しかし、正人は全く引き下がる気配がない。どんな手を使ってでも会社を自分の手中に収めると息巻いており、目的を果たすまでは絶対に諦めないという執念が滲み出ていた。彼らの生き様を見ていると、紫音は哀れでならなかった。自分の力で正当に努力して地位や富を築く道もいくらでもあったはずなのに、正人は昔から何一つ努力することなく、ただ怠惰に身内に寄生し、利権の甘い汁を吸うことしか考えてこなかった。その果てに、こんなにも醜い怪物に成り果ててしまったのだ。「もう……いい加減にしてください!」耐えきれず、紫音は鋭い声を上げた。「志津様は今も、あの扉の向こうで生死の境を彷徨っているんですよ!?あなたたちが実の息子だと言うなら、今すべきことは、いつ延命治療を打ち切るのか、それとも最期までどうやって安らかに見送るのかを話し合って、決断することでしょう!」紫音は怒りと悲しみで声を震わせながら、正人と宏を真っ直ぐに睨みつけた。「それなのに……こんな時に遺産や権力のことばかり。あまりにも見当違いだと思いませんか?あなたたちの頭の中がどうなっているのか、私には到底理解できません。でも、これだけははっきり言っておきます。私は、志津様を心から慕っています。これまでずっと温かく接してくださったあの方を、絶対に見捨てたりはしません」紫音の瞳には、一切の迷いがなかった。「志津様のことには、最後まで関わらせてもらいます。あなたたちが実の息子であろうと、私が志津様の傍に残り、最期の瞬間まで寄り添うことを邪魔する権利はないわ。誰にも、私をここから追い出すことなんてできはしない!」目の前に立つ、血の繋がった実の息子たち。そのあまりにも冷酷で無慈悲な姿に、紫音は心底から冷え切るような絶望を覚えた。この世界に、ここまで血の通っていない人間が存在するなんて……彼らの浅ましさを目の当たりにして、紫音はようやく理解した気がした。なぜ、志津があれほどまでに深く傷つき、心を閉ざすように生きてこなければならなかったのかを。もし自分が彼女の立場なら、実の息子たちから向けられる欲まみれの刃に、とうの昔に心が折れ、耐えきれなくなっていただろう。志津は、本当に強い人だった。長年、一人で全ての重圧と悲しみを背負い込んで、巨大な拝島グループを守り続けて
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