志保は心の中で毒づきながら、どうにかしてこの最悪の盤面をひっくり返すための糸口を、血眼になって探し始めていた。二人が門の外で熱を帯びた声で言い争っていると、いつの間にか背後まで近づいていた颯馬が、重い口を開いた。「二人とも……さっきのおばあちゃんの言葉、ちゃんと聞いていたよね。あの言葉の真意も分かっているはずだ」颯馬は、両親の浅ましい会話をすべて聞いていたのか、ひどく落胆したような暗い瞳を向けてきた。「もし純粋におばあちゃんを気遣う気持ちがあるなら、こちらに戻ってくるのは構わないと思う。僕を受け入れてくれたように、おばあちゃんは二人だって受け入れてくれるはずだ。どうであれ、父さんは実の息子なんだから。……でも」颯馬はそこで言葉を区切り、両親を真っ直ぐに見据えた。「最初からおばあちゃんとまともに向き合う気なんてなくて、ただ遺産や利益のためだけに戻ってきたんなら……こんな茶番はもうやめてほしい」「颯馬……」宏が気まずそうに目を逸らす一方で、颯馬の言葉にはさらに切実な熱がこもった。「どうして心の中におばあちゃんへの愛情すらないのに、わざわざ引っ掻き回すような真似をするんだよ?僕にはどうしても理解できない。二人は一度だって、おばあちゃんの立場になって考えたことがないじゃないか。あの人がこれまでどれほど重いものを背負って、苦労してきたか……少しでも想像したことがあるの?二人の目には、自分の利益しか映っていないのか?」颯馬の胸は、やり場のない悲しさと怒りで締め付けられていた。「向こうにいた頃は、あんなに穏やかで幸せに暮らしていたじゃないか。それなのに……どうしておばあちゃんのことになると、急にそんなに人が変わったみたいに欲深くなってしまうんだよ。僕は、そんな二人の姿なんて見たくなかった!」颯馬の胸の中には、確かな祖母への情があった。だからこそ彼女の厳しい決断も理解できたし、それに不満などない。むしろ、醜い欲に憑りつかれている自分の両親の姿こそが、彼には耐え難かったのだ。しかし、その純粋な訴えは、志保の心には欠片も響かなかった。「颯馬、物事はあなたが考えているほど単純じゃないのよ!」志保は息子の言葉を強く遮り、苛立ちを露わにした。「あなたがこの国に留まるというなら、父さんも母さんも、あなたに確固た
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