古賀くんはそう言ったあと、照れたようにハニカミ、握る手にギュッと力を入れた。あたしよりもほんの少しだけ身長の高い古賀くん。彼は学ランのポケットからおもむろにホッカイロを取り出して、あたしの手に握らせた。『手、冷たくなってるじゃん。マフラーだけじゃなくて手袋も付けなきゃ』『そう言う古賀くんだって、手冷たいじゃん』あたしが言うと、古賀くんはプハっと吹き出して『確かに』と笑った。あたしもつられて、一緒にクスクス笑う。『もうすぐ家だけど、一緒に帰ろ』古賀くんが右手を差し出してきた。日に焼けて、小麦色になった彼の手を見て、また鼓動が速さを増す。男子と手を繋いで帰るとか……。友達に見られたら、絶対冷やかされる。『大丈夫。誰かに何か言われたら、俺が守ってやる』不安なあたしの顔を見て、古賀くんが眉を上げた。そっとそっと、古賀くんの手に左手を重ねる。強く握り返されて、あたし達は微笑み合った。ザクザクザクザク。歩きだしたあたし達の足元で、雪が楽しそうに歌った。まるで、あたし達を祝福してくれているみたいに。桜の木の下から、ポツリポツリと伸びていくあたし達の足跡。足先も顔も冬の冷たい空気でカチカチに固まったいるけど、古賀くんと繋がれた手はホクホクと温かかった。時々、あたしを見下ろして微笑む彼。あたしも同じように微笑むと、古賀くんはとても幸せそうにあたしのおでこに自分のおでこを近づけてきた。お互いの額をこすりあい、またクスクス笑う。初めて、男子と手を繋いで帰ってる。彼氏……。照れ臭い。
Last Updated : 2025-12-24 Read more