健吾は子どもたちを左右の腕に抱え上げ、「家で何してたんだ?」と聞いた。瑞希は窓を指さして、「ほし、きれいなの」と答えた。健吾が二人を抱えたまま窓際に移動すると、満天の星空が見えた。健吾は小さく笑い、「ママにお星様見に行こうって言ってみようか?」と囁いた。壮真と瑞希は手を叩いて喜び、早く行こうと急かした。綾が困り顔で注意した。「今から外に出たら寒いでしょう。風邪でも引いたらダメだよ」しかし健吾は余裕を見せて、言った。「わざわざ迎えに来たんだ。青木家の屋敷なら室内の展望台があるぞ」綾は迷っていたが、健吾の提案に子供たちは大はしゃぎだった。二人の楽しみを奪いたくないし、今日は大晦日なのだから星空を観察するのも悪くはない。綾は頷いて答えた。「分かった、お願いするわ」幸子を呼ぼうとすると、健吾が子供たちを降ろして綾の手を取り、「子供たちは俺が見るから、4人で行こう」と制した。健吾は既に青木家の屋敷の雇い人には休みを与えており、今は誰の気配もなかった。健吾は、誰の目も気にせず、ただ綾と子供たちとだけ静かに過ごしたかったのだ。綾がテレビを見ている幸子の方を向くと、それより早く健吾が声をかけた。「山下さん、綾と子供たちを連れてうちで年を越してくる。今夜は戻らないから」綾は眉をひそめ、幸子に言い訳した。「あそこまでは少し距離があるし、帰ってくる頃には遅すぎるから、いっそのこと向こうで泊まってくるわ」綾は苦笑いして言った。「あなたが余計なことを言うから。あなたが来るまでは、この子たちは星のことなんて言ってなかったのに」「俺の責任だな。全部任せてくれ」健吾はそう言って子供たちの荷物をまとめ始めた。度々この家を訪れているため、物の置き場所なども分かっていた。10分も経たないうちに、バッグは必要なものと余分なものでいっぱいになった。健吾のその慣れた振る舞いは、まるでここが彼自身の家であるかのようだった。綾はテキパキと動く健吾の背中を見つめ、胸の奥が少しだけきゅんとした。健吾は穏やかな声で言った。「荷物は先に下ろしてくるよ。すぐ戻ってくるから」「そんなの悪いわ。一緒に降りるからいいわよ」綾はバッグを受け取り、肩にかけて小さなキャリーバッグを掴んだ。「私が荷物を持つから、あなたは子供たちを抱っこし
Read more