絵里は慌てて梨乃の手を握りしめ、その昂る感情を宥める。怯えきった彼女の姿に、絵里の胸には激しい怒りと痛切な愛おしさが込み上げてくる。ようやく梨乃が落ち着きを取り戻し、絵里はどうにか事の顛末を聞き出すことができた。恋愛沙汰で自殺未遂だなんて、笑わせるにも程がある。梨乃は家でショートドラマを見ながら、鈴木が買い出しから戻って美味しい料理を作ってくれるのを待っていただけだったのだ。それなのに、見知らぬ男たちが突然押し入ってきて、彼女が寝付けない時に使っていた睡眠薬を、力任せに喉の奥へと流し込んできたという。相手は二人か三人。手足を押さえつけられ、抵抗することすら叶わなかった。やがて強烈な薬効が回り、助けを呼ぶ暇もなく意識を失ってしまったのだ。思い出すだけでも恐ろしいのか、梨乃は強張った手で絵里の手を握り締め、怯えた瞳で見つめてくる。「そうだ……意識が朦朧としてた時、あいつらが言ってたの。『恨むなら絵里を恨め。身の程もわきまえず、手に入らないものを欲しがったあいつが悪い。お前を死なせるのは絵里だ』って」化けて出るなら絵里のところへ行け、とまで言われた。だが、その言葉は絵里を苦しませたくなくて、梨乃は胸の内に飲み込んだ。梨乃に睡眠薬を飲ませたのは、洋二が差し向けた連中に違いないと絵里は確信していた。目的は、絵里を脅して裕也から手を引かせること。雪枝と何ら変わらない残忍な手口だ。もし鈴木が異変に気づいて通報し、駆けつけてくれなければ、梨乃の命はなかった。「ごめんなさい、梨乃。あいつらの狙いは私だったのに、巻き込んじゃって……」絵里は罪悪感に苛まれながら謝罪する。まだ衰弱しきっているというのに、梨乃は絵里が自分を責めるのを恐れ、その手をしっかりと握り返して優しく宥める。「いいのよ。絵里は何も悪くない。悪いのは、そんな汚い真似をする連中なんだから」無条件で自分を信じ、庇ってくれる梨乃の優しさに、絵里の目頭が熱くなる。「絶対に泣き寝入りなんてさせない。あなたを傷つけた奴には、必ず相応の報いを受けさせるから」だが、梨乃の表情は晴れず、深い憂いを帯びていた。絵里が口にしなくとも、黒幕が一筋縄ではいかない相手であることくらい察しがついている。「絵里、今はやることがたくさんあるでしょ。私のことで無理しない
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