All Chapters of 白い恋の結晶~キミへと続く足跡: Chapter 41 - Chapter 50

132 Chapters

第41話

「ほら」「……ッ!?」あたしが足首を見て困っていると、ハルが突然あたしに背中を向け首だけで振り返った。「背中乗れよ。歩けないんだろ? 保健室連れてってやるから」「えっ!? いいよ!! おんぶとか恥ずかしいからやめて。肩貸してくれたら歩けるから!!」「立とうとして立てなかったヤツが歩けるかよ!! いいから乗れって」ハルが、早く乗れと顎で背中を指す。あたしは集まって来たみんなの目が気になって、こっそりみんなの表情を盗み見た。「雪羽!! 恥ずかしがってる場合じゃないでしょ? 早く保健室行きなさい!! どんどん酷くなるよ?」マキのことを、さっきは体育の先生みたいだと思ったけど、今度はお母さんのようだ。あたしはすごく恥ずかしかったけど、マキが言うように酷くなる前にハルの背中に乗った。遠慮がちにハルの首に手を回し、体を預ける。男子の中でも小柄なハルだけど、あたしを軽々と背負って立ち上がった。みんなの輪が割れ、道が出来る。ハルとは、親友のような存在だけど、こういう時は何だか少し緊張する。「重い……?」ハルに背負われなが遠慮がちに聞くと、ハルは前を向いて力強く歩きながら、「少しな」と冗談めかして言った。「何食ったらこんなに重くなんだよ」「じゃあ、いいよ。おろしてよ!! 歩いて行くから!!」あたしがハルの耳元で騒ぐと、ハルは不機嫌な表情であたしを振り返った。「暴れるな。ジッとしてろよ!! 俺の首に掴まっとけ!! 落ちるだろ!!」ハルはあたしに吠えたあと、軽くジャンプしてあたしを背負い直す。あたしはハルに見えていないと思い、思いっきり舌を出した。保健室のドアを開けると、とても静かだった。物音ひとつしない。「あれ? 先生いないのかな?」あたしの出した声が、大きく聞こえるほどの静けさだ。4つあるベットは全てカーテンで仕切られていて、人の気配が感じられない。ハルは、あたしを丸い椅子に座らせてくれて、捻挫に良さそうな物を物色し始めた。
last updateLast Updated : 2026-01-01
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第42話

「捻挫って、どうしたらいいんだ? とりあえず湿布か? 湿布はどこだ?」ハルが引き出しを勝手に開けていき見ていったけど、なかなか見当たらない。「篠原。俺、先生探してくるから、ここで待ってろよ?」「うん」あたしは短く返事をし、保健室を出ていくハルを見送った。ひとりになると余計静かになってしまった。柊、いないのかな……。自分の足の痛みより柊のことが気になって、丸い椅子からゆっくり立ち上がる。だけど、足首に少しでも力が入ってしまうと激痛が走り、顔が歪んだ。あたしは足を引きずりながら、カーテンで仕切られているベットをひとつひとつ見ていく。すると、窓際のベットに、寝息を立てる柊が眠っていた。トクントクントクン。温かく反応し始める心臓。窓があいているのか、白いカーテンがユラユラ揺れている。いけないと思いながらも、ゆっくり進む足を止めることはできない。頭痛、大丈夫かな。まだ痛いのかな……。ベットの側まで足を進め、ぐっすり眠る柊の顔を覗き込んだ。キレイな寝顔……。髪はサラサラだし、目を閉じていても二重の線がハッキリしている。鼻筋も通っているし、こうやってマジマジと見ると、本当にキレイな顔立ちだ。「……柊」小さく名前を呼ぶ。だけど、柊の反応はなし。「柊……好きだよ」何の返事もないと分かっているから、言えた言葉。好きだよ。何度も何度も自分の中にしまってきた想い。今これを伝えてしまうと、もう、友達にすら戻れなくなる気がして、とても怖いんだ。だけど、何度も何度も伝えたいと思った言葉。「好きだよ……。好きだよ、柊」
last updateLast Updated : 2026-01-01
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第43話

言いながら、ジワリと涙が浮かんできた。こんなに近くにいるのに、気持ちさえも伝えられなくて、ぎこちなさも抜けない。過去を忘れて新たに恋をスタートさせようと思ったのに、どうしても過去が邪魔をする。何も怖がらずに、好きだと素直に言えたらいいのに。他の女子のように、簡単に柊の周りにいることが出来たらな。「……ック」突然、柊が苦しそうに息を詰まらせた。驚いて見ていると、何と、彼の頬に、ツーっと涙が伝ったんだ。右目からツーっと落ちて、今度は左目からも落ちる。「……柊?」頭が痛いのかと思ってさっきよりも大きめに名前を呼ぶけど、彼は目を開けない。……怖い夢でも見てる?あたしは、そっと柊に手を伸ばし布団の上からトントンと優しく撫でた。どうして泣いてるの?何か嫌な事でもあった?「……めん」ボソリと、呟くように柊が寝言を言う。あたしは、何を言っているのか聞きとるように耳を近づける。「……ごめん」震える声で、柊はそう言った。……ごめん?なにがごめん?誰に対して?何か泣く程のことがあったの?今すぐに柊を起こしてどうしたのか聞きたかったけど、ここに来たことを知られたくなかったので、聞きたい気持ちを抑えて、柊のベットから離れた。足を引きずって、また椅子に戻る。柊……。ごめんって、なにが?一体、どうしたの……?こういう質問を、気軽に出来るようになりたい。
last updateLast Updated : 2026-01-01
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第44話

保健室の先生に捻挫を見てもらったけど、念のために病院に行ってみてと言われた。その日の学校帰りに病院に行ったけど、やっぱりただの捻挫。右足首に湿布を貼られ、それが取れないように包帯でグルグル。見た目が大袈裟になってしまい、翌日クラスメイトにすごく心配されたんだ。まだ足を引きずって歩かないといけないし、普通に歩けるようになるまで、少し時間がかかるかもしれない。もちろん、体育祭の練習も見学。昼休みや放課後も練習をしているのに、あたしはグラウンドの端にあるベンチに座って見学していた。「足、まだ痛むの?」「……柊」放課後、ベンチに座ってクラスメイトの練習風景を見ていたら、体育服姿で額に汗を滲ませた柊があたしの隣に座って来た。あたしは包帯で巻かれた右足を少し後ろに引き、小さく頷く。「中学の頃から運動苦手だったけど、捻挫するのは初めてじゃない?」柊が心配そうに、あたしの足を覗き込む。あたしは苦笑して、唇を噛んだ。「情けないよね? バトンパスの練習で捻挫だなんて」「でも、大したケガじゃなくてよかったじゃん。体育祭までには治るんでしょ?」「うん。先生はすぐ治るだろうって」あたしが言うと、柊は安心したように息を深く吐いた。「今日、アイツらと一緒に帰るの?」柊はそう言って、必死に練習を続けているマキとハルを顎で指した。「え? ああ、特に約束はしてないけど……」あたしが答えると、柊は細かく頷いてあたしを見下ろした。グラウンドを染めるオレンジ色の夕日が、彼のサラサラの前髪とキレイな瞳をキラキラと照らしだす。「俺、送ってくよ」「え?」あたしが目を丸くすると、柊は切れ長の目を優しく垂らし微笑んだ。「こんな時くらいしか役に立てないし。まぁ、俺がチャリ通なら一番よかったんだけど、二人乗りは禁止だしな」そう言って、「意外と真面目だろ?」と笑う。ほら……。ずるいよ、柊は……。
last updateLast Updated : 2026-01-02
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第45話

時々こうやって優しいから、あたしは柊から離れることが出来ないんだ。わざとやってる?あたしが柊の微笑みに弱いの、一番よく知ってるでしょ?心身共に弱ってる時にそんなに優しくされたら、どんどん好きになってしまうじゃん。そしてまた、冷たくしたりするんでしょ?柊……。柊にとっての今のあたしは、どんな存在なの?送ってくれるって言ったのも、クラスメイトがケガして困ってるから助けたかっただけ?それとも、あたしだから特別に……?あぁ、ダメダメ。特別だなんて思ったらダメだ。すぐに欲が強くなるんだから……。柊は一旦教室に戻って制服に着替え、あたしのスクールバックも一緒に持ってきてくれた。日が傾きはじめ、空がオレンジ色から、紺色、紫、グレーが混ざりマーブル状の色になる。だけど、暑さは和らがない。6月に入って、どんどん気温が夏に近づいて行く。「歩ける?」正門を出る前に、不便に歩くあたしを見て柊が眉を寄せる。「歩けるよ。カバンも貸して、自分で持てるから」あたしのスクールバックを持ってきてくれてからずっと自分の肩に提げている柊に言うと、柊は体を捻らせてあたしからカバンを遠ざけた。「いいよ。カバンくらい俺が持つし。雪羽は歩くことだけに集中して」そう言って、口角を上げる。「ありがと」なんだか、照れ臭かった。久しぶりにふたりっきりで帰る家路。あたしは短くお礼を言って、柊の隣をゆっくり歩いた。柊も、何も言わずにあたしに歩幅を合わせてゆっくり歩いてくれる。「ねぇ」あたしは、隣の柊を見上げて聞こうとした。付き合って、初めて帰った日を覚えているかって。「なに?」柊が、あたしを見下ろす。薄暗くなっていく中、ぼんやりと見える柊の顔。「ううん。何でもない」
last updateLast Updated : 2026-01-02
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第46話

「なんだよ。気になるじゃん」言い躊躇うあたしを見て、柊が困ったように笑う。聞こうと思ったけど、重いと思われたくなくてやめた。「体育祭の種目、もっとたくさん出なよ」違和感がないように、話しを繋げる。「ああ、その話? 俺はリレーだけでいいよ。だって、この高校で初めての体育祭だし、よくわかんねぇもん」「体育祭なんて、どの学校もあんまり変わらないでしょ? 柊は運動神経いいんだから、たくさん出た方がいいのに」「ハハっ。俺は応援に回るよ」柊は笑いながらも、あたしの足のことを気にして時々見てくれる。「あともう少し、頑張れよ」柊の優しい眼差しが、あたしにそっと下りてくる。空には一番星が輝きはじめ、ゆっくりゆっくり家路を歩くあたし達を見守ってくれていた。桜の木の前を通ると急に風が吹き出し、カサカサと葉が鳴いた。何だか、あたしと柊と桜の木は、幼なじみのように感じる時がある。ずっと一緒にいたから。また3人集まることが出来て、桜の木が喜んでいるように感じた。****『ねぇ!! 今日、一緒に帰らない?』帰りのHR終了後、チャイムが鳴ると同時に少し息を乱しながら、柊があたしの教室に入って来た。あたしが帰ってしまう前に来てくれたんだろうけど、チャイムが鳴ってすぐ教室を出るほど、そんなに急いで帰ったりしない。あたしは席に座って帰りの支度をしながら、肩を激しく上下させる柊を見て目を丸くした。『急いで来たの?』あたしはプッと吹き出す。『だって、先に帰ったらどうしようって思ったから』『そんなに早く帰ったりしないよ』あたしが笑いながら言うと、柊は恥ずかしそうに後頭部をかいてハニカンだ。『そうだよな』そう言って、下唇を噛みながら小さく笑う柊。あたし達はお互いに少し照れながら目を見合い、そして、微笑み合った。
last updateLast Updated : 2026-01-02
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第47話

柊と付き合ってまだ日が浅く、緊張することがたくさんある。しかも、付き合うなんて、初めての経験だ。こういう時に感じる恥ずかしさをどうやってごまかしたらいいのかわからなくて、ただただ赤面してしまうんだ。みんなの視線を感じながらふたりでいるのも緊張するし、だからと言ってふたりっきりになるのは、もっと緊張して心臓が爆発してしまう。あたし達は、肩を並べて正門を出る。溶けては降ってを繰り返す雪が、あたし達の歩く速度を遅くさせる。あたし達の住んでいる地域の冬はとても長い。一年の半分は雪に覆われているんじゃないかって思うほど。それは言い過ぎだけど、本当によく雪が降るんだ。ザクザクザクザク。歩道の端にはまだ踏まれていない雪もあり、そこをわざと歩くと軽快な音が鳴る。あたしも柊も雪の音を楽しみながら楽しく帰った。柊の鼻と頬が寒さで赤くなっていて、とても可愛い。あたしは、お気に入りの真っ赤なマフラーに顎まで埋める。たまに、柊が雪をあたしにかけてきた。細かい粒になった雪が、まるでシャワーのようにあたしの体に降りかかる。あたしもお返しにと柊に雪を投げ、小学生の子供のようにキャッキャとはしゃいでいた。「雪羽」「うん?」今まではしゃいでいた柊が急に真面目な声を出したので、あたしはドキリとしてつばを飲み込んだ。「あの……さ。手……繋いでもいい?」照れるように横目でチラリとあたしを見てきて、あたしは更にマフラーに顔を埋め赤くなる頬を出来るだけ隠した。雪の粉がついた手を一旦スカートで拭きとり、ぎこちない動きで柊の手に近づける。柊も、ともてぎこちなかった。ふたりの手が触れると、一瞬、ヒンヤリした。雪を触っていたので、氷のように冷たくなったお互いの手。だけど、ふたり手を繋ぐと瞬く間に温かくなった。歩きながら少し離れていたふたりの距離が、手を繋いでギュッと縮まる。
last updateLast Updated : 2026-01-02
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第48話

柊は、あたしと離れないように何度も何度も強く握り返す。そして、あたしを見て、ニッと笑った。あまり身長の変わらないあたし達。ふたりで目を見合い、微笑み合った。後ろからあたし達を追い抜かして帰って行く友達が、繋いでいる手を見て冷やかしてくる。今すぐどこかに隠れたい衝動にかられたけど、柊があたしをかばって友達を追い返してくれた。「あいつら……」だけど、柊もとても恥ずかしそうだ。彼の横顔を見ると、ほんのり赤くなっている。これは、寒さでの赤さではなさそう。あたしはともてくすぐったくなって、マフラーに顔を埋めて、フフフと笑った。雪化粧された桜の木から、風が吹く度に雪の粉が落ちてくる。雪が踊っているようだ。※※※※※足のケガの為、あまり体育祭の練習に参加できないまま、当日を迎えてしまった。足の捻挫はもう、ほぼ良くなっている。リレーを走るのは、問題なさそうだ。あたし達のクラスは青組み。朝のHRを終えてグラウンドに向かうみんなのおでこには、青組みのハチマキが巻かれている。あたしも、取れないように頭にハチマキを巻く。ギュッときつく巻くと、一気にやる気モードに。よし!! 今年は柊もいるし、いいところをたくさん見せなきゃね。「気合は十分みたいだけど、もうケガはすんなよ?」マキと校舎を出てグラウンドに向かう途中で、後ろからハルに声を掛けられ、ムッとして目を細めて振り返った。「もうケガはしませんのでご心配なく」あたしはベーっと舌を出したあとに、フフフと笑う。「マジでもう大丈夫なの?」さっきまで冗談交じりだったハルが、急に真面目な表情で、歩くあたしの足首を見下ろした。「う~ん、まぁ大丈夫。リレーくらいならなんとかなるでしょ」「本当かよ。痛かったら正直に言えよ? もっと酷くなったらどうすんだよ」
last updateLast Updated : 2026-01-02
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第49話

「大丈夫だって。走る前にみんなに迷惑かけそうなくらい痛かったらちゃんと言うから」あたしが言うと、ハルは府に落ちないといった表情で渋々頷いた。前日に係の人達が建てたテントの中に、クラスごとに座って集合する。最近雨が降っていなかったので、グラウンドの砂が風が吹く度に地面をサーっと走っていた。時々目に砂埃が入って目を細める。体育祭開始の花火が鳴ると、学校中が軽快な音楽に支配された。体育祭の定番の曲が、あたし達の競争心を高め、心拍数を上げる。体育祭はこの音楽を聴く度に、緊張してお腹が痛くなるんだ。クラス全員リレーは、午後から。午前中は応援団と一緒に楽しく応援をするだけだから、気が楽だ。「アイツら、なんか楽しそうだな」借り物競走の準備の為、ハルとマキが意気揚々とテントを出て行ってから、あたしの隣に柊が腰掛けてきた。今まで数人の男子達と後ろで話しながら見ていたのに……。柊が来るまで大声で応援していたあたしだけど、隣に柊が来たら、少し控えめに声を出す。応援くらい大声でしなきゃいけないのに……。あたしは柊にハニカンで頷いて、唇を噛んだ。あたしがやったって、たいして可愛くない動作なのに、好きな人の前だとどうしても自然とこうなっちゃうんだよね……。「どうした? 急に大人しくなってない?」「え!?」早速バレてしまい、思わず声が裏返ってしまう。あたしが目を丸くして固まっていると、柊は口に手の甲を当ててクククと笑った。体育服の半袖から出る腕に血管が薄ら浮かんでいて、すごくカッコイイ。「出番はまだなのに、もしかして、もう緊張してんの?」「え!? あ、ああ。うん。そう!! ほら、あたし足もケガしてるし。治ってはいるけど、まだなんか軽く疼く気もするし」内心がバレないように、話しを合わせようとすればするほど、焦ってしまい早口になってしまう。
last updateLast Updated : 2026-01-03
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第50話

柊は、あたしの口から機関銃のように言葉が出てくるので目を丸くして驚いていた。そして、またフっと笑う。「相当緊張してんじゃん。超早口」柊は爽やかにそう言って、また笑った。太陽の眩しい日差しが、柊の笑顔をキラキラに照らしだす。あたしの目には完全にフィルターがかかってるようだ。柊が眩しくして直視できずに、目を逸らしてしまった。椅子が隣同士で、大きく体を使って応援をすると、柊の身体とぶつかってしまうくらい近い。こんなあたし達を見て、クラスメイトはどう思ってるんだろう。この前、柊があたしとは何でもないと否定していたから、ただの友達だと思っているのかもしれないけど……。あたし達、本当にただの友達に見える……?どう見ても、あたしのぎこちなさで何かあると勘付くでしょ?「お!! 雪羽!! 叶がスタートラインに並んだぞ」珍しく感情を表に出して楽しんでる様子の柊。好奇心の多い子供のような目で、スタートラインのハルを見ている。本当は、柊も色々出たかったんじゃないかな。だけど、転校先での初めての体育祭だからって遠慮したの?借り物競走のスタートを知らせるピストル音が鳴り、ハルと5人の男子が一斉にスタートを切った。6人ほぼ同時のスタート。一列に並んで指示の書かれた紙をテーブルの上から引く。紙を広げて中を確認し、それぞれ色々な方向に別れていく。ハルもグシャリと紙を握りしめ、一目散にあたし達の方へと走って来た。目線も、あたし達に向いている。あたしは驚いて、柊と目を見合わせる。「古賀!!」ハルがこちらに走って来ながら、柊を呼ぶ。柊は、「俺?」と自分を指差し、少し顔を前に出す。「ちょ!! 古賀!! 来て!! 俺、おまえと二人三脚しなきゃなんないんだ」「は? 俺と二人三脚」突然のことに柊が眉間にシワを寄せると、ハルは無理やり柊をテントの中から引きずり出し、自分のおでこのハチマキを取って足にくくり付けていた。「古賀!! 右足からな」「え? あ、うん」完全に困惑している柊のことなんて、完全に無視だ。勝負に真剣になっていて、相手の意思なんて関係ないんだと思う。
last updateLast Updated : 2026-01-04
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