白い恋の結晶~キミへと続く足跡

白い恋の結晶~キミへと続く足跡

last updateLast Updated : 2026-01-26
By:  ASAMICompleted
Language: Japanese
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中学の時付き合っていた彼が両親の都合で転校してしまい、その後自然消滅してしまう。しかし、高校2年の時にその彼がまた戻ってきた。また彼と楽しい日々を過ごせると思っていたのに…。彼はいつも、遠くへ行ってしまう。足跡だけを残して…。

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Chapter 1

第1話

ふわふわ。

空から降りてくるのは、天使の羽のように柔らかい雪。

吐く息の白さと、降り積もる雪が重なり白銀の世界。

隣には、ちょっと大人な表情で微笑むあの人がいて、寒さに負けないように身を寄せる。

思い出のあの木の下で、今日も空を見上げる……。

◻️◻️◻️

ふわふわ、ふわり。

通学途中にある、大きな桜の木の下。

膝上のグレーの制服が、春の花々の甘い香りを運んできた風に揺れる。

桜の花びらが、まるでシャワーのようにあたしの頭上に舞い落ちてくる。

ピンク色の木を見上げ目を閉じると、桜の枝が風に揺れる度に差し込む朝日が、瞼の向こうで輝いた。

「おい!! そんなとこにボーっと突っ立ってると、遅刻するぞ!!」

突然、馴染みのある声が聞こえ、耳がピクリと反応する。

振り返るとそこには、制服を着崩したハルが立っていた。

叶 ハル。高校1年の時に同じクラスになって、仲良くなった、唯一の男友達。

新学期だって言うのに、グレーのジャケットはただ羽織っただけ。

シャツはズボンのウエストから少し出していて、全くしまりのない格好だ。

「新学期早々遅刻とかやめろよー」

スクールバックをリュックのように背負い、両手をポケットに突っ込んで笑うハル。

「ちょっと見てただけじゃん」

あたしは小さく息を吐いて、ハルのもとに歩く。

肩に提げるスクールバックの持ち手を掴んで、あたしはまたため息をついた。

2度目のため息に、あたしよりも少し身長の高いハルが隣から覗き込んでくる。

彼のサラサラの茶髪が、春の温かな風に揺れている。

「またため息ですか? 篠原 雪羽《しのはら ゆきは》さん」

ハルの嫌な言い方にムっと眉を寄せて顔を上げると、ハルもあたしと同じようにため息をついた。

「去年の冬くらいからため息多くない? 初詣行った時とかめっちゃついてたじゃん」

「だって……」

あたしは口をつぐんで、また俯く。

だって……。

冬になると、どしても思い出してしまうんだもん。

そろそろ忘れなきゃいけないのかもしれないけど、何もはっきりしないままだから、忘れられそうにない……。

ハルは、俯き続けるあたしの隣で、ふと桜の木を見上げた。

あたしもつられて見上げる。

ふわり、ふわり。

風に吹かれて、ピンク色の花びらが舞い落ちる。

木の枝の隙間から朝日がキラキラと差し込み、手を顔の前にかざした。

長い長い冬を乗り越え、ようやく満開を迎えた桜の木。

住宅街から学校までは一車線の狭い道が続いていて、両端には田んぼしかない田舎道。

木造の屋根のついた小さな小屋のようなバス停の隣に、この木は立っている。

道路の方には伸びきれない根っこは田んぼの方に伸びていて、少し傾いている。

その田んぼの主人が町役場にこの木の伐採を頼んでいるようで、何回か職員の人が木を見にきていたことがある。

だけど、絶対に切らせないんだから。

あたしの思い出の木だ。

あたしと……柊(シュウ)の……。

「うおっ!! やっべ!! マジで遅刻だ篠原!!」

「え?」

ズボンのポケットからスマホを出して時間を見たハルが、ひとりで慌てて走り出し、あたしを置いて行く。

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