翌朝、「おはようございます。」爽やかな笑顔で朝食に降りてきた隼翔を見て安藤夫妻はちょっと不思議に思いながらも笑顔で、「おはよう隼翔くん。」「よく休めたようでよかったわ。」と、答えた。すると隼翔はちょっと照れくさそうな顔になり、「ありがとうございます。あの、朝食の後、もしよろしければ少しお時間いただけますか。」と尋ねてきた。「私達は構わないけど、君は大丈夫なのかい?」「はい、大丈夫です。」何かに思い当たったのか、佐和子が、「もしかして、涼禾も一緒に?」と聞くと、ちょっと残念そうに、「いえ、今日は僕だけです。」と言うことだった。子供たちも降りてきて、皆で朝食を取った後、安藤夫妻と隼翔は書斎へと入っていった。涼禾と子供たちは今日は教室の日なので、準備のために部屋へと戻って行った。涼禾と子供たちが準備を終えてリビングに行くと、ちょうど隼翔も出かける準備を終えて降りてきた所だった。四人揃って玄関を出て、お互いに「行ってらっしゃい。気をつけてね。」と言い合ってそれぞれの車で出掛けて行った。ごく当たり前でいて、とても幸せな1日の始まりだった。それから3日後、いよいよ隼翔が東都に帰る日が来た。隼翔は三人に向かって歩み寄り、「楽しかったよ。近いうちにまた会えるようにするからね。それまでいろいろ気をつけてね。」優しく声をかけ、そっと三人を抱きしめて名残惜しそうにしながらも帰って行った。隼翔はその日、午前中はこちらで会議などをこなし、午後には東都へと帰るそうだ。涼禾たちは今朝、ここ数日間と同じように「行ってらっしゃい、気をつけて。」と見送った。しかし今日はすぐに寂しさが込み上げてきた。それでもまもなく島田が迎えに来たので、隼翔への想いを心にしまい日常に戻っていった。一方、東都の本社に戻った隼翔は、留守中の報告や明日からの予定の打ち合わせをしようと秘書室長の槙野を呼んだ。すぐに部屋にやってきた槙野は、「出張お疲れ様でした。早速ですが、2件ほどすぐにお伝えしたい件があります。」「急ぎか?何かな?」「はい、一つ目は社内の噂についてです。」「噂?それが急ぎの報告か?」「ええ、先週末に社長が出掛けた後すぐに、女性社員たちの間で社長が近日中に婚約を発表するらしいという噂が広まりました。突然のことで不審に思って出処を探ってみたので
Last Updated : 2026-03-03 Read more