蚊に刺されたようにも見えるそれを最初は気に止めていなかったが、それを囲むように点線状の凹みも見つけた瞬間、優希の目は釘付けになった。 だいぶ薄いが、カーブを描いたその凹みは歯型のように見える。 「下ろしますね。」 もっとよく見ようとしたが、暁春の言葉に思わず自分の足元を見てしまい、気づいてすぐに顔を戻すも、襟で隠れていた。 優希は大人しく浴槽に浸かる。しかし頭の中では先ほどの光景が揺れていた。 歯型………? なぜ? 暁春に促されるまま頭を湯船の縁に倒した優希は暁春をまっすぐ見た。 湯気で曇った眼鏡は既に外され、視界はぼやけているが、逆さまになった暁春の顔は認識できる。 「…あなたは脱がないの?」 シャワーを手にした暁春に、優希は静かに声をかけた。 動揺を悟られないよう全神経を集中していたが、その表情は硬かった。 「一緒に入りたいんですか?」 「うん。」 楽しげに目を細めて冗談めかして言う暁春に優希は即答した。 早く確かめたかった。 いつもなら恥ずかしがる優希が、なんの躊躇いもなく肯定したことに暁春の手が一瞬止まり、優希の顔に目を向けた。 隠せていない動揺をどう思ったのか、一段と優しい笑みを浮かべ、傷口を避けながら優希の頭をシャワーで濡らしていく。 「怪我をしているんですから、今日は我慢してください。」 温かいお湯は本来ならリラックス出来るはずなのに、優希の体は力が入ったままだった。 見間違いだったのかと思うほどいつも通りの暁春に、優希は顔を直視できなくなり目を閉じた。 そうよ…見間違い。一瞬だったし…。胸の不快感を飲み込み自分に言い聞かせる
Last Updated : 2026-02-15 Read more