「お前は昔から優秀で、私たちに少しの苦労もかけない自慢の息子だった。今回、病院のことをお前に知らせなかったのも、本当に心配するような状態じゃなかったからだ。だから、どうか自分を責めないでくれ。……お前、また少し痩せたな」かつては気品と活力に満ちていた長男の、あまりにも憔悴しきった姿を目の当たりにして、父親である隆之介の胸には焦燥感と深い痛みが走った。「有加里さんのことだが……父さんも、この期間ずっと色々と考えたよ」隆之介の声は、どこまでも穏やかで慈愛に満ちていた。「母さんが彼女を頑なに拒絶したのは、他でもない、お前の未来を心配してのことだ。親心ゆえの不器用な愛情なんだよ。だがな、州。お前がどんな決断を下そうとも、父さんはお前の味方だ。たとえ母さんがどれだけ強硬に反対しようと、私たちは永遠に家族だ。お前にとって、帰るべき場所はいつだって『家(うち)』なんだ。何があっても、いつでも戻ってきていいんだぞ」震える息子の背中を優しく叩きながら、隆之介は言葉を紡ぐ。「父さんはただ、お前には笑っていてほしいんだ。昔から誰よりも努力家で、常に前を向いていたお前が、ここまで追い詰められ、ボロボロになっている姿を見るのは……父親として、本当に身を切られるほど辛い」昔から責任感が強く、どんな困難も己の力だけで乗り越えようとする強がりな息子だ。隆之介は、そんな息子のために自分ができることは何もないのだろうかと、ずっと歯痒い思いを抱え続けていたのだ。「今はただ、母さんが少し体調を崩しただけのこと。お前がこうして顔を見せてくれて、家族が一緒にいられる。それだけで十分じゃないか。これ以上、いらぬ罪悪感に囚われる必要なんてないんだよ」実は、隆之介の中ではとうに答えが出ていた。どんな試練が降りかかろうと、家族の絆さえ見失わなければそれでいい。それに、彼は決して息子が間違った道を進んでいるとは思っていなかった。むしろ、死の淵に立つ愛する女性を見捨てず、すべての重圧を背負ってでも彼女の側にいようと決断した州を、一人の男として誇りにすら思っていたのだ。逃げ出すのは簡単だ。だが、苦境にある愛する者を切り捨てるような男にはなってほしくなかった。もし州が世間体や家族からの圧力を理由に有加里を見捨て、そのまま彼女が孤独にこの世を去ってしまった
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