湊は、麗華が並べ立てた言葉を一つ一つ拾い上げ、噛み砕くように吐き捨てた。「剛造という後ろ盾を失った途端に崩壊するような砂上の楼閣を、誰が買い取ると思う。君のブランドには、最初から何の価値もなかったんだ。剛造の資金洗浄の隠れ蓑として、体よく利用されていただけにすぎない」「違う! 私の才能よ! 私のデザインは世界で……」「君には、愛もプライドもなかった」 湊の言葉は、重い鉛の塊のように麗華の頭上に落ちた。「あるのは、中身のない虚栄心だけだ」 麗華の口が、金魚のようにパクパクと開閉する。反論の言葉を探しているようだったが、喉からはヒューという空気の漏れる音しか出てこない。「君が欲しかったのは僕じゃない。九龍の権力と、自分を飾り立てるための金だ。……二度と、僕と朱里の前に姿を現すな。次は容赦なく警備を呼ぶ」 湊はそれだけを告げると、私の手首を引いて車の方へ歩き出そうとした。 張り詰めていた見えない糸が、プツンと切れたような気がした。 麗華の肩からガクンと力が抜け、彼女は膝から崩れ落ちそうになるのを、必死に足を踏ん張って堪えていた。 私は、湊の背中から一歩横へずれた。 彼に守られているだけじゃ駄目だと思った。 私の視線に気づいた麗華が、ゆっくりと首を巡らせてこちらを見た。 その目には、以前のような見下すような光はない。泥水をすすらされたような疲労感と、行き場のない怨嗟の色が渦巻いていた。「……朱里」 掠れた声で、私の名前を呼ぶ。「あんた、満足でしょうね。私がこんな惨めな姿を晒して、這いつくばってるのを見て」 私は首を横に振った。「満足なんてしてない。……ただ、悲しいだけ」「同情する気!? ふざけないでよ!」 麗華が顔を歪め、噛みつくように叫んだ。「あんたなんか……ただ運が良かっただけじゃない! 偶然、湊の目にとまって、運良く拾われただけのくせに! 私の方がずっと努力してき
続きを読む