「分かりましたよ。同じ部屋で寝ますから」その言葉が魔法の薬のように効いたのか、彰人は見違えるように顔を輝かせた。「それならいい」彼は優しく綾の手を叩き、「綾ちゃん、頑張ってくれよ。青木家の子孫繁栄のためにも」と笑った。綾は顔を真っ赤にして、言葉に詰まってしまった。幸いにも、彰人はそれ以上追及せず、さっさと寝るように促した。ビアンカが寝静まった後、綾はためらいながら部屋へ向かった。そこは、綾と健吾の部屋だが、今の綾にはまるで自分がよそ者にでもなったかのような気分だった。健吾は既にお風呂を済ませ、バスローブ姿でタブレット端末を操作していた。バスローブの胸元のボタンは外されており、鎖骨の下から、鍛えられた胸筋がかすかにのぞいている。綾がお風呂を終えて戻っても、健吾はその体勢のまま動かなかった。柔らかな照明が、彼の彫りの深い整った顔立ちを照らし、いっそう男の色気を引き立てていた。金茶色の髪が昼間よりも輝いて見えたが、その表情はとても穏やかだった。ふわりとした髪の質感が、触れてみたいと思わせる。部屋には大きなベッドと一人用ソファしかない。彼女にはソファで寝るという逃げ道さえなかった。少し迷ったが、綾はビアンカと添い寝させてもらおうと踵を返した。健吾は目を細め、「おじいさんに俺が怒られることになるぞ?」と言った。綾も負けじと言い返す。「じゃあ、私に床で寝ろと?」余分な布団も部屋にはない。完全に、逃げ場のない罠にかかってしまったようだ。「こっちへ来い」「え?」綾は驚いて健吾を見た。納得がいかなかったのだ。健吾は素っ気なく言った。「おじいさんのためだ。俺も我慢してやるよ」綾は鼻で笑った。「どう考えても損をするのは私じゃない?」ベッドへ向かい、布団の端に寝転ぶ。健吾とは半身ほど距離を空けていた。健吾もタブレットを閉じ、横になった。紛れもなく夫婦であり、何度も愛し合った間柄だったはずだ。なのに、今は端っこで背を向け、まるで見知らぬ同居人のようだ。笑い話にもならない状況だ。綾は湊の体調が気がかりで、布団の中でも寝返りを繰り返し、なかなか眠れなかった。ベッドの反対側にいる健吾はとても静かで、眠りについているようだ。綾は小さく息をつき、体の向きを変えた。明日、南部へ飛んで湊
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