貴臣は首をかしげた。「どうした」「彼女がお前を信じると言ったからって、それで気を緩めていい理由にはならない」暁は貴臣をまっすぐ見据え、一語一語噛みしめるように言った。「お前は今夜、もう一度失敗している。彼女がどれだけお前を信じていようと、次はもうないと思え」「お前に言われるまでもない」「あえて言わせてもらう」暁は視線を逸らさなかった。「彼女を、絶対に守れ。もし次、桐生家のせいで心愛がまた病院に運ばれるようなことがあれば、私は二度と彼女をお前のそばには置かない」貴臣の顔に浮かんでいた余裕げな表情がわずかに消え、声も低く沈んだ。「言ったはずだ。彼女は俺が守ると」「そうであることを願う」暁は静かに言った。「忘れるな。お前が守りたいから守るんじゃない。彼女に、二度と同じ思いをさせてはならないんだ」病室の空気が、再びぴんと張り詰めた。心愛は二人を見つめながら、胸の奥にたまっていた疲労がじわじわと押し寄せてくるのを感じていた。本当は、もうこんな話は聞きたくなかった。誰が自分を守るのか、誰が優しくしてくれるのか、誰が何を間違えたのか――今の彼女には、それを一つひとつ整理する気力すら残っていなかった。ただ、今夜立て続けに起きた出来事があまりにも多すぎて、頭の中が今にも限界を迎えそうになっていることだけは分かっていた。もうやめてほしい――そう口を開きかけた、その時だった。病室の外から、慌ただしい足音が響いてきた。次の瞬間、ドアが勢いよく開いた。静香だった。明らかに急いで駆けつけたのだろう。髪は少し乱れ、羽織っている上着もきちんと着られていない。その後ろから正国も入ってきた。彼も顔色は悪かったが、静香よりはわずかに落ち着きを保っているように見えた。静香は部屋へ入るなり、真っ先にベッドの上の心愛へ視線を向けた。その瞬間、彼女の顔から血の気が引いた。「心愛」その呼びかけには、隠しきれない焦りが滲んでいた。静香は数歩でベッド脇まで駆け寄ると、隣に誰がいるかなど目もくれず、まず心愛の顔を覗き込み、次に額へ手を伸ばし、最後に点滴のボトルへと視線を移した。その手は、かすかに震えていた。「どうしてこんなことになったの。少し休むだけって言っていたじゃない。どうしてまた病院に運ばれ
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