悟は優希の問いに、ちらりとミラー越しに彼女を見た後、また目線を前に向けた。 「たしかに、奥様のことは公表していないので、あわよくばという方はいらっしゃいます。」 「…実際に体の接触はあるのかしら?」 「相手側が酔って境界を越えようとすることはあります。避けられずに接触してしまうことも、何度かありました。」 (…昨日の説明は一応本当ということなのかしら…。) だとしても自分の夫に触れた女性がいると思うと、優希の気分は晴れない。 「…もし今後、暁春にそのようなことがあったら、私に教えてくれるかしら?」 「承知致しました。」 本当は暁春から教えてもらえればいいのだが、時には本人から聞くより他人から聞いた方が信憑性がある場合もあると知ったから、悟にお願いすることにしたのだ。 有美にも聞けなくはないが、暁春の件では彼女を頼りたくなかった。 「では奥様、次回お出かけの際には運転手をお呼びください。社長は奥様が運転することがないようにと仰せでした。」 自宅に着くと、悟が運転席から降りて後部座席のドアを開けながら言った。 優希は車から降りると振り向いて「わかったわ。」と返す。 優希に会釈をして再び運転席に戻る悟を見送り、玄関の鍵を開けた。 スリッパに履き替え、リビングのソファに座ると、大きく息を吐く。 1日留守にしただけなのに、しばらく不在にしていたような感覚になるのは、昨日が色々と濃い1日だったからだろうか。 ひとまず暁春に帰宅したことをメッセージで送り、立ち上がった。 寝室へ行き、クローゼットの中の箪笥を開けると、ピンクの缶を取り出した。 蓋を開けると今朝の暁春のメモと、エコー写真を入れる。 先日のエコー写真はギフトボックスに入ったままだった
Last Updated : 2026-02-23 Read more