「ほら」「……ッ!?」あたしが足首を見て困っていると、ハルが突然あたしに背中を向け首だけで振り返った。「背中乗れよ。歩けないんだろ? 保健室連れてってやるから」「えっ!? いいよ!! おんぶとか恥ずかしいからやめて。肩貸してくれたら歩けるから!!」「立とうとして立てなかったヤツが歩けるかよ!! いいから乗れって」ハルが、早く乗れと顎で背中を指す。あたしは集まって来たみんなの目が気になって、こっそりみんなの表情を盗み見た。「雪羽!! 恥ずかしがってる場合じゃないでしょ? 早く保健室行きなさい!! どんどん酷くなるよ?」マキのことを、さっきは体育の先生みたいだと思ったけど、今度はお母さんのようだ。あたしはすごく恥ずかしかったけど、マキが言うように酷くなる前にハルの背中に乗った。遠慮がちにハルの首に手を回し、体を預ける。男子の中でも小柄なハルだけど、あたしを軽々と背負って立ち上がった。みんなの輪が割れ、道が出来る。ハルとは、親友のような存在だけど、こういう時は何だか少し緊張する。「重い……?」ハルに背負われなが遠慮がちに聞くと、ハルは前を向いて力強く歩きながら、「少しな」と冗談めかして言った。「何食ったらこんなに重くなんだよ」「じゃあ、いいよ。おろしてよ!! 歩いて行くから!!」あたしがハルの耳元で騒ぐと、ハルは不機嫌な表情であたしを振り返った。「暴れるな。ジッとしてろよ!! 俺の首に掴まっとけ!! 落ちるだろ!!」ハルはあたしに吠えたあと、軽くジャンプしてあたしを背負い直す。あたしはハルに見えていないと思い、思いっきり舌を出した。保健室のドアを開けると、とても静かだった。物音ひとつしない。「あれ? 先生いないのかな?」あたしの出した声が、大きく聞こえるほどの静けさだ。4つあるベットは全てカーテンで仕切られていて、人の気配が感じられない。ハルは、あたしを丸い椅子に座らせてくれて、捻挫に良さそうな物を物色し始めた。
Last Updated : 2026-01-01 Read more