壮吾の言葉に頷いた私だけど。レオくんが、接客をしている姿が全く想像できない。それって、私だけ?接客業ということは、少なからず笑顔は必要なわけじゃん?レオくんの営業スマイル……。うーん……。やっぱり、想像できない。「レオくんのバイトってさ、レジとかするんだよね?」私が聞くと、「当たり前じゃん」と、日和がおかしそうに笑った。「ということは、『いらっしゃいませ』とか、言うんだよね」さらに続けると「急にどうしたの?」と、日和が眉をひそめた。「いや、何か、ほら。全く想像できないから。レオくんが笑顔で『いらっしゃいませ』って言ってる姿」私がそう言うと、『確かに、言われてみれば』と、3人が同じように頷いた。「そういえば、俺らって、まだレオのバイト姿見てねーよな」「ああ」壮吾の言葉に、コウ先輩が頷く。「レオのバイト先には行ったけど、結局、中には入れなかったしな」私はぐっと背中を丸めた。その原因は、私にあるから。申し訳なくて、顔を上げることができなかった。「んじゃ、今から行ってみる?もうすぐ、バイト終わる時間だし」「いらっしゃいませー」レオくんのバイト先の自動ドアをくぐったら、明らかにレオくんだと思われる声が一番に聞こえてきた。これで店長に怒られないのかと心配するほど、暗くて、超棒読みな声だ。この辺りには、ここだけしか本屋がない。小さな本屋だけど、中には結構な人が入っていた。ぞろぞろと中に入る私達に、レオくんは全く気づいていない。ぶっきら棒に、だけど、すごく真剣に、接客を続けていた。「カバーつけますか」「あ、いえ」「1,155円になります」言葉に強弱がなく、ずーっと同じ調子。もちろん、営業スマイルなんてしているわけもなく。「ありがとうございましたー」本当に有り難く思っているのか、と、思わず突っ込みたくなるレオくんの声。だけど――。レオくんの黒のエプロン姿。ビューティフル。接客業としてはいけないことなのかもしれないけれど、レオくんのように美しい男性に接客されたら、どんなに素っ気なくても、どんなに笑顔がなくても、全然いいと思えてしまう。もっともっと接客をしてほしいって思っちゃうほど、レオくんはカッコよくて、少し大人に見えた。
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