視線の高さが同じになり、黒曜石のような真っ直ぐな瞳が、至近距離で私を射抜く。 その目には、深い後悔と、隠しきれないほどの痛切な熱が満ちていた。「……志保からの手紙と、君の残したメモを読んだ」 その言葉に、私はハッと息を呑んだ。「君が僕を守るために、どれほどのものを一人で背負おうとしてくれたか。……それを知って、僕は自分がどれだけ愚かで、傲慢だったか思い知らされたよ」 湊は、私の手を握る力を少しだけ強めた。「君を遠ざければ守れるだなんて……そんなのは、ただの僕の自己満足だった」 私は首を横に振り、彼の言葉を遮った。「私こそ……あなたの気持ちをわかってなかった。私が離れればすべて解決するなんて、思い上がりもいいところだった。……あなたが一人で戦う理由をなくして、あんな絶望した顔をしてるのを知って……自分がどれだけ残酷なことをしたか、わかったの」 お互いに、相手を守ろうとして自己犠牲に走り、結果的にお互いを一番深く傷つけてしまった。 その滑稽なすれ違いに気づき、私は思わず涙腺が緩むのを感じた。「……お互い様だな」 湊は短く息を吐き、自嘲気味に口の端を上げた。 そして、ゆっくりと立ち上がると、傍らのガラステーブルの上に置かれていた一束の書類を手に取った。 それは、剛造が会場でばら撒いた『婚約者業務委託契約書』のコピーだった。 無機質な明朝体で印字された『月額三百万』『業務外接触禁止』といった冷たい文字列が、オレンジ色の照明の下で白々と浮かび上がっている。 湊は、もう片方の手をスラックスのポケットに突っ込み、シルバーのジッポライターを取り出した。「湊……?」「この紙切れのせいで、僕たちは余計な回り道をした。君を縛り付け、苦しませた」 湊の親指が、ライターのホイールを弾く。 カチャリ。乾いた金属音が、静まり返った控
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