女手一つで息子たちを育て上げた志津にとって、我が身から分かれた子供たちは何物にも代えがたい存在だったはずだ。もし彼らがここまで落ちぶれていなければ、母として見捨てる選択など、断腸(だんちょう)の思いでもできなかっただろう。正人が裏で何をしていようと、長年この家から追い出さずにいたのは、志津の最後の慈悲だった。だが、その慈悲も今日、完全に底を突いた。彼女はついに、引導を渡す決意を固めたのだ。「母さん……あんまりだ。まさか、こんな結末になるなんて。いいだろう、勝手にするがいい!」正人は悲嘆に暮れたような声を上げたが、その瞳に宿っているのは、家族への憎悪とどす黒い怨念だった。正人たちは、嵐のようにその場を去っていった。今日は志津の誕生日である。たとえどれほど憎み合っていようと、親を敬う心がひとかけらでもあるならば、せめて今日という日が終わるまでは留まるべきだった。彼らの背中は、志津への情愛が完全に枯れ果てていることを物語っていた。早苗は、目的を果たせぬまま引き下がることに納得がいかず、なおも食い下がろうとしたが、顔を真っ赤にした正人の気迫に押され、連れ出されるように邸を後にした。だが、彼らがこのまま引き下がるはずもない。彼らの心にあるのは反省ではなく、「不当に奪われた権利を奪還する」という歪んだ執念だけだった。彼らが嵐のように去った後、広い屋敷に残されたのは、志津とその家族だけだった。「お義母様、あんな人たちのために心を痛めないでください。腹を立てる価値もありませんわ。まさか義兄様たちが、あんな風にまで成り下がってしまうなんて……お義母様が律に会社を委ねたのは、彼を心から信頼し、経営者としての資質を認めてのこと。それは重々承知しております」朱美はそう言って志津の手を優しく包んだ。「律なら、決してお義母様を失望させません。あの一家には不公平に映るかもしれませんが、私はお義母様の決断を全面的に支持します。それは律が私の息子だからではありません。彼こそが、お義母様が一生を賭して築き上げたこの会社を、守り、発展させていける唯一の人間だと信じているからです。あの会社は、お義母様の血と汗の結晶なのですから」朱美は一見すると気が強く、近寄りがたいほどの威厳を放っているが、その本質は極めて理知的だ。物事の道理を誰よりも深く理解し、本質を見抜く聡明さ
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