Home / 恋愛 / いつかの一枚のために / Kabanata 21 - Kabanata 30

Lahat ng Kabanata ng いつかの一枚のために: Kabanata 21 - Kabanata 30

63 Kabanata

第21話 再会と出会い 2

隼翔は落ち着き取り戻し、ソファにゆったりと腰掛けた。彼がその端正な顔に僅かな微笑みを浮かべて子供たちを見つめる姿は、見惚れるくらいに格好いい。両手に大きなクマさえ抱えていなければ。「何が好きか分からなくて、気に入ってもらえるか分からないけれど、二人の為に選んできたんだ。受け取ってもらえるかな。」一連の様子の中、ずっと彼に注目していた陽亮と夏蓮はまだ隼翔への警戒は解けていない。恐る恐る近づき陽亮は茶色のクマを、夏蓮はピンクのクマを受け取った。「「ありがとう。」」 しかしクマは二人の身長くらいある上に、その胴回りは2,3倍はありそうで、とても持ち運べない。引きずりながら一所懸命に涼禾に向かって移動している双子はとても可愛らしい。隼翔が抱えてきた時はさほどには感じなかったのだが、3歳児にとっては不釣り合いな贈り物となってしまったようだ。その様を見て眉を下げ焦り出す隼翔。今日の再会に少なからず不安を感じていた安藤夫妻と涼禾だったが、ほのぼのとした親子の対面にほっと力が抜けた気がした。「隼翔くん、予定より随分早いのだけど周りの人たちに不審に思われていないかい?」「大丈夫ですよ。ちゃんと朝一番にアトリエの視察もしてきましたし、周りには先日父が押し掛けて迷惑をかけた謝罪とお礼の為に安藤家を訪れると触れ回わらせてきました。」爽やかに答える隼翔に、一同は微妙な笑顔を浮かべた。『江崎さん(おじさん)お気の毒に。』「そんなことより、おじさんおばさん、今まで香子と子どもたちがお世話になりありがとうございました。僕としては一日も早く三人を連れて帰りたいと考えています。どうかご協力をお願います。」「おいおい、無茶を言わないでくれ。」「そうよ、隼翔くん。涼禾と子供たちはうちの子たちよ。いきなり来てそれはないわ。」「しかし……。」「あの、江崎さん。私は安藤涼禾です。申し訳ありませんが、今はこの家から離れるつもりはありません。今日はとりあえず子供たちとの顔合わせだけのつもりです。それ以上は……。」困ったような顔でおずおずとしながら涼禾が言うと、隼翔はさっきまでの勢いはすっかり失って寂しげに彼女を見つめる。「やっぱり、僕のこと覚えてない?」「ええ、すみません。」「そうか…。」部屋中に気まずい沈黙が漂う。すると、ぬいぐるみをようやく涼禾の横まで運び終えた双子が、
last updateHuling Na-update : 2026-02-12
Magbasa pa

第22話 再会と出会い 3

陽亮と夏蓮の顔からようやく緊張の色が消え、ふにゃりと子どもらしい笑顔がこぼれた。「よかったぁ〜。」「パパって、よんでいいの?」「もちろん!」隼翔は今度はためらいなく二人を抱き上げ両方の膝に乗せるとしっかりと抱きしめた。三人はすぐに打ち解け楽しそうに語らい始めた。佐和子は穏やかながらも少し寂しそうに呟いた。「あの子たちやっぱり寂しかったのかしら。」「寂しいってわけでもなかったと思うわ。何となく物足りないとか不安?とか、みんなには当たり前にいる人が自分にはいない空虚さとか、私はそんな感じだったかな。でも、お父さんやお母さんやお兄さんたちのおかげで私達はとても幸せよ。」徹は黙って三人を見守りながら、佐和子と涼禾の肩を抱き寄せた。安堵と幸福感とこれからへの静かな闘志を秘めて。少しして颯太と健人が帰ってきた。安藤夫妻と涼禾はソファに座ってお茶を飲みながら、床に座り込み、真剣な顔でブロックのお城づくりに取り組む三人を見守っていた。「これは、どういう状況?」既に隼翔が来ている上に、双子たちとすっかり馴染んで完全に親子の団欒のように見える。「まだお昼になってないよね。」今は11時半を少し回った頃、彼が来る前に昼食を済ませて今日の簡単な打ち合わせでも…、と思いながら帰ってきた二人は呆然とした。が、颯太はすぐにおよその予想がつき、大きなため息をついた。「何となく、こうなっていそうな予感はあったんだが。まさかね。」ソファの横の二匹の大きなクマを見ながら言う。「予感、あったのか。凄いな、兄さん。」みんなが揃ったので、昼食をとった後、子供たちは疲れたのかお昼寝をする為に涼禾に付き添われて部屋へと戻っていった。自分が行くと言って聞かない隼翔を、また今度と宥めるのにひと手間かかってしまったが、ようやく大人たちで話ができる状態になった。「想像以上に早く馴染んだよね。」今だに隼翔の様子に馴染めない健人が言う。「そうかい?まあ自分でもちょっと驚いている。自分の子供ってこんなに可愛いもんなんだね。」「いや、きっとあなたは特別だと思いますよ。」「そうかもしれない。ずっと心の中で想いを募らせていたからね。」「いや、あなたの性格が…。」「さて、時間は限られている。隼翔くんは今日どのくらい時間があるんだい。」健人の失言を阻止するべく、徹が声を張り上げた。「
last updateHuling Na-update : 2026-02-12
Magbasa pa

第23話 これからへの一歩

「子供たちとならパソコンのメールがいいんじゃないですか。今のところ、涼禾とはまだ難しいと思います。」健人の提案に隼翔は驚いて尋ねた。「え?あの子たちまだ3歳だよね。」今度は徹が苦笑いしながら「そうなんだけどね。僕たちもついこの間知ったんだ。陽亮はもう基本的な操作はできるらしい。」「それは素晴らしい!さすが……。」また隼翔の親バカが始まる前に健人が話を進める。「はいはい、今日にでもあなたのアドレスを登録しておきますよ。こちらの名前はY&Kとかどうです?」「いいね取引先みたいで。僕のアドレスは携帯の方にしてくれ。」隼翔が納得したところで時間となり、彼は待たせていた車に乗り込み慌ただしく帰っていった。今日決めたことは大きく三つ。まず一つは、やはり事故ではなく事件の可能性が高いと見て、誰が何のため何をしたのか、を探ること。その為には、嘘の情報を流し不審な反応をする者を見つける計画を立てることにした。二つ目は涼禾と子供たちの正体は、当分周囲に隠し続けること。しかし、江崎夫妻と涼禾の弟亮(りょう)には密かに知らせることにした。三つめは、隼翔が不審がられることなく三人に会いに来れるように、安藤家と江崎家で合同のプロジェクトを立ち上げること。これに、何らかの形で涼禾も参加することにした。まだ体調も万全ではないので、アシスタントとして颯太か健人に付いてできる仕事がいいのでは、という話になった。夜になり、健人が子供たちのパソコンに隼翔のアドレスを登録した。「ここにおてがみをかけばパパとおはなしできるの?」「そうだよ。だけどね、まだパパって書くのはやめておこうね。おじさんとか、はやとさんとかどうかな。」「うん、わかってる。はやとさんがいいかな。」「ほんとうはパパっていいたいけど。いいよ、はやとさんで。」陽亮は早速小さな指で器用に入力し、今日のクマのお礼や会えて嬉しかったこと、次に会えるのを楽しみにしていることなどを書いて送信した。すると、驚くほど早く隼翔から返事がかえってきて三人で思わず笑ってしまった。同時に三人の心の中には温かい何かが広がっていったのだった。両家によるプロジェクトは検討の結果、最近安藤家の会社で開発された新素材を使った商品の製作と、広報、販売までを行うことにした。涼禾は商品の原案づくりやデザインを扱う部署でアシスタントとしてサポ
last updateHuling Na-update : 2026-02-16
Magbasa pa

第24話 甦り始める過去

誕生日当日。江崎夫妻は前日からこちらに来て、パーティー会場があるホテルに宿泊していた。隼翔は今日の朝からこちらに向かう予定だ。安藤家一同は、開始三十分前くらいの10時30分頃に着くように出かけるつもりで朝からゆっくりと過ごしていた。安藤夫妻と涼禾たちがリビングでくつろいでいると、佐和子の携帯が鳴った。「あら、美沙さんからだわ。」通話を繋げるなり、女性の焦った声が響いてきた。「大変よ佐和子さん!大変なの!どうしましょう!」佐和子は思わず携帯を耳から離してスピーカーモードに切り替えた。「どうしたの?何が大変なの?」「朝からごめんなさい。でも大変なのよ。さっき隼翔の秘書から連絡が入ってね。果奈さんが隼翔を追いかけてこちらに向かってるそうなの。」「果奈さん?」「彼女はね、隼翔の自称婚約者候補でね。ずっと隼翔は拒否しているんだけど諦めてくれなくて。でも、デザイン部の中心デザイナーの一人だから無碍にもできなくて。その彼女が最近の隼翔の様子を不審に思い始めてて。今日私たちと一緒にパーティーに出席するって聞きつけて追いかけて来るようなの。」「まぁ情熱的なお嬢さんね。仕方ないなら一人くらい増えても大丈夫じゃない?」「そんな呑気な話じゃないの!果奈さんは香子さんと顔見知りなのよ!その上香子さんの件の要注意人物の一人なの!」「そうなの?それは心配ね。ちょっとみんなと相談してみるわ。折り返すから少し待ってて。」大人たちの慌てように、双子たちは素早く颯太と健人を呼びに走っていたため既に全員リビングに集合していた。「彼女、なかなかの行動派だね。」「来ちゃうのなら、変に追い返したらますます怪しまれるよ。」「だからって子供たちの誕生日に涼禾が欠席なんてありえないしね。」「他人の空似で押し通すとか」「メイクで変装は?」「以前の涼禾を知らないからどう変装すればいいか分からないよ。」「パパが言ってたよ。ママはね、あんまりじぶんではじぶんでつくったおようふく着なかったって。」「だからね、ママきょうはお姫さまみたいにきれいにしてみ~んながママのこと知らないふりしたら?」「しっかりメイクで香子さんじゃなく涼禾で押し通すってこと?」「何か面倒臭い。いっそ隼翔さんに欠席してもらうとか。」「それはそれで面倒臭い。」結局、涼禾は念の為変装して、果奈さんがきたら内
last updateHuling Na-update : 2026-02-16
Magbasa pa

第25話 甦り始める過去 2

男性が自分を抱き抱えたまま動かないので、気まずくなった涼禾は、「すみません、もう大丈夫ですから。」と、声をかけ距離を取ろうと両手で押し返した。すると「姉さん。」切ない声が返ってきた。「……。?」「香子姉さん」「…りょう…さん?」「姉さん!僕がわかるの?」顔を間近に寄せ、真剣に見つめてくる男性の問いかけに涼禾はだんだんと頭痛が強くなって呼吸も苦しくなってきた。彼女の異変に気付いた彼は江崎夫妻から聞いていたことを思い出し、慌てて彼女を抱き起こして立たせると、距離を取った。「すみません、無理しないで。」彼の顔が視界から消えたことで少し落ち着いてきた涼禾は、「ごめんなさい…。浅野亮さんですか。」申し訳なさそうに問いかけた。「そうですよ。こんなところで会えるなんて。」亮は心の動揺を精一杯隠して、努めて落ち着いた様子で答えた。「どうして、ここに?」「実は、江崎さんのおかあさんと安藤さんにパーティーのサプライズゲストにって声をかけてもらって。バレちゃいましたけど。涼禾さんは?まだパーティーには早いと思いますが。」「実は…」涼禾が簡単に経緯を説明すると、「それなら僕に任せて。簡単には気づかれないようにアドバイスしますよ。」と、協力を申し出てくれた。パーティーの開始時間になり、一同は隼翔と涼禾の到着を待っていた。「遅くなりました。」 入り口の扉が開いて控えめな声と共に、明るい紺色のシンプルなワンピースに髪をスッキリと結い上げて少しきつめの目をした美しい女性が入ってきた。一瞬部屋を間違えたのでは?と不審な目で見ていた一同だったが声を聞いて驚いた。「もしかして、涼禾?」颯太の問いかけに照れくさそうに笑いながら「そうよ。上手く変装できてる?」間違いなく涼禾の声が返ってきた。そして、その後ろから入ってきた男性が、「中々のものでしょう?僕の自信作です。」と、続けた。その顔を見て、「あら〜、すっかり大人っぽくなって〜。」「久しぶりだね。よく来てくれた。」江崎夫妻が男性に歩み寄った。そしてみんなに紹介した。「香子さんの弟の亮くんだ。陽亮くん、夏蓮ちゃん、君たちのおじさんだよ。」佐和子以外の安藤家一同は驚きつつもにこやかに挨拶をして歓迎した。亮は香子と暮らしていた時に隼翔とも面識があった。なので香子が行方不明になった時、隼翔は一
last updateHuling Na-update : 2026-02-16
Magbasa pa

第26話 甦り始める過去 3

果奈が隼翔を慕い続けてかなりの年月が過ぎた。何度も断られては諦めようとしたが、隼翔がまだ婚約者すらいない現状では諦めきれずに今に至っている。もうそろそろ何とかしたい。些細なきっかけでもいい、彼に近づいて認めて貰いたい。自分自身でもどうにもならない沼に嵌ってしまったような状態の彼女だった。彼女はすぐに隼翔と同じ便の予約を取り付けそのまま駅に直行した。斉藤は、本社から果奈が後を追っているとの一報を受け、急遽途中で乗り換えをして目的地で会わないように手配した。少し遅れてしまうが鉢合わせするよりマシだ。いくら果奈でも何の繋がりもないパーティーに単身で来たりはしないだろう。しかし、何故か隼翔たちが改札を出た先には笑顔で歩み寄る果奈の姿があった。何故だ。果奈はこの異常な状況を全く気にせずごく自然に話しかけてきた。「江崎社長、こんにちは。私も今日父のお使いでこちらに来ることになりまして。会社にお休みの連絡をしましたら偶然社長もこちらにいらっしゃると聞きまして。何でも取引先の方のお孫さんのお誕生日とか。私も先日姪の誕生日がありまして、プレゼントをいろいろ調べましたのよ。何かお役に立てるのではとこちらでお待ちしておりましたの。」「お気遣いどうも。せっかくですがプレゼントはもう準備できています。休暇中ならばあなたは御父上の御用を優先されてはいかがですか。」「父の方はまだ時間に余裕があります。せっかくですから、私もご一緒させていただけませんか。新プロジェクトの取引先の方ならご挨拶だけでもしておきたいですわ。」「内輪の集まりです。突然同行者を増やしては相手方に失礼です。あなたはこのプロジェクトには参加していないと記憶しています。挨拶は必要ないでしょう。」「あら、今回のは販売まで手がける予定と聞いています。でしたら販売先や流通面で父の力がお役に立てるかと思いますけど。」「ありがたいお話ですが、僕は小心者でね。自分の仕事は自分の身に合った範囲で挑んでいくつもりです。あなたの御父上を巻き込んだりするつもりはありません。」果奈は国内有数の総合商社の会長の娘だ。今は兄たちが要職を引き継いでいるが、その力は今だに絶大だ。親としてはこの不毛な片思いを快くは思っていない。が、隼翔はきっぱり拒否しているので責めることもできない。娘が一日も早く目を覚ましてくれることを願いつつ黙認して
last updateHuling Na-update : 2026-02-16
Magbasa pa

第27話 甦り始める過去 4

「ありがとうございます。もちろん長居してご迷惑をおかけするようなことはしませんわ。会場はSホテルで間違いないですわね。」「ええ、よくご存じで。」三人がホテルに到着すると、ロビーに入るなり若いきちんとした身なりの男性が急いで近づいてきた。「お嬢様、ご依頼の物をお届けに参りました。」「ありがとう。」丁寧な動作で二つの紙袋を果奈に手渡すと、男性は一礼をして去って行った。「四歳になる双子さんだと聞いています。気持ちだけですがプレゼントを用意しましたの。」隼翔は果奈のいつもながらの大した情報力と機動力に言葉もない。斎藤もいち早くフロントに行き、小さな紙袋を二つ受け取って戻ってきた。「少し遅れてしまった。急ぎましょう。」三人が会場の部屋に入ると、ちょうど颯太からのプレゼントを披露している所だった。最近習い事に通う機会が増えてきたので、新しいリュックタイプのレッスンバッグだ。軽く収納しやすく可愛らしくと工夫を重ねたオーダーメイドだ。颯太は自信作らしく、大喜びしながら早速背負って大人たちの間を駆け回る二人を満足げに眺めてた。「皆さん、遅くなりました。」隼翔が少し大きめの声で挨拶をした。一斉に隼翔たちに視線が集まった。隼翔の隣の女性を見て一瞬緊張が走ったがすぐに笑顔になり歓迎した。「いらっしゃい、遠い所をわざわざありがとう。お待ちしていましたよ。」主催者の一人である佐和子が代表して挨拶に向かった。 「いえ、僕も楽しみにしてしていました。」穏やかな笑顔で早速双子の方に向かおうとした隼翔を見て、陽亮が急いで駆け寄り数歩手前で立ち止まると、「おじさん、今日はありがとうございます」と元気よく挨拶をした。慌てて追いかけてきた夏蓮も元気に挨拶をした。「おじさん、ありがとうございます。お姉さんも…?」途中で言葉につまってしまった夏蓮に、すかさず果奈が挨拶を返す。「こんにちは。急に参加させてもらってごめんなさい。私は江崎社長の部下で瀬川果奈です。ちょうど社長とお会いしたのでご一緒させていただきました。お二人とも、お誕生日おめでとうございます。」にこやかに挨拶をし、それぞれに紙袋を手渡す。「急だったので気持ちだけですけど、プレゼントどうぞ。」二人は受け取るべきか困って佐和子の方を見た。黙って頷くのを見て「「ありがとうございます。」」と、受け取って
last updateHuling Na-update : 2026-02-16
Magbasa pa

第28話

よく見てみると、華奢で中性的な容姿の亮は以前の香子に雰囲気が似ている。まさか何かに気づいた?内心緊張する周囲に反して、亮は落ち着いた様子で穏やかに答えた。「ご挨拶が遅れました。浅野亮と申します。少し前になりますが、御父上の会社の製薬部門で関わらせていただいたことがあります。何度かパーティーでお見かけしたこともあります。もしやその時のご記憶とかでは?」「そうでしたの?では、安藤さんともお仕事のご縁で?」「いえ、こちらとは私的な知人を介してのご縁です。」「いろいろと立ち入ったことをお聞きして申し訳ありません。またお会いする機会もあるかもしれませんわね。その時はよろしくお願い致します。」「お気になさらず。こちらこそよろしくお願い致します。」周囲の心配をよそに堂々と対応する亮に、その場の者が感心して聞いていた。会場の人たちと一通り言葉を交わした後、この後にも予定があるとのことで果奈は帰っていった。彼女が部屋を出るや隼翔はすぐに涼禾の元に近づき、「今日のドレスとてもお似合いです。こんな髪型も初めて見ました。これからも色んなあなたを見てみたい。今度是非僕にプレゼントさせてください。」「「「「えっ…?」」」」目をキラキラさせて饒舌に語りかける隼翔に近くに居た者たちは唖然とした。彼はどんなに美しい女性から誘いかけられても全く興味を示さず、女性に興味がないのではとさえ噂されていたこともある。それがこんなに積極的に語りかけるとは。きっとずっと話しかけるのを我慢していたのだろうと生暖かい目で見られても彼は一向に気にせず、今度は双子たちに、「パパからのプレゼント早く見てほしいな。」と言ってプレゼントが置かれているテーブルへと二人を連れて行った。隼翔からのプレゼントはメールと通話の機能のみのキッズ携帯だった。それぞれの短縮連絡先の一番にはしっかり自分のを登録済みだった。この下心満載のプレゼントに双子もちょっと呆れ気味だったが、自分専用の電話は初めてだったので純粋に嬉しかった。喜んでお互いに掛け合ったりして遊び始めた。隼翔の親子への溺愛ぶりには大分慣れた安藤一家と斉藤は『ああまた始まった』と微笑ましく見守っていた。他のプレゼントを見たりしながら楽しんでいると、夏蓮がふと二つの紙袋に目を止めて、「おねえさんのプレゼントはなにかな。みてもいい?」と、近くに来て
last updateHuling Na-update : 2026-02-20
Magbasa pa

第29話

右手が温かい何かに包まれている。時間も場所もわからない。自分が誰で何をしていたのかも。この感覚、以前にも経験がある。またやり直し?いや、今回は違う。以前は不安と恐怖しかなかった。でも今回はたくさんの人たちの笑顔が浮かんでくる。おかあさん、おとうさん、兄さんたち、それから…。陽亮、夏蓮!そう、あんどう、あんどう?いや、あさの…あさの?「姉さん、ごめんね。今だにまともな手がかり一つ掴めていない。でも、あと少しで何かが………。」切ない呟きに少しずつ意識がはっきりしてくる。「りょう…?」「姉さん?姉さん!よかった!やっと起きてくれた!」青年の喜びの声を聞くなり、ドアが開いて誰かが駆け込んできた。「涼禾!涼禾、目覚めてくれたのね。よかった…。」「涼禾、大丈夫かい、どこか痛いとことかないかい?」「おとうさん、おかあさん、大丈夫よ。ごめんなさい、心配かけて。」「大丈夫だよ、涼禾さえ無事でいてくれたら。」「あのカードがショックだったのね。隼翔くんがあんな人だったなんて。三人を大切にしてくれていると思っていたのに。まさか果奈さんと…。」佐和子は怒りが抑えきれずにいるようだが、徹が軽く背中を叩いてなだめようとする。「隼翔くんは知らないって言ってたじゃないか。きっと果奈さんが隼翔くんを取られたくなくて勝手にやったんだろうって。」「そんなこと信じられないわ。ぬいぐるみだって同じもののサイズ違いよ。この間のが大きすぎたからその埋め合わせってことじゃないの!仲良く一緒に来たし。」二人の話をぼーっと聞きながら首をかしげていた涼禾はこっそりと亮に事情を尋ねた。「ねぇ、カードって何のこと?」「姉さんが倒れる前に見たカードだよ。」「そうなの?何て書いてあったの?」「覚えてないの?」「ええ、何か怖いことでも書いてあったの?」「怖くはない…けど、その…。」言い淀む亮に涼禾が促す。「私がまたショックを受けるって心配してる?でも、たぶん大丈夫だと思う。何となくだけど私が気になった事はおかあさんたちが話していることとは違うと思う。」「そう?カードには、仮名で“おたんじょうび おめでとうございます”って書いてあって、送り主のところにH&Kよりって書いてあったんだ。それで隼翔さんが果奈さんと連名でプレゼントを用意したんじゃないかと姉さんが思ってショックを受けたん
last updateHuling Na-update : 2026-02-20
Magbasa pa

第30話

「相変わらず?」涼禾、もしかして何か思い出したの?」涼禾は少しばつが悪そうな顔をしながら、「実はね、少し前から時々隼翔さんの記憶を思い出すことがあるの。ほんとに少し、ちょっとした表情とか言葉とか。で、周りに誤解されて困ったような顔も何度か。その時は怖さや嫌な気持ちはしないから、たぶん隼翔さんのことは信じてもいいのかもって思ってるの。」「姉さん、僕は?気のせいかもしれないけど、さっきから話し方が昔のようになってる気がするんだけど。」涼禾は今度は嬉しそうに微笑んで、「亮ちゃん、今までごめんね。こんなに大きくなって。会えて本当に嬉しい。」「姉さん!」亮の今までの大人びた表情は一瞬で消え、幼い子供のように顔をクシャクシャにして半べそをかきながら涼禾にしがみついた。「姉さん、僕ね、頑張ったんだよ。でもね、何にもできなくて、さみしくて、悔しくて、ごめんね、姉さんが大変な時何もできなくて。」「亮ちゃん、姉さんこそごめんね。亮ちゃんは頑張ったわ、ちゃんと大学に行ってしっかり勉強して。立派に頑張ってる。これからは姉さんも力になれることがあれば応援するよ。」姉弟の久しぶりの本当の再会を、安藤夫妻も嬉しそうに見守っていた。徐に徹が声をかけた。「涼禾の弟なら亮くんは私たちの三男だな。これからは私たちも君を応援するよ。」「そうよ。あなたには私たち家族がついているわ。自分の望む道をしっかり進みなさい。」「姉さんが今までずっとお世話になってありがとうございます。その上僕にまで…。本当にありがとうございます。」涼禾は、倒れてからまる2日余り眠り続けていたので、家族が交替で病室にいて見守っていた。今はたまたま弟の亮が付いていた所、次の交替の為に到着した安藤夫妻と共に涼禾の目覚めに立ち会えた所だった。「そうそう涼禾が目覚めたこと、みんなに連絡しなくちゃ。みんな心配してたんだから。」「ごめんなさい、お願いします。」「ところで涼禾、さっき何であんなに笑ってたんだ?」家族に連絡をしながら徹が不思議そうに聞いた。「あなたが倒れるくらい強いショックを受けた原因なんじゃないの?」「ああ、隼翔さんと果奈さんのこと?少しは嫌な気持ちはしたけどそれが原因じゃないわ。なのにみんなに責められてしょげてる彼が思い浮かんできて、何だかおかしくなっちゃって…ふふっ…あっ…私が笑っちゃ
last updateHuling Na-update : 2026-02-20
Magbasa pa
PREV
1234567
I-scan ang code para mabasa sa App
DMCA.com Protection Status