私が言うと、レオくんは大きな溜息をついて、首を傾げた。「あんたの頭の中がわかんねー。バカか、サル以下か」「バカだけど、サル以下じゃないよ」「そうだろ。あんた、壮吾の事も、ちゃんと信じれたわけ?」話題が急に壮吾の事に変わり、ちょっと驚いたけど、『うん、当たり前じゃん』と頷いた。レオくんの眉が、ピクリと動く。本当に微かな動きだったけれど、普段表情を変えないレオくんの動きは、どんなに微かでも大きく見える。「どうして……。どうして、そんなに簡単に人を信じれるわけ?」「壮吾が、今は私だけだって。そう言ったから」何のためらいもなく答えたあたしを、レオくんはジッと見ていた。「確かに前に彼女はいたけど、きっぱり別れたし、ちゃんと私の事が好きだって言ってくれた。それだけで、十分じゃん」「それが、嘘だとか思わないわけ?」「思わない」「どうして」「好きだから」私は、ただそれだけ答えた。好きだから。それ以外に、理由なんてない。好きだから辛くもなるし、好きだから泣きたくもなるけれど。だけど、好きだから、幸せになれるし、信じる事ができる。「それだけじゃ、ダメ?」私が聞くと、レオくんは『アホくさ』と、絨毯に視線を落とした。「レオくんの事にも言えるよ。レオくんは、私にとって大切な存在だから、放っておけない。1人にできないの。それは、壮吾や、コウ先輩や日和だって同じだと思う。大切な友達だから、レオくんの事が気になるの。他に理由がいる?」またレオくんに問いかけると、レオくんは、ゆっくりと視線を私に戻した。無表情のレオくんからは、今何を考えているかは感じ取ることができないけれど。気持ち、少しは伝わった?みんなが、どれだけレオくんの事を大切に思ってるかって。レオくんは、1人じゃないんだって...…。カシャ――。静かな図書室で、何かの音がした。あまりにも静かすぎて、確実に聞き取れた音。聞き間違いじゃない。レオくんも、その音に反応していたから。だけど、何の音かはわからない。プリントが落ちるような、軽い音。私はその音の正体を、翌日登校した直後、すぐに知ることになった。
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