日和を悪い気持にさせないように、震える声をできるだけ抑えた。「うーん。それはそうなんだけど……。今までの経験からいっても、あまり効果がなかったものだから」私は口をつぐんだ。唇を噛みしめるのを日和に見られないように、俯きながら、日和の手からスケジュール帳を奪い取る。「一緒にご飯を食べたりとか、レオくんが一人にならないようにずっと一緒にいるとか、ずっとお兄ちゃん達がしてきたけど、結局今も変わらないままだし。親友のお兄ちゃん達にできないのに、私達にはそう簡単にはできないかもね。柊先輩が言うように、レオくん、結構手強いから」日和には、何も悪気がないんだってわかってる。むしろ、今までの経験上、私の考えた計画なんて意味のないものだって教えてくれてる。だけど、なぜか無性にイライラするんだ。そりゃ、私よりもレオくんと接している時間が長いのは日和だ。私よりも、レオくんの事をよく知っている。意味のある行動と、無意味の行動も判別できる。だけど、一度でもやろうと決めた事をこう簡単に否定されると、何て言うか、少しショックで、腹立たしくなった。日和には、やってみてダメだったとわかっても、私にはまだそれがわからない。それが本当にダメなのか、それとも少しは効果があるのか。自分の目で確かめたいんだ。「あっ、ちょ、美羽っ!!」日和の大声を振り切って、私は屋上に向かって走った。なぜ屋上なのかわからないけれど、私の足は勝手に屋上に向かっていたんだ。重たい鉄のドアを開けると、今日も爽やかな空気に包まれた。昼休みにもなると、屋上にはお弁当を広げて楽しげに話をしている人たちでにぎわっていた。こんなにぎやかな場所にレオくんがいるはずもなく、今度は階段を駆け下りた。屋上じゃなければ、あとは図書室しかない。図書室のある階の廊下は、屋上とは対照的にとても閑散としていた。図書室を利用する人の数が少ないのか、廊下を歩いている人も殆どいない。窓から図書室の中を覗いても、1人,2人椅子に座っているだけだった。静かに図書室のドアを開け、この前のように本棚の間を探す。もう足を踏んでしまわないように、慎重に、ゆっくりと。あった...。
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