紫音が明るく言い放つと、しんみりとしていた空気がふわりと温かく和らいだ。最近の州は、自分の仕事すらも二の次にして、有加里の看病に心血を注いでいる。至れり尽くせりで彼女を世話する兄の姿に、紫音は心からの安堵を覚えていた。本当に、よかった……心から愛する人のそばにいられること。それがいかに幸福で、奇跡のようなことか。世の中には、どれほどお金や権力があっても、愛のない相手と結ばれて冷え切った人生を送る者などごまんといる。拝島家のドロドロとした人間模様を見てきた紫音だからこそ、その残酷さは痛いほどわかっていた。どんな困難が立ち塞がろうとも、決して互いの手を離さない。試練を乗り越え、魂から愛し合う兄と有加里の絆は、紫音にとって最高に眩しく、少しだけ羨ましくなってしまうほどに尊く、美しいものだった。「おいおい、二人とも。そんな深刻な顔をしてどうするんだ。すべては時間が証明してくれるさ。俺たちがこうして、ずっと一緒にいられることだけで、これ以上の幸せはないんだから」州が照れ隠しのように明るい声を出して、しんみりとした空気を吹き飛ばした。「それに、国内外の腕利きの専門医たちに診てもらった結果、有加里の病気は絶対に回復の希望があるって言われたんだ。今の状態を維持しながら前向きに治療を続けていけば、必ず道は開けるってな」その言葉を口にする州の表情は、どこまでも明るく力強かった。彼女を救うために八方手を尽くしたことは、決して無駄ではなかったのだ。有加里が希望を持って未来を生きられる――その事実が、州に途方もない安堵と喜びをもたらしていた。これは有加里にとってだけでなく、州にとっても新しい人生の始まりだった。ただ、未だに母親である琴音にどう向き合うべきか、明確な答えは出ていない。かつて琴音と交わした約束は、「二人の交際は認めないが、彼女が闘病している間だけは、責任ある男としてそばで看病することを許す」というものだった。いずれ有加里が完治したとき、再び母親という大きな壁にぶつかることになる。それでも州は、今度こそ絶対に逃げずに立ち向かう覚悟を決めていた。「そういえば……律の家のゴタゴタは、今はどうなってるんだ?」ふと、州が真剣な顔つきで紫音に尋ねた。「正直、一番キツいのは律の奴だろうな。親族たちを相手にするだけでも骨が折
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