尚子は、自分の服をたくし上げながら言った。「よしよし、欲しいんだろう?ママはちっとも飲ませてくれないものねえ。ほら、かわいそうに……」はなはもう我慢の限界で、尚子の部屋のドアを、蹴るようにして開けた。彼女は全身が震えていて、声までひどく震えていた。「な、何してるのよ、このクソばばあ。うちの子に何してるの!」服にかけている尚子の手が、胸元でぴたりと止まった。一瞬遅れて我に返ると、慌てて手を下ろした。「もう、ノックしてよ。しつけのなってない娘ね」はなは尚子の前まで一気に歩み寄り、赤ちゃんを奪い返すように抱きしめた。怒りで喉が詰まり、しばらく言葉も出なかったが、やがて震える声で吐き捨てた。「あなた……よくそんな気持ち悪いことができるわね」はなの言葉に、尚子はたちまち顔色を変えた。「なにそれ!誰に気持ち悪いって言ってんのよ。どうかしてるんじゃないの? 嫁のくせに、よくもそんな口がきけたわね。もう一度言ってみなさい。来希にすぐにでも追い出してもらうから」今日のはなは、これまでとはまるで別人である。少し前までは、毎日のように尚子の顔色をうかがい、機嫌を取っていたのに。それが今日は、こんな口のきき方をしてくる。「離婚」という言葉を聞いて、来希も駆けつけてきた。「今度は何を騒いでるんだ」来希は、すでに心身ともに疲れ切っている。前の一件からまだ立ち直れてもいないのに、また騒ぎが起きていて、頭が割れそうだ。はなは顔を真っ赤にして、吐き捨てるように言った。「恥知らず」「恥知らずってどういう意味?はっきりしてよ。ただじゃおかないからね」尚子はベッドから跳ね起きた。年のわりに、怒鳴る声だけはやけに張りがある。「どういうことだ」来希が顔をしかめると、はなは赤ちゃんを胸に抱き込んだまま、冷えきった声で言った。「この人、自分の服をまくって、赤ちゃんに吸わせようとしてたのよ。普通じゃないでしょう、そんなの。いい年をして、よくそんな真似ができるね。そんなに赤ちゃんに吸わせたいなら、自分で産んで、自分の子にやればいいじゃない。そんなことして、気持ち悪くないの?」尚子は怒りで顔を引きつらせた。さすがの来希も、責めるような目を母親に向けた。「母さん、何をしてるんだ」「何が悪いのよ。赤ちゃんなんて、そう
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