頬を赤くして照れる蘭と、デレデレに甘い視線を送る浩一。目の前で繰り広げられる甘ったるいやり取りに、紫音は呆れたように大きなため息をついた。「……失敗したわ。二人についてくるんじゃなかった」紫音はわざとらしく肩をすくめ、ジト目で二人を睨みつけた。「ご飯を食べる前に、あなたたちの放つ甘い空気のせいで胸焼けしてお腹いっぱいになっちゃったわ。目の前でイチャイチャを見せつけられる身にもなってちょうだい」紫音の冗談めかした恨み節に、浩一と蘭は顔を見合わせ、直後にプッと吹き出した。「あははっ!紫音さん、ごめんなさい!」「悪かったよ、紫音。そんなに妬ましいなら、次は律がいる時にダブルデートでもするか?」ケラケラと楽しそうに笑う二人を見ているうちに、紫音もなんだか毒気を抜かれてしまい、気づけば一緒になってクスクスと笑い声を上げていた。本当に、笑顔というのは伝染するものらしい。会社を揺るがす深刻な事態の真っただ中だというのに、この瞬間だけは、紫音の心からも重いプレッシャーがスッと消え去っていた。三人で料理の注文を済ませて一息ついたものの、紫音の頭の中は依然として会社のデータ盗用事件のことで占められていた。「ねえ、浩一さん。会社の問題について、何か具体的な解決策は思いついているの?」テーブル越しに、紫音は単刀直入に切り出した。「もし何かプランがあるなら、遠慮なく教えてちょうだい。正直、この件にはずっと頭を抱えていたの。一日でも早く処理を終わらせて、みんなで心から安心したいわ」「任せておけって。俺から言い出した以上、ちゃんと勝算はあるんだ」浩一は自信ありげに頷き、少し身を乗り出した。「どう動くかはもう頭の中で組み上がってる。ただ、実行するにあたって、少し外部の助っ人を頼みたいんだ」「外部の人間を……?」紫音は思わず眉をひそめた。自社の、しかも機密データの根幹に関わる致命的なトラブルだ。得体の知れない第三者を安易に介入させることには、経営者として強い警戒心を抱かざるを得ない。彼女の心中を察した浩一は、慌ててフォローを入れた。「あ、心配するな。そいつは絶対に信頼できる筋の人間だ。それに、事情を馬鹿正直に全て話すつもりはない。『うちの会社のシステムが少し厄介なことになってるから、技術サポートをしてくれ』とだけ
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