“付き合ってたの?“を強調して言われ、心臓がギシリと軋む。あたしと柊の曖昧な関係を見て、いつかは触れられる問題だと思っていたけど、まさかこんな形で触れてくるとは思ってもいなかった。こんなに大勢の前で問われたあたしは、どうすることも出来なくてただ俯いた。「違うよ」はやし立てるクラスメイトを黙らせるように、ボソリと、だけど少し強い口調で柊が言った。机の周りに集まるクラスメイト達が、柊に注目する。「違う」今度は、低い声で、はっきりと。「俺らは、そういうんじゃないよ」少し不機嫌な柊の声に、一瞬周りの表情が凍りつく。あたしも、動けなくなった。“俺らは、そういうんじゃないよ”今は付き合ってないとはっきり言葉にされるより、心が痛かった。柊との楽しかった過去までも、否定されたみたいで……。柊にとっては、思い出したくない過去なのかもしれない。あたしと一緒にいた時間は、邪魔な記憶……?そっか……。そういうことか……。だから昨日も、バス停であたしとあまり目を合わせてくれなかったんだね。もう、何も期待は持たないことにする。っていうか、最初から期待なんて持たなきゃよかったんだ。「そ、そうだよ……」あたしは、震えそうな声を必死で抑え、無理に笑顔を作った。頬が、引きつる……。「あたし達は何でもないよ」ちゃんと、笑えてるかな……?あたしが柊の机の周りに集まるクラスメイトの顔を見ながら言うと、みんな少し戸惑ったように顔を見合わせていた。「みんな勘違いしすぎ。ホント、何でもないから。あ! ごめん! あたし、ちょっと、トイレ!」言いながらジワリと浮かんできた涙がばれないように、慌てて教室の後ろのドアを指差しハハハと苦笑いした。そして、目を泳がせて急いで教室を走り出る。
Last Updated : 2025-12-29 Read more