紫音は、出会った頃からずっと自分を支え続けてくれた律に、今度こそ自分が寄り添いたいと強く願っていた。トラブル続きで心身ともにすり減る毎日の中で、こうして二人きりで心穏やかに向き合える時間は、本当に貴重だったからだ。紫音のまっすぐな想いに触れ、律は少しだけ目を伏せ、自嘲するように淡く微笑んだ。「……おばあちゃんは、私にとって誰よりも大切な、絶対に代わりのきかない存在だったよ」静かな部屋に響く律の声は、いつもより少しだけ低く、深い喪失感を滲ませていた。「彼女の年齢を考えれば、いつか必ず別れの日が来ることは頭では理解していた。自分なりに、その瞬間に向けて心の準備をしていたつもりだったんだ。だが……いざ本当にその時が訪れると、事前の覚悟など全く意味をなさなかった。今でも、どうしようもないほどの深い悲しみに襲われる時がある」律の長い睫毛が伏せられ、その整った横顔に切ない影が落ちた。「一人になると、彼女がそばにいてくれた時のこと、どれほど無条件の愛情を私に注いでくれたか……そればかりが頭に浮かぶんだ。私をこのビジネスの世界に導き、人の上に立つ者の在り方を教えてくれたのも彼女だった。それなのに、彼女は私に最後の一言すら残さず、あまりにも突然逝ってしまった」律の声に微かな震えが混じるのを、紫音は確かに聞いた。「彼女は、心底善良で、愛情深い人だった。拝島の親族たちがどれほど腹の底で彼女を疎んじ、軽視していようと、彼女は決して彼らを見捨てることはなかったし、冷酷な決断を下すこともなかった。……私が今、こうして拝島グループの実権を握り、あの泥沼の中で家を守ろうとしているのは、そのためなんだ」律はゆっくりと顔を上げ、強い光を宿した瞳で真っ直ぐに前を見た。「彼女が生涯をかけて守り抜こうとしたものを、決して無駄にしたくない。もし彼女が天国から私を見ているなら、私が一族を見捨てて冷酷な復讐者になることを、きっと悲しむだろうからね。それが、私が今あの場所で戦い続けている最大の理由だよ」そして、律は紫音へと視線を移すと、いつもの優雅で甘い微笑みを取り戻した。「でも、安心して。この悲しみに飲み込まれて、自分を見失うような真似は絶対にしないから。それに……君は自分の会社の問題や、お兄さんのことで十分に心を痛めている。これ以上、君を拝
Leer más