夫である柴田翔太(しばた しょうた)の浮気を知った望月菜々子(もちづき ななこ)は、彼に離婚を申し出た。しかし、家に帰る途中で交通事故に遭い、記憶を失ってしまう。彼女が目を覚ますと、そばには何食わぬ顔で夫の顔をした翔太がいて、菜々子に拉致されたショックで記憶を失ったのだと説明した。その日を境に、菜々子は山頂の別荘に閉じ込められることになった。「お前がこれ以上傷つくのは耐えられない」翔太はそう言って、彼女を守るためだと、このセキュリティ万全の別荘を用意した。こうして菜々子は、翔太によってまるで鳥籠の中のカナリアのように3年間も匿われていた。そんなある日、別荘に一人の女が乗り込んでくるや否や、花瓶を手に取り、菜々子の頭を殴りつけた。しかも、いつも菜々子の言うことを何でも聞いてくれていた使用人たちも、助けようとしないどころか、その女を「奥様」と呼ぶ。その瞬間、激しい頭痛とともに菜々子の記憶がすべて蘇り、自分の頭を殴った女こそ、翔太の浮気相手だったことも思い出した。それは、菜々子が実の妹のように可愛がり、ずっと金銭的に助けてきた女子大生・杉山美優(すぎやま みゆ)だった。……意識を取り戻した菜々子は、鼻につく消毒液の匂いを感じた。なんとか必死に目を開けようとするが、まぶたが重く上がらない。ただ耳元で、翔太が誰かを低く咎める声だけが聞こえてきた。「美優、お前やりすぎだろ。菜々子を傷つけていいなんて誰が言った?」「ごめんって。ちょっとヤキモチ妬いちゃっただけじゃない」美優のとろけるような甘い声を聞き、菜々子の背筋に悪寒が走る。「火木土は菜々子のところに行くけれど、月水金は私と一緒にいてくれるって約束してくれたでしょ?でも……」美優は恨めしそうに翔太を見つめ、赤い唇を軽く噛んだ。そして甘えるような声を出す。「この1週間、ほとんどあの女と一緒にいたじゃない。誰だって、ヤキモチぐらい妬いちゃうよ」その言葉に気を良くしたのか、翔太の表情が少し和らいだ。「だからといって、頭を殴るなんてだめだろ?それに、お前がこんなことしたら、俺は菜々子になんて説明すればいいんだ?」翔太は、咎めるような顔つきで美優を見る。しかし美優は悪びれる様子もなく、彼の袖を引っ張った。「それなら本当のことを話せばいいじゃない。だっ
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