次の日起きると、昨日同様既に隣に人はいなかった。しかし階下で人が動く音がするため、どうやらまだ出かけてはいないようだ。今日は見送りに間に合ったことに安心した優希は、眼鏡をかけるとパジャマのまま寝室を出ていった。 キッチンを覗くと暁春の背中が見えた。優希のチェック柄のエプロンを着けた後ろ姿は広い肩と細い腰が強調され、そのスタイルの良さを際立たせていた。身につけた黒いシャツと同色のスラックスがどこか冷たい雰囲気を感じさせ、昨晩の柔和な印象は消え去っていた。捲った袖から露出した腕は血管が浮き、動く度に筋肉が隆起するのが見えた。 胸が熱く感じた優希はゆっくりと近づき、暁春の腰に抱きつく。普段は恥ずかしがって自分から親密なコミュニケーションを取れない彼女だが、今は背中を向けられているから大胆になれた。 広い背中に額を押し付けると、振動から暁春が小さく笑ったのが分かった。幸福感に満たされ、優希の口元にも笑みが浮かぶ。体を振り向かせた暁春がその唇に軽く触れると優希の顔が赤くなった。急いで腰に回した腕を外そうとするも、暁春の手に捕まえられた。 「おはようございます。フルーツジュースを作りました。オレンジとグレープフルーツを使っているので、疲労回復に効きますよ。」 優希は暁春が言った疲労の原因を思い出し、耳まで赤くした顔でお礼を言う。 フルーツジュースを受け取ると爽やかな香りが気分をスッキリさせた。 「朝食は作ってます。昨晩残したものは、食べられそうなものは冷蔵庫に入れておきました。」 暁春に腰を抱かれながらダイニングテーブルに歩いていく。今日はバターロールとコーンポタージュだった。 パンを食べながら、優希はこっそりと暁春を見る。機嫌は良さそうに見える。 今なら言えるかも…? 「あ」 「何か新しい事を始めたらどうですか?」 優希が声を出しかけた瞬間、またしても暁春に遮られる。開けた口を誤魔化すようにパンを頬張った。 「ヨガとか外国語とか絵画とか、趣味を見つけてみたら
Last Updated : 2026-01-29 Read more