絶対冷やかされる。『大丈夫。誰かに何か言われたら、俺が守ってやる』不安なあたしの顔を見て、古賀くんが眉を上げた。そっとそっと、古賀くんの手に左手を重ねる。強く握り返されて、あたし達は微笑み合った。ザクザクザクザク。歩きだしたあたし達の足元で、雪が楽しそうに歌った。まるで、あたし達を祝福してくれているみたいに。桜の木の下から、ポツリポツリと伸びていくあたし達の足跡。足先も顔も冬の冷たい空気でカチカチに固まったいるけど、古賀くんと繋がれた手はホクホクと温かかった。時々、あたしを見下ろして微笑む彼。あたしも同じように微笑むと、古賀くんはとても幸せそうにあたしのおでこに自分のおでこを近づけてきた。お互いの額をこすりあい、またクスクス笑う。初めて、男子と手を繋いで帰ってる。彼氏……。照れ臭い。
last updateLast Updated : 2025-12-24
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第12話

久しぶりに、柊に告白された時の夢を見た。柊が転校して会えない間中、何回か見たことはあったんだけど、本当に久しぶりだった。あの頃の笑顔は、もうあたしに見せてくれないのかな……。始業式の翌日、懐かしい夢の余韻に浸りながら自分の部屋のスタンドミラーの前で制服に着替えた。グレーのスカートは、ウエストでひと折りしてひざ丈に。そして、シャツに赤いリボンを付けグレーのジャケットを羽織って『よし』と気合を入れる。今日は、新学期早々テストがあるから。春休みの課題を適当に終わらせテスト勉強をあまりしていなかったので、不安で仕方がない。それに……柊がいるし。また柊が戻ってくるって知ってたら、もっと真面目に勉強してたのに……。クラスの順番が、柊にバレてしまう……。やっぱり好きなんだと再確認してしまうと、急に周りの目が気になるものだね。自分の外見はもちろん、性格も、成績だって……。相手の目に、自分がよく映って欲しいから。あたしは家を出る前に、玄関の靴箱の上に置いてある鏡で前髪を整えた。トントンとローファーのつま先を玄関のタイルにつけ、気を引き締めて家を出る。玄関のドアを開けると、眩しい朝日に目眩がした。テストがあること以外は、とても爽やかで気分がいい朝。春の生温かい風を受け、遅刻しないように足を速めた。「おはよ! 珍しく早く着いたんだね」教室に着くや否や、すぐにあたしの机に寄って来たマキが嫌みったらしく目を細めて言う。「まぁ、テストだしね」あたしは軽く肩をすくめてクールに答えたあと、ちょこんと椅子に座る。もう既に席に着いていた柊を振り返って見たかったけど、トキメク心臓が口から出て来そうだったので大人しく座ったんだ。マキは、その控えめなあたしの動作を見てすぐに、あたしが早めに教室に到着した理由を察したようだ。「テスト、頑張んなきゃね~色んな意味で」マキはそう言ってニヤけ、チラリとあたしの斜め後ろの柊に目を向ける。
last updateLast Updated : 2025-12-25
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第13話

柊は机の上に置いたスクールバックに両手を置き、スマホをいじっている。その何でもない柊の姿を、クラスの女子達がチラチラ見ていた。柊を見る女子達の視線が辛くて、こめかみをポリポリかいて目を泳がせながら咳払いをする。知ってる……。柊は、中学の頃からモテてたから。あの頃はあたしが彼女だったから周りの目なんて気にならなかったけど、今のあたしは柊にとって何でもないから……。いつ、他の人のものになるか、わからない……。「あっつ~!! つーか、セーフ!!」朝の予鈴がなるギリギリに、教室の前のドアから滑り込んできたハル。スクールバックをリュックのように背中に背負い、華麗にターンをを決めていた。腰には脱いだグレーのジャケットの袖を巻き付けていて、白いシャツは肘まで捲られている。朝からチャラい格好で登校してきたと思ったら、自分の机にスクールバックと腰に巻き付けていたジャケットを放り投げすぐにあたし達のもとにやってきた。「おはよ。今日めっちゃ暑くない?」あたしの机の横でシャツの胸元をパタパタと仰ぎ、体に空気を入れている。彼の額にはうっすら汗が滲んで、前髪が張り付いていた。「そんな暑くないよ。どーせ、遅刻寸前で走って来たんでしょ?」あたしが呆れて言うと、ハルはあたしに人差し指を向けて「正解!」と自慢げに言った。「篠原、テスト勉強やった?」ハルが、肘まで捲った袖口で額の汗を拭いながら聞いてくる。「ちょ~っとね」あたしが親指と人差し指を薄い紙でも挟むようにくっ付けると、ハルとマキが苦笑する。「ユキのちょ~っとねはしてないのと一緒だからね」クククと、マキが笑う。「俺、山はったよ! 山!! もうそれに懸けるしかないね」「また無駄なことを」あたしが鼻で笑うと、ハルは少しムキになって眉を寄せた。「全くやらないよりはマシだろ? 新学期早々赤点とりたくないし。なぁ? 古賀」
last updateLast Updated : 2025-12-25
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第14話

ドクン……。突然、ハルが柊の名前を呼んだので、ドキリと心臓が跳ねた。ハルの汗が引いてきたのに、今度はあたしの額に汗が滲む。確かに、今日はちょっと暑いかも……。「古賀は? テスト勉強、ちゃんとするタイプなの?」昨日会ったばかりだというのに、ハルはもう長年の友達のように柊に話しかける。チラリと横目で柊を見ると、少し戸惑っているようだった。「まぁ、それなりには。かと言って、真面目にするわけでもないけど」柊は要領がいいんだ。中学の頃も、あたしが見ている限りでは勉強なんてしていなかったのに、いつもテストでは高得点を取って学年の順番も上の方だった。家ではずっと勉強してるのかもしれないけど、そういう雰囲気を、全く出さない人。ふ~んと頷いたハルは、チャイムの音に反応して嫌な表情で自分の席に戻って行った。席に戻ってからも、横を向いて隣の男子とペチャクチャペチャクチャおしゃべり。マキも席に戻ってしまったので、ひとりどうすることも出来なくて、ぎこちなく柊を盗み見る。ヒィッ!!柊と目が合ってしまった。突然しゃっくりが出たかのように、体が跳ねる。挙動不審なあたしを見て、柊が小さく笑った。「赤点、取らないように気をつけろよ」ボソリと、柊が呟いた。その瞬間、あたしの血液が体内で暴れ出した。急激に細胞分裂してるんじゃないかと思うくらい、体の中がザワザワし始める。あたしはただ細かく何度も頷くだけで、声を出すことは出来なかった。
last updateLast Updated : 2025-12-25
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第15話

「……外れた……」国語と英語のテストが終了してすぐ、両手をだらりと下に垂らしゾンビのようにユラリユラリと歩くハルがあたしの席に近づいてきた。あたしは席に座ったままのマキと目を合わせ、苦笑する。「終わった……。山、全部外れた」「ドンマイ。まぁ、一夜漬けなんだからどっちにしろ結果は同じだったんじゃないの?」イタズラに笑うマキも、あたしの席に来る。「いや、今までの俺は山はって全部当ってたんだって! 新学期早々赤点確定だわ……」あたしの机にお尻を少し乗せたハルが項垂れたので、あたしは呆れて眉を寄せて笑う。「篠原……。おまえ、笑ってるけど、篠原だってどーせ赤点だろ?」「なっ、失礼な!! 今回は出来たよ! 赤点じゃないもん!!」「ちょ~っと、だろ? 赤点ギリギリ」ハルが親指と人指し指を近づけ、更に目まで細くする。そんなに赤点赤点って言わないでよ!!後ろで、柊が聞いてるかもしれないのに!!確かに、出来たって言っても自信のある問題は少ししかないけど……。これでも一応、いつも以上に頭使って頑張ったんだから……。「ハハハ」笑い声が聞こえ、ハッとして後ろを振り返る。すると、柊が、あたしとハルのやり取りを見て笑っていた。「いいコンビだな」カァっと顔が熱を持ち出したと同時に、少しだけ心が痛んだ。本当にそう思うの?あたしとハルが、いいコンビだって。嫉妬とか、しないの?あたしは、痛む胸が周りにバレないようにそっと前を向く。柊にとって、あたしはもう、何でもなくなったんだね……。「雪羽」ドックン。柊に名前を呼ばれ、心臓の周りが急に温かくなった。まるで、心臓の周りに真っ赤なバラが咲き乱れたかのように気分が踊る。何年振り?柊から、名前を呼ばれたのは……。
last updateLast Updated : 2025-12-25
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第16話

「明日に賭けろよ」え? と、目を丸くしてもう一度柊を振り返る。「数学。おまえ、得意だろ?」「……柊」グッと奥歯を噛みしめないと、すぐに涙がこぼれそうだった。覚えてたんだ……。あたしが、数学得意なこと。嬉しい……。さっきまで酷く落ち込んでいたのに、あたしってかなり単純な性格だ。柊の言葉で、こんなにも喜怒哀楽が激しくなる。でもそれは、柊だからだ。彼の一言で悲しくもなるし、幸せにもなれる。好きな人だから。「篠原、数学得意だったっけ?」ハルが意外だと言うように驚いて眉を上げた。「うん!! ユキは数学の点数が一番よかったじゃん! 他のはあんまだけど」「え~? マジで? 俺、そう言えば、篠原の点数あんま見たことないわ」「……普通見せないでしょ。頭よくて高得点ならまだしも、赤点ギリギリのだよ?」自分で言って、「あっ……」と口を紡ぐ。赤点って、自分の口から言ってしまった。あたしが落ちこんで項垂れると、また後ろから柊の笑い声が聞こえてきた。こうなったら、今夜は徹夜で勉強頑張ろう。明日の数学、意地でもいい点数取れるように。あたしだってやればできるんだから!!****『へぇ、数学、得意なんだ』古賀くんと付き合って1カ月くらい経った頃にやって来た、テスト期間。放課後、隣のクラスの古賀くんはHRが終わるとすぐにあたしの教室に走ってきて、一緒に帰ろうって言ってくれる。おかげで、クラスメイトに冷やかされる毎日。だけど、それは全然嫌じゃないんだ。照れ臭いけど、幸せ。『数学だけね。あとの教科は全くダメ』あたしが席に座ったまま肩をすくめると、古賀くんはあたしの隣の席の椅子を引き腰かけた。どうして座るのかと疑問に思い古賀くんを見ると、彼は肩に斜めにさげたカバンを机に置き、恥ずかしそうに下唇を噛んだ。『篠原さん、少し勉強して帰るんでしょ?』『え?』『俺も、勉強して帰ろうかな。そしたら一緒に帰れるし』古賀くんはハニカンで言ったあと、恥ずかしさを隠すようにカバンの中から数学の教科書を取り出した。ガタガタガタと机をあたしの机にくっつけてきて、勉強の準備が整うと、あたしを見てニッコリ笑った。こんなにくっ付いていると、緊張して勉強どころじゃない。
last updateLast Updated : 2025-12-25
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第17話

ひとりふたりと、クラスメイトがどんどん帰って行き、最後にはとうとうあたし達ふたりっきりになる。マキも、あたしに気を使ったのか一緒に勉強していい?って聞いて来なかった。テスト期間の為部活動もないし、人気のなくなった教室はとても静かだ。黒板の上の壁に掛けてある時計の秒針の音と、あたし達の教科書をめくる音が響くだけ。『古賀くんは得意な教科とかあるの?』『う~ん、特にこれが得意ってものはないけど……』問題を解いていた古賀くんは、あたしの質問に少し笑いながら顔を上げた。『急にどうしたの?』『あ、いや。だって、いつも成績いいから、古賀くん』あたしが言うと、古賀くんは一気にテンションが上がったようにシャーペンをノートの上に置いて笑顔になった。『なんで知ってんの?』キラキラの笑顔で聞いてくる古賀くん。『あ、噂で。古賀くん、女子に人気あるし、それに、マキがいち早く情報得てあたしに教えてくれるの。だから、それで……』前から気になってたからなんて言えなくて、頭に浮かんだ言葉をそのまま並べて口に出した。『俺が女子に人気だって?』古賀くんが眉を寄せて首を前に出す。『うん。すごく人気じゃん! ウチのクラスの女子達もたくさん古賀くんのこと噂してたよ?』『ふ~ん』古賀くんは、あまり興味なさそうに相槌を打ち、そしてまた表情を緩めた。『ちょっと、気にしてた?』『えっ!?』『嫉妬したりした?』なんて意地悪な質問?絶対、あたしの答えが分かって聞いてるでしょ!!そんなにあたしに恥ずかしい事を言わせたいの?本当、勉強どころじゃない……。嫉妬って言うよりも、羨ましかった。堂々と古賀くんの噂が出来て。あたしなんて、気にはなってるけど、好きだと周りに騒がれるのが怖くて興味ない振りをしてきたんだから。だから余計に、あたし達が付き合いだして、周りがビックリしてたんだけど……。『あたしは、別に、嫉妬なんか……』目を必死に泳がせて、問題を解くフリをする。
last updateLast Updated : 2025-12-26
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第18話

普段ならすぐに解けそうな問題も、全く公式が出てこなくてあたふた。そんなあたしを見て、隣の古賀くんはプっと吹き出した。『いいよ。無理しなくて』手の甲を口に当て、クククと笑っている。『今は言わなくていいよ』今は言わなくていいって……今はでしょ?いつか言わせるつもり?『俺より数学の点数が低かったら、その時篠原さんの本音を聞かせてよ』『えぇっ!?』驚きすぎて、体がのけ反る。『だって、得意なんでしょ? 数学』『そ、そうだけど。他の教科に比べたら少し得意ってだけで、誰も古賀くんよりいい点数とれるなんて言って……』あたしが必死に反論してる途中で、古賀くんはあたしの鼻に自分の人差し指を持ってきてあたしの言葉を遮った。『いいじゃん。聞きたいんだもん、聞かせてよ』聞きたいんだもんって……そんなに可愛く言われても。『俺、頑張るよ? 今まで以上に高得点取れるように頑張る』『ずるいよ!!』 『何がずるいの?』『だって……。古賀くん元々頭いいのに、それなのに必死で勉強されたら勝てるわけないじゃん』あたしは頬を膨らませて視線を落とす。いくら得意教科でも、古賀くんには勝てっこない。古賀くんだって、それはわかってるはずだ。それなのに、わざとそんなこと言うなんて……。あたしがすねて俯き続けていると、また古賀くんが吹きだしたのでムっとして顔を上げた。……だけど、すぐに目を丸くしてしまった。だって、古賀くんの顔、すごく真っ赤だったんだもん。照れなが手の甲で顔全体を隠して、眉を垂らして笑ってる。『もう、どうしてそんなに可愛いの』カァっと、あたしもつられて真っ赤になる。『な、何言って……』『これは本気で勝たなきゃな』『…………』『でも、俺、篠原さんの本音聞いたら、幸せすぎて死ぬかもしれない』さっきまで照れ笑いしてた古賀くんは、この緊張に耐えきれなくなったのかシャーペンを持って問題を解き始めた。だけど、すぐにチラリとあたしを盗み見てくる。
last updateLast Updated : 2025-12-26
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第19話

あたしと目が合うと、ハニカミながら笑って、あたしにも早くシャーペンを持てと顎で指してきた。カリカリカリと無言でシャーペンを走らせて、時々目を見合わせて頬笑みあう。古賀くんが勉強してる姿を見るのは、初めてだ。外の空気は冷たいけど、教室の中はふたりの体温で温かい。窓が白く曇り、淡い午後の光が教室に差し込んできた。※※※※「……あ」2日間による全教科のテスト終了後、階段を上る途中で柊に会い立ち止まった。「どこ行くの?」あたしが声をかけると、柊はあたしの1段下で立ち止まる。「ちょっと職員室に呼ばれて。そっちは?」「あたし? あたしも、ちょっと先生に呼ばれてたの」「そっか」「…………」またしても、会話終了。あたしはウエスト付近で手を弄び、言葉を探す。何を言おう。何を話せば、長く会話が続く……?「数学の出来、どうだったの?」「え? あぁ、出来? まぁまぁかな」ハハっと、曖昧に笑ってごまかす。解答用紙の空白が多くて先生に呼び出されてたなんて、言えないし……。「出来たの?」「え? あぁ、うん、もちろん! ほら、あたし、数学、得意じゃん?」また曖昧に笑う。「ふ~ん」柊は涼しい顔で頷いた。だけどすぐに、プッと吹きだし呆れたように眉を寄せて笑ったんだ。「ほんっと、昔から雪羽は見栄を張るよな」「……ッ!?」あたしは驚いて、目を丸くする。柊が1段下にいるので、目線の位置が大体同じ。近くで柊と目があって、心臓が爆発しそうなくらい早鐘を打った。「み、見栄なんか張ってないよ!」口を尖らせ、必死の言い訳。「ふ~ん。じゃあ、俺の方が点数よかったら、回答の空欄が多くて先生に呼び出されてたって正直に言えよな」「なっ……」さすが、柊……。やっぱり、全てお見通しだ。もう何も言えなくなって、困り果てて目を瞑りながら下を向く。すると、柊はハッと笑ってあたしの頭に手を伸ばしてきた。ワシャワシャと頭を撫でられ、髪が絡まる。「嘘だよ、嘘。久しぶりにからかいたくなっただけ」トクントクントクン。鼓動が、温かく幸せに満ちる。大好きな彼の笑顔が、目の前にある……。あたしは呆然としながらボサボサになった髪を力なく整え、思わず目を逸らす。「テスト、お疲れ様。アイツ、叶が待ってたぞ。早く教室に行ってやれ」柊はクールに右手を上げると、軽快
last updateLast Updated : 2025-12-26
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第20話

新学期といえば……身体測定。テストの次に嫌いなもの。身長は変わってないのに、体重だけが年々増えてるし……。体重計には毎日乗ってるから、学校で体重をはかる必要はありません……。男子は4組、女子は5組で体育ジャージに着替えを済ませる。スタイルが良ければ、こんな身体測定なんかで憂鬱にならずに済むのになって、毎年思うんだ。あたしはマキと着替えを済ませ、体育館に向かう為廊下に出る。すると、ちょうど着替えを済ませた男子達も4組からゾロゾロと出てきて、柊とぶつかりそうになり立ち止まった。「ビックリした……」あたしが急に立ち止まって目を丸くすると、柊もあたしの驚きが伝染したのか同じリアクションになった。「俺もビビったし」お互い同じように驚いたから、おかしくてプハっと吹きだす。「あ~あ、身体測定とか嫌だな~。身長伸びてるかな~」柊のあとに続いて4組から出てきたハルは、憂鬱そうに大きなため息をついて首をグルリと回していた。ハルは一周首を回し終わり、あたしを見つけるとすぐにあたしの隣に来た。そんなハルが、たまに飼い主に懐く子犬に見えることがあって頭を撫でたくなるんだ。だから、ハルのフワフワの茶髪をポンポンと撫でてあげた。「……おい。何すんだよ」「あ、いや。身長が伸びるおまじない?」ギロリとあたしを睨むハルに、フフンっと笑いながら答える。「疑問形の時点で絶対効かねぇだろ、そのおまじない」「失礼な! ちゃんと効くよ! 今ので170にはなってるかも!」「は~!? 俺元々170あるんですねけどぉ!!」あたしの冗談にムキになるハルが、顎を突き出して必死に反論。そして、あたしのわき腹をくすぐってきた。「うわっ!! ハハハハハッ!! ちょ!! やめて!!」わき腹の弱いあたしが廊下を歩きながらよろけると、ハルは勝ち誇ったように廊下の真ん中で仁王立ちをする。2,3歩よろめいて振り返ると、体育館に向かう生徒達がみんなハルを迷惑そうに避けていた。
last updateLast Updated : 2025-12-27
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