紫音と蘭が血の滲むような思いで立ち上げ、ようやく今の軌道に乗せた大切な会社。もし何かがあってこれまでの苦労が水の泡になってしまうようなことになれば、悔やんでも悔やみきれない。だからこそ、どんなトラブルであろうと、絶対に自分たちの力で解決しなければならなかった。二人で力を合わせてきたからこそ、乗り越えられない壁はないと信じている。電話越しの蘭の声は比較的落ち着いていたので、会社の存続に関わるような致命的な事態ではないだろう。だが、たとえ小さな火種であっても、放置すればあっという間に大火事になりかねない。「分かったわ。今からすぐにそっちへ向かう。オフィスで待っていてちょうだい。……そうだ、行く途中で何か甘いものでも買っていくわね」「本当ですか?ありがとうございます!」「私と蘭の仲じゃない。遠慮なんていらないわ。何が起きているにせよ、オフィスで落ち着いて待っていて。私がなんとかするから」その紫音の頼もしい言葉に、電話の向こうの蘭は心底救われたような声を出した。どんなトラブルが起きても、紫音というブレない柱がいれば「なんとかなる」と思える――それが、蘭にとってどれほど心強いことか。通話を終えた紫音は、心配そうにこちらを見ている朱美に向き直った。「朱美さん、申し訳ありません。もし他にお話がなければ、私はこれで一度会社へ戻ります。今、アシスタントから電話がありまして、会社で少しトラブルがあったみたいなんです。詳しい状況は分かりませんが、あの子を一人で残しておくわけにはいかないので」「ええ、電話の様子からただ事じゃないのは分かったわ。急いで行ってあげなさい」朱美は優しく頷き、紫音の肩をそっと叩いた。「いいこと、紫音さん。どんな問題が起きたとしても、絶対に焦ってパニックになってはだめよ。冷静に構えなさい。あなたなら絶対に乗り越えられると、自分自身を信じるのよ」「ありがとうございます。私なら大丈夫です。この数年、会社を経営してきて、それこそ数え切れないほどの修羅場をくぐり抜けてきましたから。ここまで来るのは本当に大変でしたが、トラブル対応にはすっかり慣れっこなんです」紫音は自信を覗かせて微笑んだ。「そう、なら安心ね。でも、もし自分たちだけではどうにもならない事態になったり、誰かの力が必要になったりしたら、絶対に一番に私に相談
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